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リボミック社の加齢黄斑変性症治療薬の「RBM-007」 既存の加齢黄斑変性症治療薬「抗VEGF薬」を超えられるか

2019年1月24日に、アプタマー医薬の創薬をおこなっている「株式会社リボミック」が滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性症治療薬の「RBM-007」について、アメリカでの第I/IIa相臨床試験で第1コホート(低用量群)における安全性を確認したとの発表がありました。 リボミック社は、2003年8月に東京大学医科学研究所の中村義一教授がファウンダーとなって設立された会社です。東京大学とアプタマー創薬に関する研究を目的とした共同研究契約を締結しています。 現在、アプタマー医薬品はアメリカのアルケミックス社が開発した加齢黄斑変性治療薬の「マクジェン」のみです。まだ、ほかのアプタマー医薬品は出てきていません。 リボミック社が開発している「RBM-007」はどのような医薬品なのでしょか。 [RBM-007はどんな治療薬なの] -アプタマー医薬ってなに- 最初に、アプタマー医薬からみていきましょう。聞きなれない言葉ですよね。アプタマー医薬ではRNAを利用します。 わたちたちのからだの細胞の中に存在するRNAは一本の鎖のような塩基の配列から構成されています。 RNAは、塩基の配列によってさまざま立体構造を形成します。この形成する力を使って標的となるタンパク質に結合することで、タンパク質の働きを阻害や調節するRNA分子を「アプタマー」といいます。 アプタマーは、たんぱく質の形状に応じてフィットするように立体構造を作って結合するという特徴があります。この特徴を生かして目的となる標的たんぱく質に人工的に強く結合させて医薬品として応用していくのが「アプタマー医薬」です。 リボミック社は、アメリカのアルケミックス社が開発したSELEX法(試験管内人工進化法)を利用したリボミック社独自技術「RiboARTシステム」で創薬に最適なアプタマーを作製しています。 アプタマー医薬品は、抗体医薬品と同じ分子標的薬のひとつですが抗体医薬品と作用機序が異なります。 抗体医薬品と比較すると「強い標的結合力、標的の制限が少ない、化学的な改変が容易、化学合成によって製造可能」などといった利点があります。 リボミック社が、この技術から作製したもののひとつがRBM-007です。RBM-007はいくつかの疾患をターゲットにしています。もっとも開発が進んでいるのが「加齢黄斑変性症」という眼の病気です。 -加齢黄斑変性症は失明に至る眼病です- 加齢黄斑変性症は、年齢を重ねるとともに網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積することで網膜の中心にある直径1.5mm~2mm程度の小さな黄斑部に障害がでる病気です。 症状は、「ものの中心部が歪んで見える、中心部が黒く見える(中心暗点)、視力が低下する、色がわからなくなる」といった形で進んでいき、悪化すると失明に至ります。 加齢黄斑変性症には、網膜色素上皮が徐々に萎縮していき視力が悪化していく「萎縮型」、脈絡膜新生血という異常な血管が形成されて異常な血管から血液成分の漏出や血管が破れて網膜がはれる、液体がたまることから視力が悪化する「滲出型」の二つのタイプあります。 現在、萎縮型の治療法は残念ながらありません。滲出型は、薬物療法として比較的新しい治療薬である血管新生阻害薬(抗VEGF薬)や光線力学的療法などがあります。 この血管新生阻害薬(抗VEGF薬)のひとつがアメリカのアルケミックス社のアプタマー医薬品「マクジェン」です。 加齢黄斑変性症にみられる新生血管の成長や血液成分の漏出に関与している「血管内皮増殖因子(VEGF)」の働きを抑えて、脈絡膜新生血管を退縮させて視力の低下を抑制する治療薬です。 ※マクジェン以外に抗体医薬品の抗VEGF薬「ルセンティス」と「アイリーア」があります。作用機序はマクジェンと異なりますが薬理作用は同じです。 しかし、抗VEGF薬に「効果が得られない患者さんが相当数存在する、2~3年程度経過すると効果が低下してくる」といったケースがみられるようになりました。 これらの要因として病変による網膜の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられています。抗VEGF薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。 -RBM-007はどんな薬なの- RBM-007は、さまざまな生理機能を持っていて血管新生や瘢痕化などにも関与している「FGF2(線維芽細胞増殖因子2」の働きを阻害するアプタマーです。 動物試験において網膜の血管新生と瘢痕化を抑制することが証明されています。この二重作用が既存の抗VEGF薬にはない新しいメカニズムで、加齢黄斑変性症の根本治療につながる可能性があると考えられています。 リボミック社は、RBM-007の加齢黄斑変性症の臨床試験をアメリカで実施するために2017年8月にアメリカへ子会社を設立、2018年10月からアメリカにおける臨床試験第I/IIa相試験を開始しています。 臨床試験では、眼球にある硝子体に注射をおこなうために通常は健常人で行う第I相臨床試験は実施していません。少数の患者さんを対象にして第I/IIa相試験を少量から段階的に増量しながら安全性や忍容性などの確認をおこなっています。 第I/IIa相試験の第1コホートの少量投与の結果において安全性の確認がされました。現在は、投与量を増やした第2コホートにおける患者さんへの投与が行われています。第I/IIa相試験の完了予定は2019年です。 第IIb相試験は、抗VEGF薬で奏功がみられない200名規模の患者さんを対象として有効性の確認を行う予定です。2019年開始で2021年完了予定となっています。 [加齢黄斑変性症治療薬RBM-007以外のパイプラインは] リボミック社は、加齢黄斑変性症治療薬を対象にしたRBM-007以外にいくつかのパイプラインを抱えています。 これらのパイプラインは動物モデル試験中もしくは終了している段階です。いずれの動物試験でも有効性が見いだされています。 ◇RBM-007(軟骨無形成症、がん性疼痛) RBM-007は、加齢黄斑変性症以外に四肢短縮の低身長を引き起こす希少疾患である「軟骨無形成症」、進行がん患者で骨転移による強い疼痛を引き起こす「がん性疼痛」なども対象疾患にしています。 軟骨無形成症については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業-希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」になっています。 ◇RBM-004(神経障害性疼痛) 末梢または中枢神経系の損傷や機能障害によって引き起こされる「神経障害性疼痛」が対象疾患です。NGF(神経成長因子)を阻害するアプタマーです。藤本製薬に導出しています。 ◇RBM-003(心不全) 心筋梗塞直後に、キマーゼという酵素が肥満細胞と心筋細胞等の組織損傷部位から分泌されることで心筋に悪影響を及ぼします。RBM-003はキマーゼを阻害するアプタマーです。大阪医科大学と共同研究しています。 ◇RBM-001(非開示) RBM-001は、サイトカインのひとつであるミドカインを阻害するアプタマーです。動物試験では、自己免疫性脳脊髄炎や神経芽腫の増殖に対する抑制作用が確認されています。大塚製薬に導出されていますが対象疾患は非開示です。 ◇RBM-006(肺線維症) 「特発性肺線維症(IPF)」は進行すると肺の繊維化が起こります。RBM-006は、肺線維症で亢進することがみられるオートタキシンという合成酵素を阻害するアプタマーです。 これら以外に、RBM-002(血小板減少症)、RBM-005(敗血症)、RBM-008(糖尿病性網膜症)、RBM-009(重症喘息)なども研究・開発中です。 現時点において、リボミック社はRBM-007(加齢黄斑変性症、軟骨無形成症)およびRBM-003(心不全)を重点課題としています。 また、科学技術振興機構(JST)の「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」の公募に、早稲田大学との共同研究として「人工知能技術を用いた革新的アプタマー創薬システムの開発」が採択されています。 加齢黄斑変性症は欧米では成人の失明原因の第1位、日本でも人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加していて失明原因第4位です。将来的には日本における失明原因の第1位になるといわれています。 失明という転帰になることない加齢黄斑変性症の治療薬として上市されることが待たれるところではないでしょうか。   リボミック社について ○売上高や資産状況 総資産額29億7700万、自己資本18億4300万円2、自己資本比率61.9%。2017年12月期の売上高は6億4千万円、経常利益は▲7億5100万円、今年度の予想売上高は5億円、経常利益▲8億5700万円です。時価総額は66億3400万円です。 ※今年度の売上高減少と経常利益増加はRBM-007を積極的進めているためです。 ○ビジネスモデル リボミック社独自の創薬技術「RiboARTシステム」を活用して大学や研究機関と共同研究をおこない、創薬事業においては自社創薬もしくは製薬会社との共同研究をおこなっています。自社で臨床試験を実施してPOC(Proof Continue Reading ->

サイバイオ社 期待されていたSB623の慢性期脳梗塞の臨床試験で有効性を示せず サイバイオ社の株価大暴落へ!!

1月29日に発表された「サンバイオ株式会社」のプレスリリースを受けて、サンバイオ社の株価が1月30日に前日比3000円(-25.62%)安のストップ安で8710円と大暴落を起こし大きな話題になりました。 サンバイオ社の大暴落は、ほかの医療バイオ関連会社などの急落にも繋がりました。 サイバイオ社の株価は、1月30日から3日連続のストップ安で5710円、週明けの2月4日もストップ安で3710円、2月5日は前日比1090円安の2620円となっています。 ※ストップ安:株価は異常な暴騰や暴落を防ぐために1日に変動する上下の幅を「値幅制限」が設定されています。株価が、値幅制限の上限まで上昇することをストップ高、下限まで下落することをストップ安といいます。 サンバイオ社については、「脳細胞を再生するサンバイオ社の細胞治療薬SB623 慢性期脳梗塞や外傷性脳損傷などの後遺症に新たな光になるか」と当サイトで、以前、紹介しています。 サイバイオ社のSB623は、慢性期脳梗塞や外傷性脳損傷のあらたな新薬として各方面から大きな注目を浴びていた再生細胞薬です。 今回のプレスリリースは、SB623のアメリカでの慢性期脳梗塞に関する臨床試験で「有効性を示すことができなかった」と発表されたことが株価大暴落の起爆剤になりました。 -SB623の臨床試験結果は?- SB623については、サンバイオ社のアメリカ子会社と大日本住友製薬の間でアメリカにおける開発と販売権について独占契約を結んでいます。 慢性期脳梗塞の臨床試験は、アメリカでサンバイオ社と大日本住友製薬のアメリカの子会社が共同で実施しました。 今回の臨床試験は、臨床試験フェーズ2bで慢性期脳梗塞に伴う運動障害のある患者さん163例を対象に行われました。 163例を「SB623-250万細胞投与群、SB623-500万細胞投与群、sham手術(コントロール群)」の3群にわけて、SB623の有効性と安全性を確認することが目的です。 ※sham手術:偽手術もしくはプラセボ手術のことで治療効果がないみせかけの外科的な医療行為です。今回は、SB623を投与した群とsham手術群を同じ条件下で比較することで有効性などの確認するために行われています。 投与6ヶ月後における臨床試験の結果、SB623投与群とコントロール群を「Fugl-Meyer Continue Reading ->

日本人による日本人のための医療を海外でも 世界に展開する日本エマージェンシーアシスタンス社

海外への赴任や出張の件数は右肩上がりに増加、ビジネス目的だけではなく海外へ留学者や海外旅行者も増えていますよね。グローバル化がますます加速しているといっても過言ではないでしょう。 海外で思わぬ事故に巻き込まれた場合や病気になった場合に困ることないでしょうか。 「どうやって受診するの、言葉がわからない、医療費が高額になるって聞いたけど、医療設備は整っているの、整った医療機関で治療を受けたい、日本に戻って治療を受けたい」などさまざまなニーズがでてきます。 一方、国際的にみてみると「日本の高度な医療を受けたい」という海外の方のニーズ、海外からの旅行者が増加に従って「日本で病気になってしまったけどどうしたらいいの」というニーズもでてきています。 これらのニーズを総合的にサポートする「日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(以下EAJ社と記載)」という会社をご存知でしょうか。 [EAJ社ってどんな会社なの] EAJ社は、2003年1月にフランスの「ヨーロッパ・アシスタンス社」の日本法人として設立。同年4月から「海外にいる日本人のための医療アシスタンス事業」を開始。 ※医療アシスタンス事業は、「トラベル・アシスタンス」と呼ばれているもので1950年代にスペインで誕生、フランスを中心に発展してきました。 2005年6月に当時の代表取締役であった吉田一正氏などによって、EA社から株式取得をおこい資本関係を解消、「日本人による日本人のための医療アシスタンスサービス提供会社」としての体制を確立。 2004年にアメリカで北中南米大陸での医療アシスタンスサービス開始(翌年子会社化)、以降、シンガポール、タイ、イギリス、中国、バングラデッシュ、カナダで該当国とその周辺国への医療アシスタンスサービスを広げていき、現在では、ほぼ全世界をカバーしています。 ※バングラディシュについては2018年8月で子会社を清算し、日本人医師資格を持つバングラディシュ医師の現地会社をビジネスパートナーとして業務を進めています。 2008年4月に留学生危機管理サービス「OSSMA」のサービス提供を開始、2012年6月に大阪証券取引所JASDAQに上場。2015年年9月に国内で初めて「医療渡航支援企業」に認定されています。 ※医療渡航支援企業とは、訪日する海外在住の外国人(渡航受診者)が日本で医療サービスを受けるために、訪日前から帰国後までに関わる一連の支援サービスを行う事業者のことです。渡航受診者は身元保証機関の身元保証も受ける必要があり、医療渡航支援企業は身元保証もおこないます。認定には経済産業省の審査を受ける必要があります(旅行業者の場合には所管は観光庁になります)。 EAJ社は、世界のどこにいても医療やライフスタイルなどで日本とは異なるカルチャー下にいても、日本にいる時と同じようなアシスタンスサービスを行うことで「利用者の世界を広げる」ことをミッションにしています。 「Heart(思いやりの心を忘れない)、Skill(より良いサービスを提供するために知識と経験を深める)、Communication(ユーザーの気持ちを察する)の頭文字をとった「HAC」をアシスタンスのビジョンにしています。 これらを「ジャパン・スタンダード・アシスタンス」としてとらえることで、国際的に最高品質のサービスとして認知され、世界最大のアシスタンス会社になることを目標に掲げています。 EAJ社が展開するアシスタンスとはどのようなものかみていきましょう。 [EAJ社の展開する6つのアシスタンスサービス] -医療アシスタンスサービス- EAJ社は、「日本、アメリカ、イギリス、シンガポール、タイ、中国」の6ヶ国に日本語コールセンター、世界で11,586の医療機関および4,392社のプロバイダーと提携して緊急医療や航空医療搬送の専門医の対応、日本人医師80名及び看護師・救急救命士62名と提携、世界の40社と114機の専用機ネットワークを構築して満足されるアシスタンスを提供する体制をとっています。 世界どこでも、「緊急時に的確な医療機関の紹介や移送手配、移送から帰国後の受入病院の手配、言語コミュニケーションのサポート、医療費用の支払代行」など事態発生から収拾までワンストップの一貫したサービスをおこなっています。 帰国移送時に日本人医師と看護師が救援、既往症や持病など疾患への対応、日本人医師などよる現地治療の評価やセカンドオピニオン、現地への日本人医師派遣などといったサービスにも対応しています。 ※受けられるサービスはサービスの種類によって異なります。 現場プラントや僻地サイトにある民間企業に、救急救命士・看護婦が常住して現地の医療体制の構築や緊急時対応など行う「EAJプロジェクトアシスタント」のパーッケージの提供を新しく開始しています。 展開している医療アシスタンスサービスは3種類です。基本的なサービスは同じですが個々のサービスによって異なる部分があります。 ◇海外医療アシスタンスサービス 法人や企業向けに展開しているサービスです。緊急事態に限らずに海外滞在中の健康診断や予防接種の予約や日本語での医療相談にも対応。万が一、不幸な事態となってしまった場合に必要な手配もおこないます。 ◇グローバルアシスト/エグゼクティブアシスト 10名以下の小規模事業者向けのサービスです。「エマージェンシーセクレタリーサービス」として海外から日本の会社や家族へ緊急連絡の代行や日本から海外への緊急連絡など中継拠点としての役割を担います。 ※このサービスは事業向けですが個人でも契約できます(一部サービスは適用外です)。 ◇海外旅行保険の付帯アシスタンスサービス 保険会社向けのものです(損害保険ジャパンと提携しています)。海外渡航など個人の方がEAJ社と契約している保険会社と契約することによってEAJ社の医療アシスタンスサービスを受けることができます。 海外渡航先で緊急事態が起きた時に、家族が緊急渡航する場合には家族のパスポート取得や渡航計画のサポートもおこないます。 -留学生危機管理サービス(OSSMA)- 留学生危機管理サービスは、「学校、留学生、保護者」のそれぞれのニーズに対応した総合危機管理サービスプログラムで3本の柱から構成されています。EAJ社が展開する代表的な商品のひとつです。 ◇医療アシスタンス 海外医療アシスタンスサービスと同等の内容です。緊急時には、現地事故対策本部の設営と運営支援、マスコミ対応、保護者や職員が現地へ渡航する際の航空券、宿泊、通訳、移動手段などの手配をおこないます。 ◇パーソナル支援 医療支援以外の生活上のトラブルに対応するためのサービスです。パスポートの盗難や紛失対応、なんらかのトラブル発生時の相談や解決のサポート、事態に応じて国際弁護士の手配などをおこないます。 ◇OSSMAロケーターシステム/OSSMAヘルプライン Web上で留学生の情報や所在を閲覧管理できるシステムです。留学生の生活を見守るとともに定期的メールを発信して安否確認をおこないます。 突然の災害発生時など場合には、臨時安否確認メールを発信して無事かどうかを確認します。 電話を含めて連絡がとれない場合には、現地の学校や警察などと連携し学生の捜索を行います。現地の「治安、自然災害、テロ、感染症」などの最新の情報も随時配信しています。 ー救急救命アシスタンスサービスー 海外と国内における緊急時の救助や救急対応、国内でのマラソン大会やコンサートなどのイベントでの救護活動を行うサービスです。 ◇海外救急救命アシスタンスサービス 海外での救助サービスと教育サービスをおこないます。 救助サービスは、救急救命の実務経験のある救急救命士や看護師で構成された日本人医療者チームを現地に派遣して救助や救援活動をおこないます。 作業環境を調査して緊急計画を立案、現地の医療状況の把握、救出活動、応急処置、現地医療機関との連携、被災者の健康管理などをおこないます。 教育サービスは、実技指導を含めた心肺蘇生やストレスマネジメントなどのセルフレスキューをおこないます。緊急時対応に必要な知識など事前講習会も開催しています。 ◇イベント救護 マラソンなどのスポーツイベント、コンサートや花火大会などの娯楽イベントで、緊急事態に対応した救護活動を行います。 イベントが始まる前に、近隣の医療機関や周辺環境を現地調査して救護マニュアルを作成して救護体制を構築、増加する国内のイベントに参加する外国人にも対応しています。 イベント開催日に、トラブル発生時には救護マニュアルにしたがって迅速に救護活動をおこないます。救護活動の結果は次年度の開催にもつながるようにしています。 -外国人向けアシスタンスサービス- 日本で医療や人間ドックを希望する外国人、日本に滞在中の外国人が病気や怪我をした時のアシスタンスサービスです。 国内の大都市や観光地を中心に約800の医療機関とネットワークを構築していて、24時間365日15ヶ国語対応のコールセンターとEAJ社との提携する通訳者が幅広い対応をおこなうことで外国人が安心して医療を受けられる体制を展開しています。 ◇外国人患者に対する日本の高度医療事業の紹介サービス 日本の「高度医療、がん治療、内視鏡治療、心臓外科、脳神経外科」などを専門とする医療機関とのネットワークから患者さんの病状に適した医療機関の紹介をおこないます。患者や家族が来日せずに日本の医療機関のオピニオンを求めることも可能です。 渡航計画からプランニングをおこない、渡航に必要な「医療滞在ビザ取得、航空券や宿泊手配、治療受診時の医療通訳派遣」などを自国出発前から帰国までをサポートしています。 ◇日本滞在中の外国人向け緊急対応型アシスタンスサービス 本国もしくは日本入国後に、EAJ社と提携している海外旅行保険に加入することで受けることができるサービスです。 観光目的の一時的滞在者に加えて日本国内での就業者や留学生も対象にサービスを展開しています。 予期せぬ病気や怪我をした外国人に適切な国内医療機関の紹介や治療の手配、外国人と医療者との潤滑なコミュニケーションを取り持ちます。入院することになっても退院や帰国まで医療や保険の知識に精通したコーディネーターがアテンドしてくれます。 EAJ社は、医療関連のアシスタンス以外に2つのサービスを提供しています。 -セキュリティ・アシスタンス・プログラム- セキュリティ・アシスタンス・プログラムは、海外に展開する企業向けのサービスです。 諸外国の「政情、暴動、テロ、誘拐、凶悪犯罪」など最新の状況を常に把握・分析して、現地のセキュリティリスクを5段階のスケールで評価。セキュリティ情勢レポートをEメールで毎日配信しています。 治安状況などが著しく悪化して現地の社員を安全な第三国に緊急避難させる必要があると判断される場合、現地において避難実行のためのさまざまな支援をおこないます。 -ライフスタイルアシスタンスサービス- クレジットカード会員が海外旅行の滞在をより豊かに楽しめるようにするコンシェルジュザービスです。 たとえば、レストラン予約、コンサートなどのチケットの手配、ギフトの手配、ショッピング情報の提供、現地情報などを提供することで海外でも快適に過ごせるようにするためのサービスです。 急速にグローバル化進んでいく中で、海外でも安心して日本と同等に近い医療サービスなどを受けられると安心ですよね。 EAJ社は、外国人患者受入事業において業界を牽引しており、海外へ日本の医療と安全管理を紹介する国際展開も積極的に行っています。 EAJ社の資産状況は 総資産額21億1200万円、負債額13億8800万円、借入金残高6億3200万円、純総資産額8億2300万円。 2017年12月期の売上高は25億8000万円、経常利益は3000万円、今年度の予想売上高は28億6900万円、経常利益1億4100万円です。時価総額は53億9200万円です。 ※2018年度予想経常利益の増加は、医療アシスタンスサービスと留学生危機管理サービスが堅調に伸びており、海外出国者数と訪日外国人数の増加の追い風になっています。 Continue Reading ->

ウイルス学に立脚した創薬会社オンコリスバイオファーマ社 主力製品は腫瘍溶解ウイルスと腫瘍検査ウイルス

2019年1月に17日に、オンコリスバイオファーマ株式会社がアメリカのコーネル大学と「テロメラシン・抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の医師主導臨床治験フェーズII」の契約を締結したとニュースが流れました。この治験は、進行性食道がんの有効性と安全性を検証するためのものです。 オンコリスバイオファーマ社は、ウイルス学(Virology)に立脚した創薬をコンセプトに「がんや重症感染症」に対する新薬の開発に力を入れている製薬会社です。 [イノベーションとファブレス経営] オンコリスバイオファーマ社は、ウイルス学の見地から「がんと重症感染症」に重点をおき、ウイルスの遺伝子改変技術を生かした新しく安全性と有効性の高い治療方法に観点を置いた創薬を目指しています。 同時に新しい検査サービスの開発にも力を入れ、これまで確立された治療法がなかった領域へのイノベーションをもたらすことをビジョンとしています。 オンコリスバイオファーマ社は、「がん及び重症感染症」などの難病について大学などの研究機関や企業から対象となる医薬品候補を導入、創薬プランを「企画、研究、開発」、製造および臨床試験をアウトソーシングして医薬品開発を行う「ファブレス経営」というビジネスモデルをとっています。 ファブレス経営の大きな特徴は、「企画、研究、開発」などに集中して投資できる、大規模な設備投資が不要、市場の変化に柔軟に対応できる、なるべく短いライフサイクルで製品化することが可能なことです。 オンコリスバイオファーマ社は、「開発途上の段階で開発および販売権を大手製薬会社へ導出、大手製薬会社が持つ開発資源や販売網を活かすことが医療にイノベーションをもたらす最短経路である」と述べています。 このようなビジョンとビジネスモデルを持っているオンコリスバイオファーマ社のパイプラインをみてみましょう。 [オンコリスバイオファーマ社のパイプラインは] ◇テロメライシン(OBP-301) Continue Reading ->

がん患者のアンメット・メディカルニーズに取り組むソレイジア社 ソレイジア社のラインアップは

がんは2人に1人がかかる時代といわれています。あなたのそばにもがんと闘っている方はいないでしょうか。がんに対しては、さまざまなアプローチから世界中で研究・開発が行われています。 このようななかから、日本及び中国を中心とするアジア諸国をターゲットに「アンメット・メディカルニーズ」に応えることを目的に設立した創薬メーカー「ソレイジア・ファーマ株式会社(以下ソレイジア社と記載)」について取り上げてみましょう。 ※アンメット・メディカルニーズとは、現在、有効な治療方法が確立されていないもしくは治療方法が限られている疾病に対しての新たな治療への必要性への期待のことを指します。 [ソレイジア社の目指すものは] ソレイジア社は、2006年12月にアメリカに医薬品開発事業の準備拠点として「JapanBridge Continue Reading ->

メドレックス社独自技術の経皮吸収型製剤 多様化する生活様式や高齢化社会に向けての取り組み

2018年12月21日に、「株式会社メドレックスが経皮吸収型製剤に関する新たな基在組成剤」について日本において特許査定を取得したというニュースが流れました。本特許はアメリカでもすでに特許査定を取得しています。 メドレックス社は、独自の技術を用いた経皮吸収型製剤に特化して研究・開発をおこなっている創薬会社です。最初に経皮吸収型製剤についてみてみましょう。 [経皮吸収型製剤は皮膚から全身へ] 医薬品の使い方には、病気や症状に応じてさまざまな種類(投与経路)があります。普段、目にすることが多いのは錠剤やカプセルなど口から飲む経口薬、シップなどの消炎鎮痛に用いる貼付剤、目薬などの点眼剤などではないでしょうか。 ほかにも、鎮痛薬などの座薬、喘息の発作止めの吸入薬、鼻づまりを抑える経鼻薬、静脈注射や筋肉注射といった注射剤などさまざま種類があります。 このなかで貼付剤には大きく2種類ものがあります。ひとつは肩こりや関節の痛みなどに用いる消炎鎮痛薬で貼った部分に局所的に作用するもの、もうひとつは薬を皮膚組織から毛細血管に移行させて全身の血流を循環することで効果を発揮する「経皮吸収型製剤」です。 経皮吸収型製剤は、多くの経口剤が体内に吸収されて肝臓を経てから全身へと送り出されますが経皮吸収型製剤は肝臓を経ることなく薬を全身へ送り届けることが可能です。 食事の影響がほとんどない、薬を長時間安定した血中濃度にすることできる、同じ成分の経口薬と比較して副作用が少ない、嚥下障害などある患者さんも使うことができる、飲み忘れが防止できるなどといったメリットが期待されています。 狭心症、更年期障害、癌性疼痛、喘息、ロキソニン消炎鎮痛薬、新しいところではアレルギー性鼻炎の経皮吸収型製剤などがあります。決して種類が多いものではなく、どのような薬でも経皮吸収型製剤にできるというものではありません。 経皮吸収型製剤を独自の技術を用いて研究・開発をおこなっているメドレックス社とはどのような会社なのでしょうか。 [メドレックス社はどんな会社なの] メドレックス社は、2002年に多様化する生活様式や高齢化社会に向けて新しい剤型(経皮吸収型製剤)の医薬品を開発することを目的に設立されました。 アメリカに、2009年10月に Continue Reading ->

バイオ事業大手のタカラバイオ株式会社 今後、注目されるのはタカラバイオが手掛ける遺伝子医療か?

2018年12月にキノコ生産大手の「雪国まいたけ」がタカラバイオ株式会社のキノコ事業を買収することを発表しました。タカラバイオのキノコ事業は「ホンシメジ」の国内シェアのほぼ100%を誇っています。 タカラバイオは、宝ホールディング株式会社(旧:寳酒造株式会社)の傘下の会社のひとつです。事業内容の柱は「バイオ産業支援、医食品バイオ事業、遺伝子医療」です。 医薬品バイオ事業ではキノコ事業と健康食品事業を展開しています。親会社の宝ホールディングスは、来年1月に健康食品事業も塩野義製薬の子会社に譲渡することを決定しています。 ※宝ホールディングス株式会社の傘下にはタカラバイオ以外に、「マザービジネスとして焼酎や清酒などでおなじみの宝酒造株式会社、海外へ和食文化を展開する宝酒造インターナショナル株式会社」などをはじめとして多くの会社があります。 医薬品バイオ事業を手放すことで「バイオ産業支援、遺伝子医療」に特化して事業を充実させることを目指しています。 [タカラバイオはどんな会社なの] タカラバイオは、1968年に旧寳酒造株式会社(現:宝ホールディング株式会社)のバイオテクノロジー(生物工学)事業としてスタート。工学研究用試薬「制限酵素」を発売、PCR法による遺伝子増幅システムの国内独占販売権を取得しています。 1993年に中国に海外拠点を設立し、以降、フランス、韓国、アメリカ、インド、スウェーデンに海外拠点を設立しています。 1995年に造血幹細胞への高効率遺伝子導入法「レトロネクチン法」を開発。2002年に寳酒造株式会社の分社化に伴いタカラバイオ株式会社が設立されました。 2004年に東京証券取引所マザーズに株式を上場、2016年に東京証券取引所マザーズから同市場第一部へ市場変更しました。 レトロネクチン法は、アメリカのインディアナ大学と共同開発したもので造血幹細胞などの血球系細胞へ効率よく遺伝子を導入する技術です。 遺伝子医療のひとつである患者さんのリンパ球を取り出して体外で治療用遺伝子を導入してふたたび患者さんに投与する遺伝子改変T細胞療法(Engineered Continue Reading ->

独自のビジネスモデルを展開するシンバイオ製薬 主力製品のトレアキシンとリゴセルチブとは

シンバイオ製薬株式会社の株価が5月に200円台につけてから150円台前後まで下落して低調が続いていましたが、10月に入って200円後半台で高騰、その後に200円台を割り下落、11月に200円台に戻して12月に入ってから再び200円台後半まで上がりました。現在は200円前後で推移しています。 株価の乱高下が激しいシンバイオ製薬は自社の開発拠点や工場を持たずに新薬を提供するビジネスモデルのバイオベンチャー企業です。どのような製薬会社なのかみていきましょう。 [シンバイオ製薬が展開するビジネスモデルとは] シンバイオ製薬は2005年設立、治療が困難とされるような「がん、血液、自己免疫疾患」をターゲットに自社開発や生産を行わずに、他社が開発中の新薬候補を導入して上市を目指すビジネスモデルに展開しています。 導入にさいしては、ターゲットとなる候補を海外ですでに承認されているものや薬効と安全性指標(プルーフ・オブ・コンセプト-POC-)をクリアしている新薬候補を世界中から探索します。これをシンバイオ製薬の吉田社長は「世界中が研究拠点」と述べています。 いままで対象となったものは約1200件に及びます。その中から厳しい導入判断をおこない最終候補となったのは10品目未満です。 導入されたものは臨床開発部隊が上市までの開発戦略を立案した上で治験をおこなっていきます。治験のプロセスの中でシンバイオ製薬がおもに行うのはデータ収集、解析、マネージメントで最短期間での上市を目指します。 現在、シンバイオ製薬の主力製品と展開しているのが「トレアキシン(ベンダムスチン)」です。 トレアキシンは、シンバイオ製薬がドイツのアステラスドイッチラント社から独占的開発、販売に関するライセンス契約を得たものです。日本以外に中国、韓国、台湾、シンガポールに関しての契約を取得しています。 シンバイオ製薬の資産状況は 資本金107億6千万円、総資産額42億5千万、自己資本27億円、有利子負債0円。2017年12月期の売上高は34億4千万円、経常利益は▲39億7千万円、今年度の予想売上高は42億円、経常利益▲30億4千万円です。時価総額は16,0億8800万円です。 直近5年間の売上高は右肩上がり、経常利益はマイナスが続いています。現在、2つのパイプラインを保持、さらに2品目まで増やしたうえで本格成長に向けた事業基盤の構築を目指しています。 [シンバイオ製薬の柱であるトレアキシン] -トレアキシンは血液がんの化学療法剤です- 「トレアキシン」は、2010年10月に「再発・難治性低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫」、2016年8月に「慢性リンパ性白血病」、2016年12月に「未治療低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫」が適応症として承認された化学療法剤です。 非ホジキンリンパ腫は悪性リンパ種のひとつです。リンパ球ががん化して無制限に増殖してさまざまな部位のリンパ節やリンパ組織に腫れやしこりを作ります。 一部のウィルスとの関連性があるものを除いて多くは原因不明の疾患です。治療は分子標的薬と化学療法剤を使った薬物療法、放射線療法、造血細胞移植などが行われます。 悪性リンパ種は、毎年10万人あたり約15人から20人程度が発症しているといわれ、患者数は約30000人程度といわれています。悪性リンパ種は、大きく「ホジキンリンパ腫(HL)」と「非ホジキンリンパ腫(NHL)」に分けられます。日本において患者数の90%は非ホジキンリンパ腫です。 非ホジキンリンパ腫はがん化するリンパ球の種類、リンパ腫の形、悪性度などに応じてさまざま種類に分けられます。低悪性度ホジキンリンパ腫は、初期治療によって寛解がすることが多い反面、再発を繰り返すことも多く完治する症例が少ないことが知られています。 ※トレアキシンが適応となる非ホジキンリンパ腫は「小リンパ球性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、MALT関連節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、ろ胞性リンパ腫」です。 マントル細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫のひとつでリンパ節内のマントルという部分にあるリンパ球の中のB細胞ががん化したものです。 発症頻度は低く、悪性リンパ腫のなかでも3%程度です。月単位で病状が進行していき薬物療法で治癒をすることがむずかしく標準治療法は確立されていません。 トレアキシンは、がん細胞の中にあるDNAに結合することでがん細胞の複製反応を阻害してがん細胞死(アポトーシス)を引き起こしてがん細胞の増殖を抑制する効果があります。 抗CD20抗体医薬品である「リキツマシブ」もしくは「ガザイバ」と併用して用いられます。非ホジキンリンパ腫の標準療法のひとつとなっています。 ※抗CD20抗体医薬品とは「CD20」と結合してがん細胞を死滅させる効果がある分子標的剤です。CD20はB細胞上に存在するB細胞を活性化させる抗体です。悪性リンパ腫ではB細胞が活発に活動することでCD20が高度に出現し、がん化したB細胞の活性化や増殖などが促進されます。 トレアキシンは、2008年に日本における共同開発と販売に関するライセンス契約をエーザイと締結、販売はエーザイがおこなってきましたが、2020年にエーザイとの販売契約が終了予定で2021年からは自社販売へと切り替えます。 -トレアキシンの今後の方向性は- トレアキシンの適応範囲を広げるために、再発・難治性中高悪性度非ホジキンリンパ腫について臨床試験第III相中、凍結乾燥剤である現在のトレアキシンを病院で溶かす必要がなく扱いやすいようにした新剤形RTD液剤を2021年上半期販売に向けて申請準備中、点滴投与時間が従来の60分から10分になる新剤形RI液剤の臨床試験II相が完了しています。 RI液剤については、いままでの承認されている適応疾患に加えて「再発・難治性びまん性大細胞型B細胞性リンパ種」も対象にしています。 ※びまん性大細胞型B細胞性リンパ種は、悪性リンパ腫の中で30%以上と患者数がもっとも多く中悪性度に属しており比較的進行が早いことが知られています。化学療法や放射線療法に対する反応よく治療効果が上がれば完治が望まれるといわれています。 トレアキシンについては、非ホジキンリンパ腫だけではなく進行性固形がんの臨床試験第I相開始、全身性エリトマドーデスの臨床試験準備中です。 [もうひとつのパイプラインのリゴセルチブ] シンバイオ製薬が持っているもうひとつパイプラインは、アメリカのオンコノバ社の「リゴセルチブ」の「骨髄異形成症候群(MDS)」の治療薬です。日本と韓国における独占的開発権および販売権を取得していて注射剤と経口剤の承認取得を目指しています。 オンコノバ社が注射剤における「再発性・難治性高リスク骨髄異形成症候群」を日本も参画して国際共同第III相試験を実施継続中、経口剤については病態によって準備中から臨床治験第I相準備中の段階です。 骨髄異形成症候群は、「赤血球、血小板、白血球」の血液細胞の大もとになる造血幹細胞の遺伝子が傷つき血球がうまく作れなくなる疾患です。原因は不明で血液細胞が減少することから貧血、感染症にかかりやすくなる、出血しやすいなどさまざまな症状があらわれます。 予後不良で急性骨髄性白血病に移行する場合があります。このことから前白血病状態と呼ばれることがあります。 国内での患者数は推定で約15000人程度と推測されていますが、ほかの病気や高齢が原因となる貧血などと判別がむずかしい場合があって見逃されている軽症者がいるだろうといわれています。 リゴセルチブは、がん関連遺伝子産物の作用を阻害することで、がん細胞の生存や増殖に必要な細胞内シグナルの伝達を抑制してがん細胞を死滅させる新たな作用機序を有する分子標的薬です。 骨髄異形成症候群に対する薬物治療は日本新薬の「ビダーザ」に限られています。臨床試験ではリゴサチブ経口剤とビダーザの併用療法で完全寛解が認められた症例が報告されています。 オンコノバ社の臨床試験結果をみながら注射剤については2019年度中に臨床試験完了を目指しています。将来的には固形がんへの適応を進める予定です。 シンバイオ製薬は、患者数が少なく専門性も高いために治療薬が限られているような「がん、血液、自己免疫疾患」の分野をターゲットにしています。ニーズは高いのですが大手製薬企業が採算性などの面から手を出しにくい空白領域といわれています。 また、パイプラインとなっているトレアキシンとリゴセルチブの対象疾患は高齢者に多くみられるもので、年々、患者数が増加しています。高齢者社会が加速している現代において重要なものになっていくと考えられます。 このような空白領域を埋めるような新しい治療薬が出てくることは病気に苦しんでいる患者さんにとってひとつの朗報になるのではないでしょうか。   Continue Reading ->

2018年12月上場予定のインターメディア事業の「ポート社」 展開している医師監修の「オンラインクリニック」とは

インターネットメディア事業を展開する「ポート株式会社」が2018年12月21日にあらたに上場します。ポート社は特定の領域に特化した「バーティカルメディア」を運営しています。 バーティカルメディアとは、バーティカルが「垂直」と意味をあらわすように特定なコンテンツに対して、ターゲットを明確にして特化することでより深い情報を提供するサービスのことで、専門的に細かなユーザーのニーズに応えるようしたものです。日本語では「特化型メディア」といいます。 おなじようなサービスで「キュレーションメディア」がありますが、キューレーションメディアは横断的に広く浅い情報をまとめという形で提供しているのに対して、それ以上に深い情報を知りたいというユーザーのニーズに応えたものがバーティカルメディアです。 ポート社が展開しているサービスは大きく3つのコンテンツをメインとしています。 [ポート社はどのような会社なの] ポート社は、2011年4月に人材採用支援事業を目的として「株式会社ソーシャルリクルーティング」として設立され、2015年に現社名へ商号変更しました。 ポート社は「世界中にアタリマエとシアワセを」というミッションのもとに、「あったらいいな」ではなく「なくてはならない」を創造することで社会課題を解決できる会社を目指し、インターネットメディア事業を展開しています。 その展開の方法は、ユーザーが日常生活の中で抱える悩みや疑問に対してノウハウを提供する仕組みになります。 常にユーザーが求める情報を提供することで、ユーザーとの関係性の構築やユーザーが求める情報を分析することで新たな情報の提供をしています。 ポート社は、これらを実現するために大きく3つのコンテンツを柱としています。 ◇キャリアパーク 就活、転職、雇用などを中心としたキャリア系情報サイト。ユーザーに対して就職や転職等に関するノウハウの提供、求人情報や就職・転職情報を掲載することでキャリア選択を支援しています。 ◇マネット お金に関するライフサポート型サイト。資産運用やローンなどユーザーが関心の高い分野を弁護士、ファイナンシャルプランナー、金融機関OBなどの専門家が監修。専門家の十分な監修を経た「増やす、借りる、貯める」などのノウハウの提供をおこなっています。 ◇オンラインクリニック 医師や看護師といった医療従事者と医療分野に詳しい弁護士が、正しい病気の知識の基礎知識から対処法や予防法まで誰にでもわかりやすく提供している医療情報サイト。 3つのコンテンツから派生するかたちで、以下の3つのサイトを運用しています。 ◇キャリアパックエージェント 新卒者を対象にした就活における書類選考や面接などの相談やアドバイスをおこなって個人ごとにマッチする企業紹介を行うことで就職できるようにサポート。 ◇ポートメディカル テレビ電話、メール、チャットを通じて医師の診療から薬の処方、決済、薬の配送までをカバーする遠隔診療メディア。 ◇ドクターズ・ダイエット スマホの専用アプリを利用して医師、管理栄養士、看護師、理学療法士などのチームがサポートしてユーザーのダイエットを目指します。ユーザー一人ごとにチームで対応。 展開しているコンテンツのひとつであるオンラインクリニックについて少し詳しくみていきましょう。 [ポート社が展開するオンラインクリニックとは] ネット上には、さまざまな医療情報が蔓延しています。以前、問題になった医療系情報サイトがありますよね。 オンラインクリニックが提供する医療記事の特徴は、記事の作成は医師もしくは看護師がおこない「官公庁、研究期間、教育機関、各種論文、学会発表」など信頼性の高くかつ最新ものから正確な医療情報を提供しています。記事ごとに医療情報の出典元も示されているので参考にすることが可能です。 医療情報以外にも、病気は普段の生活にも密接に関わっている考えから病気に関連した生活情報の提供もしています。 作成された記事は、記事作成者以外の医療従事者がチェックを行うとともに、医療従事者ではないメンバーが一般ユーザーの立場からわかりやすいかを検証、医療従事者が最終チェックを行ったうえで記事が公開されます。 正確でわかりやすい記事によって、ユーザーが健康な日々を送れるようにという思いが込められています。 医療の世界は日進月歩です。そのために、公開後も医療従事者が適宜修正や加筆をおこなって医療情報を最新のものに保つようにしています。 記事の中で使用されているイラストはすべてオリジナルで医療記事と同じように扱われています。 また、医学的な監修だけでなく弁護士によって、記事内容が医療関連法規に抵触していないかなど法律的な側面からもチェックされています。 オンラインクリニックでは、わたしたちの普段の生活に関わる生活習慣病などを中心として以下の項目について情報を絞った形で提供しています。 〇生活習慣病:高血圧、糖尿病、生活習慣病、高尿酸血症、禁煙 〇皮膚疾患:AGA(男性型脱毛症)、脱毛症、性感染症 記事はポイントとなる点をあげながら、そのポイントを説明する形で構成されていています。豊富なイラストを用いて見やすさを重視する形で作られています。 ひとつひとつの記事が長めの構成になっているのでじっくりと読むようになっています。特定の分野に特化した確度の高い記事ということから考えて必要なことでしょう。 記事以外に、「高血圧と脱毛症」については専門医師に質問することが可能です。専門医による非常に詳しい回答をえることができます。 ほかには、健康チックツールとして「心臓発作危険度チェック、脱毛症診断チェック、高血圧発症率チェック」を提供しています。チェックの出典の根拠があきらかで細かい入力項目になっていているので参考になるのではないでしょうか。 このように専門家の厳しい監修の中で作られているオンラインクリニックは、ネット上でさまざまな情報が錯綜している中で好ましいものといえるでしょう。今後はコンテンツ内の拡充が望まれるところですね。 ポート社の売上高、経常利益、時価総額は ポート社の平成30年度の売上高は19億3100万円、経常利益は▲1億3600万円です。平成31年度は売上高13億4800万円、経常利益は黒字に転じて2億3100万円と見込んでいます。経常利益は平成30年度まで4期連続の赤字でしたが、売上高は概ね右肩上がりに推移してきています。 平成30年度の総資産額は12億9100万円(純総資産額5億2000万円)、平成31年度の総資産額は14億6700万円(純総資産額7億1400万円)と見込んでいます。想定される時価総額は約160億円です。 Continue Reading ->

武田薬品工業がシャイア―社を合併へ 希少疾患の大手リーディングカンパニーである「シャイア―社」とは

2018年5月に、武田薬品工業はアイルランドの製薬会社大手の「シャイアー社」を買収することで合意したと発表、10月18日には、日本公正取引委員会から独占禁止法上問題ないとする承認を取得したと発表がありました。 武田薬品は、すでにアメリカと中国でも同様の承認を取得しています。残るヨーロッパについては、近々に当局の判断がでるとされています。今後は、12月5日の臨時株主総会での同意を得た上で正式な買収手続きがスタートする予定です。 武田薬品のシャイアー社の買収金額は約6兆8千億円という大型買収です。 今回の買収で、武田薬品のクリストフ・ウェバー社長兼CEOは「研究開発型グローバルバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーとなることがビジョン」、「買収によって年間4000億円以上の研究開発投資可能になることで、売上高では世界の製薬企業のトップ10入りを果たせる」と説明しています。 ※現在、武田薬品の売上高は国内で1位、世界で16位です。 武田薬品が買収をすすめている「シャイア―社」はどのような会社なのでしょうか。 [シャイア―社とは] -シャイアー社は4人ではじめたベンチャー企業- シャイア―社の設立は1986年。創業者は4人ではじめたベンチャー企業です。最初に開発したのは骨粗鬆症の医薬品でした。 当初の本社はイギリスのベイジングストークはおかれていましたが、2008年にアイルランドのダブリンに移転。現在では世界各国で事業を展開、従業員数は23000人の大きな企業です。 シャイアーが得意としているのが希少疾患に関する医薬品の開発や製造です。その研究および開発能力は世界でもトップクラスの力を持っているといわれています。「自社販売、アウトライセンス、提携」の3つのチャンネルで事業を展開しています。 2017年12月度のシャイア―社の売上高は約1兆6500億円、純利益は約4600億円と急成長を遂げてきた会社です。武田薬品の2017年3月度の売上高は約1兆7300億円、当期純利益約1150億円です。武田薬品より大きな収益力を持っています。 -シャイアー社の歴史はM&A- ベンチャー企業であるシャイアー社が急成長を遂げていった原動力となったのが積極的なM&Aです。 シャイアー社がM&Aに費やした金額は主なものだけで6兆円を超えています。 最初の買収1997年で、アメリカの徐放性ドラッグデリバリー製品のファーマビン社とADHD治療薬のリッチウッド・ファーマシューティカル社を買収。 2000年代に入ってからは、ADHD治療薬のカナダのバイオケム・ファーマシューティカル社、リソソーム蓄積疾患治療薬を持つアメリカのトランスカリオティック・セラピーズ社、ADHD治療薬のアメリカのニューリバー・ファーマスーティカルズ社、遺伝性血管性浮腫治療薬のドイツのジェリニ社など設立から20年にわたって20社以上を傘下に収めています。 トランスカリオティック・セラピーズ社を買収したことで、生物学的製剤の開発へ進出して希少疾患の開発に注力するようになりました。 2013年には、慢性便秘治療薬のベルギーの消化器系創薬メーカー・モベティス社、培養皮膚を供給する再生細胞メーカーのアメリカのアドバンスド・バイオヒーリング社、輸血による鉄過剰治療薬を開発するアメリカのフェロキン・バイオサイエンス社、表皮水疱症など皮膚病治療の補充療法技術を持つアメリカのロータスティシューリペア社、眼科用バイオ医薬品会社のアメリカのSARコード・バイオサイエンス社、サイトメガロウイルスやC型肝炎ウイルス感染治療薬のアメリカのバイロファーマー社を1年間で一気に買収。 その後も、短腸症候群や副甲状腺機能低下症などの治療剤を手がけるアメリカのNPSファーマシューティカルズ、血液製剤大手であるアメリカのバクスアルタ社を次々と買収。「血液、免疫、腫瘍」といった治療分野への進出を遂げていいます。 シャイアー社は日本の拠点を2013年に設立、日本においてシャイア―社が展開している治療薬は「本態性血小板血症、ゴーシェ病、ADHD、遺伝性血管性浮腫、血友病A、血友病B、無ガンマグロブリン血症および重症感染症」です。 日本で展開している治療薬は一部のもので、日本で承認されていない治療薬、ほかの製薬メーカーへライセンス販売している治療薬など「消化器系疾患、精神神経系疾患、希少疾患、血漿分画製剤」にさまざまなラインナップを持っています。 -豊富なパイプラインを持つシャイアー社- シャイアー社は、第I相臨床試験から承認審査中のものまで含めると約40本の豊富なパイプラインを抱えています。パイプラインとは一言でいうと新薬候補の事で、多くのパイプラインを持っている会社が規模の大きさの指標になると言われています。 約40本のパイプラインのなかで、製品化が見込まれる第III相臨床試験以降のものだけで20本以上あります。それに対して武田製薬のパイプラインは35本で第III相臨床試験以降は14本となっています。 第I相臨床試験から第II相臨床試験のものとして「異染性白質ジストロフィー、ハンター症候群、副甲状腺機能低下症、緑内障、小細胞肺がん、慢性肺疾患、痙攣発作、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症、非アルコール性脂肪性肝炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、膵がん」など。 第III相臨床試験以降ものとして「ハンター症候群、抗体関連拒絶反応、移植患者のサイトメガロウイルス感染症、好酸球性食道炎、成人短腸症候群、小児短腸症候群、感染性結膜炎、潰瘍性大腸炎、先天性血栓性血小板減少性紫斑病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロニューロパチー、小児一次免疫不全、慢性特発性便秘、ドライアイ、急性リンパ芽球性白血病、フォンヴィルブラント病」など。 普段は耳にしないような疾患も多く含まれていますよね。シャイア―社が「血液系希少疾患、神経系希少疾患、消化器系疾患、眼科系疾患」などに力を入れているのがわかります。武田製薬は「がん、消化器系疾患、神経精神系疾患」などに力を入れています。 [今後はどうなるの] 武田製薬の時価総額は約3兆6000億円です。武田製薬の時価総額の倍近い6兆8千億円でシャイアー社を買収するのはなかなか考えられる事ではありません。どのような利点が得られるのでしょうか。 武田製薬はシャイアー社を買収することによって、武田薬品が従来から力も入れていた消化器系疾患や神神経精神系疾患の領域が強化され、希少疾患や血漿分画製剤においてグローバルな規模のリーディングカンパニーとなることを目指しています。 シャイア―社の多くの製品化の期待ができるパイプラインを一挙に得られることは、新薬開発が抱える多額の開発費や製品化できないといったリスクの問題も一気に解決できることが考えられます。 シャイア―社が持っている販売網も併せて獲得することができ、武田製薬の販売網も大きく広がり、日本を拠点としたグローバル企業のひとつとして成長してくことが期待されています。 武田薬品のクリストフ・ウェバー社長兼CEOは「シャイアー社の高度に補完的なポートフォリオとパイプライン、さらには経験豊富な研究員が加わることで、強く当社の変革が加速します。統合後の会社は消化器系疾患領域、神経精神疾患領域、がん領域、希少疾患領域、血漿分画製剤におけるリーディングカンパニーとなり世界中の患者さんに利益がもたらされるでしょう」と述べています。 シャイアー社のスーザン・キルスビー会長は、「当社は、過去30年にわたり希少疾患治療のグローバルリーダーであり革新的な医薬品をお届けしてきました。今回の統合は、さらに強靭な豊富な研究開発パイプラインと世界各地に広範な拠点を有するバイオ医薬品企業誕生の一翼を担うことになります。社会の皆さんに最良の結果をもたらすものと確信しています」と述べています。 今回の買収については、武田製薬がシャイアー社の負債2兆円超を背負うことになること(シャイア―社の買収費用など含めた負債は合計で約6兆円になります)、希少疾患などといった分野の競争が激しいことや将来性はどうなのかなど不安材料があるといわれています。 武田薬品の社長兼CEOとシャイア―社会長の述べている通りに、今回の統合でさまざまな疾患で苦しんでいる患者さんに最良の結果や利益がもたらされることがもっとも望まれることではないでしょうか。今後の動きが注目されますよね。   Continue Reading ->