狂犬病ー恐ろしさを知らないのは日本人だけ!?

「1957年」。それは1950年に施行された狂犬病予防法により日本が狂犬病清浄国になった記念すべき年です。

1957年以降日本国内における人および犬の狂犬病感染は認められていませんが、世界的に見ると狂犬病清浄国と呼ばれているのは日本、台湾、オーストラリア、グアム、ニュージーランド、フィジー、ハワイ諸島、アイスランド、アイルランド、英国(グレート・ブリテンおよび北アイルランド)、スウェーデン、ノルウェーなどの島国だけです。

しかし2006年にはフィリピンから帰国した日本人2人が狂犬病を発病してなくなっており、人および動物の行き来も激しい現在、いつ日本に狂犬病が入ってきてもおかしくはありません。あなたの愛犬は毎年一回の狂犬病ワクチンを受けているでしょうか?もしも受けたことがないのであれば、今一度狂犬病の恐ろしさを学ぶ必要があります。

 

・狂犬病とは?

狂犬病はRhabdoviridae科Lyssavirus属の狂犬病ウイルス(Rabies virus)によって引き起こされる、人を含む全ての哺乳類に感染する人獣共通感染症です。


狂犬病ウイルスの電子顕微鏡写真 photo by wikipedia

この病気は発症後の致死率がほぼ100%と非常に高く、全世界で恐れられている原因となっています。現在では、狂犬病暴露前および暴露後ワクチンにより症状の発生は抑えられるとされていますが、2017年3月現在WHOの発表によれば年間10000人の犠牲者のうち99%は犬からの感染(咬傷)で、95%はアジアおよびアフリカ地域で発生しているとされています。

また、犠牲者のほとんどが15歳以下の犬と遊ぶ年齢の子供であることも特徴的です。そのため現在日本が狂犬病清浄国だとしても、いつ入ってくるかわからない病気の対策として愛犬に狂犬病ワクチンを打つのは非常に大切です。


写真はイメージです。 photo by pixabay

・狂犬病の症状

狂犬病はウイルスを含む体液(通常は唾液)と、粘膜または外傷が直接触れることによって感染が成立し、通常1−3ヶ月の潜伏期間があります。初めの症状としては、咬傷部の腫脹や痛みが起き、その後ウイルスは傷口から脊髄および脳に広がっていきます。神経系までウイルスが到達すると興奮や不安感、全身の麻痺などの神経症状が発現し、昏睡から死に至ります。

また、水を飲もうとした際に、筋肉の痙攣が起きる恐水症状があることから、恐水病の別名もあります。一度症状が発現するとワクチンで予防することはできません。

・狂犬病発生国への渡航について

WHOは狂犬病発生国への渡航に際し、狂犬病暴露前ワクチンを接種することを推奨しています。特に、渡航先でキャンプやハイキングをする場合、または15歳以下の子供は積極的に受けた方が良いかもしれません。

日本では、狂犬病暴露前ワクチンは保険が効かないため一回2万円前後と高く、1ヶ月の間を開けて2回打つ必要があります。アメリカやヨーロッパにおいては、現在は犬よりもコウモリが主要な感染源となっているので気をつけましょう。また、狂犬病発生国で犬に噛まれた場合は慌てずに患部を洗浄し、なるべく早く暴露後ワクチンを受けることが大切です。


写真はイメージです。 photo by pixabay

・まとめ

WHOは2030年までに狂犬病の死亡者を0にする目標を立てています。狂犬病暴露後ワクチンは、全世界で年間1500万人が受けていますが、知識がなければその選択をすることさえできません。狂犬病は非常に致死率が高い病気なので、清浄国に住んでいるからと言って安心せずに、常日頃から危険性を認識しておいてください。

 

 

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