女性にとって、女性特有の病気は気になるものです。今回は、近年、増加している子宮体がんについてです。
子宮のがんとは
女性特有のがんである子宮がんは、主に、子宮の入り口付近にできる子宮頚がんと子宮の奥の方にできる子宮体がんに分ける事ができます。
日本では、従来、子宮がんと言えば子宮頸がんでしたが、近年、子宮体がんが増加しています。
子宮体がんは、40歳頃から発症が見られはじめ、50歳から60歳に発症のピークを迎えます。
子宮体がんのリスク
子宮体がんの発生するリスクとしては、
出産経験がない、遅い閉経、肥満、月経不順、糖尿病、高血圧、卵巣ホルモン剤を使用した治療、乳がんの既往歴などがあげられます。
これらのリスクは、女性の晩婚化、未婚率の上昇、妊娠回数の減少、食生活の欧米化(脂肪摂取量の増加)など
女性の生活スタイルの変化にも起因しているかもしれません。
意図的に体重減少すると子宮体がんの発生リスクが減少する
特に、生活スタイルに起因する肥満はいろいろな病気の温床です。今まで、肥満とがん発症(もしくはそれ以外の成人病)とのリスクに関連する研究は数多く報告されてきています。
しかし、肥満からの積極的な体重減少とがんの発生率のリスクについての研究は、ほとんどされていません。
そのような中、2017年に米国臨床腫瘍学会が「意図的な体重減少と子宮体がんのリスク(原文英語)」という興味深い記事を発表しました。
体重減少と子宮体がんには関係があるのか
この研究は、50歳から79歳の閉経後の女性35000人以上を対象に、体重及び子宮体がんの発症の追跡調査(観察研究)を10年以上という長期にわたり行ったものです。
特に、体重について、体重の減少が意図的であったかどうかを検証しています。なお、この観察期間中に、子宮体がんを発症した人数は566人になります。
発表された研究において、体重減少による発症のリスクは、体重に変化がなかった女性と比べてみますと、以下になります。
体重が5%低下した女性 | 子宮体がんのリスクが29%低下 |
肥満があり意図的に体重を5%以上減量した女性 | 子宮体がんのリスクが56%低下 |
肥満があるも意図的な体重減量後にBMIが正常値になった女性 | BMIが安定して正常値であった女性とリスクが同等 |
体重が約4.5キロ以上増加した女性 | 子宮体がんのリスクが26%上昇 |
積極的な減量は子宮体がんのリスクをさげた
結論として、肥満女性について積極的な減量が子宮体がんのリスク低下の一つの要因であることが示されました。
特に、中高年だからといい、肥満からの積極的な体重減少が遅すぎる事はないという点が着目されます。
体重増加により、リスクが上昇している点も見逃せません。
生活習慣の見直しを考慮してみては
肥満のある女性において、食事や運動の面から生活習慣を見直し、積極的に減量を行うことが、自分の身を守るすべになりそうです。
心当たりのあるかたは、生活習慣を見直される事に取り組んでみてはいかがでしょうか。
今回は、子宮体がんについての研究結果ですが、他の病気についても、積極的な体重減少がリスクを下げる事にもつながるのではないでしょうか。
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