relugolixの子宮筋腫にたいする有効性

子宮筋腫は、婦人科系の疾患のなかでも患者数が多く、10万人以上にのぼると言われています。筋腫の大きさや症状によっては経過観察となることもありますが、手術や薬による治療が必要となることもあります。

子宮筋腫とは

子宮筋腫は、平滑筋細胞由来の腫瘍が、子宮のさまざまなところに発現する疾患です。子宮筋腫のほとんどは、良性といわれています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

自覚症状があられない患者さんもいますが、子宮筋腫の代表的な症状として、月経量の増加と月経痛があげられます。そのほか、腰痛などの痛み、貧血、頻尿、便秘などの症状があらわれることもあります。

治療は、筋腫の大きさや症状、妊娠希望の有無などをもとに患者さんに合った治療法が選択されます。筋腫が小さく、症状もない場合には、とくに治療は行わず、経過観察となる場合もあります。(詳しくは「子宮筋腫ってどんな病気?妊娠はできるの?子宮筋腫について詳しく紹介します!」を参照)

薬物療法のひとつ、偽閉経療法とは

子宮筋腫の治療方法はいくつかありますが、偽閉経療法もそのひとつです。

子宮筋腫が大きくなる原因には、エストロゲンが深く関わっていると考えられており、一般的に、閉経後には筋腫が小さくなることがしられています。

偽閉経療法は、薬により体内の環境を閉経後に似た状態にすることで、症状を改善し、子宮筋腫を小さくする治療法です。この治療法は、更年期様の症状が出たり、女性ホルモンの分泌が少なくなるため、治療期間は、通常6カ月程度までとなります。薬を中止すると筋腫の大きさは元に戻るため、一般的に、閉経までの期間があまり長くない患者さんや、術前などの一時的な治療に用いられます。


写真はイメージです。 photo by illust AC

偽閉経療法に用いられるおもな薬として、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)アナログがあげられます。

現在、子宮筋腫に用いられているGn-RHアナログは、Gn-RH受容体を刺激する作用を有しており、連続的に刺激することにより、受容体の数を減らし(ダウンレギュレーション)、黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を抑制し、最終的にエストロゲンを低下させることで効果を発揮します。月に1回の注射薬や、1日2回または3回点鼻する薬があります。

また、現在、Gn-RH受容体拮抗薬である「relugolix」の開発がすすめられています。relugolixは、Gn-RH受容体を阻害することにより、LHおよびFSHの分泌を抑え、結果的にエストロゲン、プロゲステロンを抑制します。1日1回経口投与することで子宮筋腫や子宮内膜症の症状を改善することが期待されており、臨床試験がすすめられています。

Gn-RHアナログであるリュープロレリンとの有効性、安全性を比較した試験では、月経量の改善作用における非劣性と、同等の安全性が報告されています。また、疼痛症状にたいする効果をプラセボと比較した試験では、relugolix投与群で57.6%、プラセボ群では3.1%と、relugolixにより有意な疼痛症状の改善がみられています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

子宮筋腫は自覚症状のない方もいる一方で、月経量の増加や痛みなどの症状で悩む方も少なくありません。今後、1日1回の経口薬であるrelugolixが子宮筋腫治療の選択肢のひとつとなり、患者さんの症状改善に寄与していくことが期待されています。

 

 

 

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