医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)-その予防と管理

写真はイメージです。photo by Defence Images [医療関連機器圧迫創傷?] 「医療関連機器圧迫創傷」(MDRPU-「Medical Device Related Pressure Ulcer」)という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。 2013年に、日本褥瘡学会のシンポジウムにおいて定義された名称ですので、まだ、耳慣れない言葉かもしれません。 [医療関連機器圧迫創傷とは] 現代の医療現場において、医療機器は欠かせません。 例えば、救急搬送された時、一般病棟に入院している時に、状況に応じていろいろな種類の医療機器が使用されます。 医療関連機器は、どうしても皮膚に直接密着する機器が多いため、医療機器と皮膚が接触する部分や固定されている部分に、 「発赤、水疱、出血、潰瘍、皮疹、循環障害、神経障害、違和感、疼痛、しびれ、かゆみ」 などが発生することが見られることがあります。これを「医療関連機器圧迫創傷」といいます。 疾病の診断、治療、予防のために、医療機器を患者さんに用いた結果、サイズや形状が合わない、患者さんへの取り付け部位の状態が良くない、適切な取り付けされなかったことが原因になります。 なお、従来からある「床ずれによる褥瘡」と広義の意味では同じですが、床ずれは自重が原因ですので、医療関連機器圧迫創傷とは区別して考えます。 [医療関連機器圧迫創傷の状況は] 2013年に行われた調査では、医療関連機器圧迫創傷についての発生頻度は、以下のように施設によってなります。小児専門病院と大学病院が高い率であることがわかります。 広義の褥瘡の中で医療関連機器圧迫創傷の割合(%) 一般病院 12.4% 療養型病床を有する一般病院 6.4% 大学病院 20.0% 小児専門病院 50.0% 介護老人福祉施設 1.8% 介護老人保健施設 5.5% 訪問看護ステーション 12.9% 医療関連機器圧迫創傷が、どのような医療機器によって多いかは、各施設によって、受け入れる患者層や病気の違いから、医療関連機器圧迫創傷の原因となる医療機器が異なります。 特に、65歳以上の高齢者、乳幼児、急性期の患者さんに多くみられます。 各施設で医療関連機器圧迫創傷が多い医療機器 一般病院 ギプス及びシーネ、医療用弾性ストッキング、気管内チューブ 療養型病床を有する一般病院 医療用弾性ストッキング、NPPVマスク、手術用体位固定用具 大学病院 体幹装具、NPPVマスク、手術用体位固定用具 小児専門病院 体幹装具、NPPVマスク、気管切開カニューレ固定具 介護老人福祉施設及び介護老人保健施設 車椅子のアームレスト・フットレスト、車椅子のアームレスト・フットレスト、抑制帯 訪問看護ステーション 経ろう管チューブ(胃ろう等)、経鼻酸素カニューレ、ベッド柵 [医療関連機器圧迫創傷を防ぐために] 医療サービス者にとって、「医療関連機器圧迫創傷」を考えた上で治療していく必要がでてきます。 日本褥瘡学会は、これらの状況を踏まえて、2016年5月には、医療関連機器圧迫創傷についての「定義、実情、予防、治療、ケア方法」を日本褥瘡学会が「ベストプラクティス 医療関連機器圧迫創傷の予防と管理」としてHP上に公開しました(現在は、書籍化もされています)。 学会では、MDRPUの発生要因を大きく、「機器要因(使用する医療機器)」、「個体要因(患者さんの状態)」、「ケア要因」として3つに分類しました。 さらに、15の危険因子として細分化することによりリスク管理の指標とし、リスク保有者を判断するようにガイドしています。 あわせて、医療関連機器圧迫創傷の予防・管理に関するフローチャートが作成されていて、医療関連機器を装着したすべての患者さんに適用されるものとしたスタンダードな方法を示しています。 そのなかでも、「医療機器装着前のケア計画の立案と実施」については、細かく、指摘事項をあげていて、医療関連機器圧迫創傷を未然に防ぐには、どうしたらいいのかということが書かれています。 [医療関連機器圧迫創傷を知りましょう] このガイドラインをもとにして、医療関連機器圧迫創傷を防ぐために、各医療機関において、さまざまな対策が取り入れられています。ガイドラインには、おもに「安心して、医療を提供するには、どうしたらいいのか」といったことが示されています。 患者さんからすれば、医療関連機器の取り扱いは、どうしても任せることになります。危険性の認識は、まったくないかあっても希薄なものでしょう。 患者さんによっては、我慢してしまう事も多くなるのではないでしょうか。どうしても、遠慮がちになる方もいらっしゃると思います。 少なくても、何らかの異常を感じたら、医療スタッフに伝える意識を持つ必要があります。 医療関連機器圧迫創傷については、日も浅い事もあり、一般にも、広く周知されることが望まれます。   Continue Reading ->

単極性うつ病の再発防止に対する薬物療法 リチウムの単独投与が有効

写真はイメージです。photo by Mateus Lucena うつ病は年々増加しており、現在15人に1人は人生の中でうつ病にかかることがあると言われています。治療により回復することが多い疾患ですが、中には再発や重症化して入院が必要となることもあります。 うつ病は単極性障害と双極性障害にわかれる うつ病は単極性障害と双極性障害に分類されます。一般的に単極性障害のことをうつ病、双極性障害を躁うつ病と呼びます。 単極性障害は気分が沈む、眠れないなどのうつ状態がみられるのが特徴です。脳が上手く働かなくなるため、物事を否定的にとらえてしまいます。 発症の原因はいまだ解明されていませんが、様々な因子が影響しあい発症すると考えられています。仮説はいくつかありますが、うつ状態の脳内ではセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が欠乏し、神経細胞間で上手く働かなくなっていることが原因のひとつと考えられています。 このことから、単極性うつ病の治療にはセロトニンやノルアドレナリンが神経細胞間で増えるように働きかける抗うつ薬が主に使用されます。また、症状に合わせて抗不安薬や睡眠導入薬が用いられることがあり、患者さん一人一人に合った治療法が選択されます。 双極性障害には躁状態がある 一方で双極性障害ではうつ状態に加えて、躁状態がみられます。躁状態では気分が高まり、まったく眠らずに活動を続ける、散財をする、誰かれ構わず話しかけるといった症状がみられることがあります。双極性障害では躁状態とうつ状態が繰り返しみられるのが特徴です。 双極性障害の発症にもストレスや遺伝などさまざまな因子が関わると考えられていますが、詳しくは解明されていません。脳内での変化もいくつか仮説がたてられていますが、どれも明確には解明されていない状態です。 双極性障害は治療を放置すると再発する危険が高い疾患のため、長期的な治療が必要となります。双極性障害の治療にはドーパミンなどの神経伝達物質を遮断する作用のある抗精神病薬や気分の波を抑える作用をもつと言われる気分安定薬が主に使用されます。また、気分安定薬には再発を抑える作用もあると言われています。 特にリチウムは近年、双極性障害の再発予防だけではなく、重度単極性障害の再発予防にも効果があるのではと期待されています。 単極性障害の再発予防治療 双極性障害と同じく、重度の単極性障害でも再発が問題となります。しかし、単極性障害の再発予防における薬物治療についてはあまり研究がされていませんでした。 そこで2017年6月に発表された論文「Pharmacological Continue Reading ->