腰椎椎間板ヘルニアにたいする新しい治療薬 ヘルニコア椎間板注用1.25単位

腰痛は身近な症状の一つであり、日々痛みと戦っている方は大勢いらっしゃいます。原因が特定できないこともありますが、腰椎椎間板ヘルニアが腰痛を引き起こしていることも少なくありません。

腰椎椎間板ヘルニアとは


ヒトの背骨は、首からおしりの部分まで、26個の椎骨により形成されています。椎間板は、それらの椎骨の間に存在する軟骨で、椎骨にかかる衝撃を吸収するクッションの役割をしています。

椎骨と椎間板のイラスト photo by illust-ac

椎間板ヘルニアでは、椎間板が加齢などにより変性して、本来の位置から飛び出し、付近にある神経を圧迫することで症状が発現します。

腰椎のどの位置の椎間板が飛び出し神経を圧迫しているかで症状は異なりますが、腰痛のほか、片方の脚の痛みやしびれ、動かしにくいなどの障害が出ることがあります。また、両側の脚に症状がでる場合や、排尿・排便障害が発現する場合もあります。

腰椎椎間板ヘルニアは、自然経過で症状が軽くなることが多く、安静やコルセットの装着、理学療法、痛みが強い場合には消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などを使った薬物療法、局所麻酔薬やステロイド薬を用いた神経ブロックなどの保存療法が行われます。

これらの保存療法を行っても十分な効果が得られない場合や、痛みの発作を繰り返す場合、脚に麻痺がある、排尿・排便障害があるなどの場合には、ヘルニアを切除する手術療法が行われます。

新たな腰椎椎間板ヘルニアの治療薬


現在、腰椎椎間板ヘルニアにたいする治療は、大きく分けて保存療法と手術療法が行われていますが、2018年3月、新たな治療薬として「ヘルニコア椎間板注用1.25単位(一般名:コンドリアーゼ)」の製造販売が承認されました(生化学工業株式会社 プレスリリースより)。

“保存療法で十分な改善が得られない後縦靱帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア”にたいして、“通常、成人にはコンドリアーゼとして1.25単位を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与する”となっています。

コンドリアーゼは、グリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸など)を特異的に分解する酵素であり、椎間板髄核内に投与することで髄核の保水能を低下させ、椎間板内圧を下げ、神経への圧迫を減少させる効果があると考えられています。

ヘルニコアを使った治療では、全身麻酔の必要がなく、手術療法と比較すると低侵襲であることや、1回の投与で症状改善が望めることから、患者さんのQOL向上に貢献することが期待されています。

実際に、臨床試験では、投与後13週における最悪時下肢痛の変化量において、プラセボ群と比較して有意な改善がみとめられています。

日本においては、科研製薬株式会社が販売する予定となっていますが、発売時期についてはまだ発表されていません。

写真はイメージです。 photo by photo AC

腰痛や下肢痛、しびれなどで日々悩む方は多く、効果的で安全性の高い治療法が望まれています。

今回、腰痛椎間板ヘルニアにたいする原因療法の新たな選択肢としてヘルニコア椎間板注用1.25単位が承認されたことにより、患者さんの症状の改善、QOLの向上に寄与することが期待されています。

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