小鳥に隠れるオウム病の脅威

インコ、オウム、文鳥…どれも可愛い小鳥たちですが、この愛らしい鳥たちがあなたに死の危険性がある病気を伝染する可能性があることをご存知でしたか?2017年4月、日本で初めてオウム病に感染した妊婦が亡くなり、改めてこの疾患の重要性が認識されつつあります。そこで今回は人獣共通感染症の一つである、オウム病をご紹介したいと思います。


写真はイメージです。 photo by pixabay

オウム病とは?

オウム病はクラミジアという細菌の一種である、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)の感染によって起こる病気です。鳥類に感染した場合はほとんどが症状を示さず、ストレスなどの要因によって発病します。ただ、症状を示していない場合でもクラミジアを排出するため注意が必要になります。

人間は主にクラミジアを吸入することによって感染し、1-2 週間の潜伏期間を経て、発熱、咳、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状を示します。ただ中にはインフルエンザ様の症状を示す肺炎型以外にも敗血症様症状を示す型があり、悪化した場合髄膜炎、多臓器障害、ショック症状を呈し致死的な経過をとることもあります。オウム病の治療ではミノサイクリンやクラリスロマイシンなどのクラミジアに対して効果のある抗生剤を使用することが多いです。


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オウム病の疫学

オウム病の過去2006年から2016年までの発生数は年間6-29件であり、そのうち3人が亡くなっています。傾向としては50-60代の患者が多く、5−6月の発症が多く報告されています。感染患者の中で90%以上が鳥類から感染したことが確認されており、そのうち60%がインコ・オウム類、25%程度がハトからの感染とされています。

このようにオウム病はペットである鳥類からの感染が多いのですが、いったいどのくらいのペットがオウム病を保持しているのでしょうか?現在飼育鳥は毎年20万羽が市場に流通しており、この中で捕獲時にオウム病クラミジアに感染している鳥類は4-5%とされています。しかし輸送時などに他の鳥と接触し感染が拡大することで、販売時には健康に見える鳥類の10-20%が感染しているとの報告があります。計算してみると以外に多い数の鳥が感染している可能性があることがわかりますね。

オウム病の予防

オウム病の予防で一番大切なことは、飼育鳥類との過剰な接触(口移しで餌を与えるなど)を避けることです。また購入時には症状を示していなくても、鳥がオウム病に感染している可能性はあるため、こまめに体調の管理をしてあげることも大切になります。鳥類におけるオウム病の一般的な症状は元気消失、食欲減退、削痩、鼻腔からの漿液または化膿性の排液、結膜炎などです。これらの症状が確認された場合には早めに隔離し、獣医に連れて行くことが必要でしょう。症状を示した鳥と接触する場合には、吸引予防のためのマスクを着用することも大切です。

また野生鳥類との接触においても、乾燥した糞などを過剰に吸引しないように気をつけましょう。妊婦において死亡率が高くなるという報告はありませんが、妊婦の方は鳥類に触らないほうが無難かもしれません。


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最後に

見た目は可愛らしい小鳥たちですが、実はこんなに怖い病気が隠れています。特に女性ではインコとの濃厚接触による感染例が多いとの報告があるので、十分に気をつけてくださいね。

 

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