母乳育児が子宮内膜症リスクを軽減!母乳育児のメリットについて

赤ちゃんへの授乳方法としては、完全母乳と、母乳とミルクの混合、完全ミルクの3種類がありますが、多くの産院は母乳育児を推奨しています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

母乳育児は、愛着形成の促進や免疫を赤ちゃんに与えるといったメリットがあること以外に、子宮内膜症のリスクを軽減することが近年の研究で分かっています。

2017年の8月の医療雑誌BMJでも母乳栄養と子宮内膜症の関連を指摘した記事の掲載がありました。

当記事では、生涯にわたって3年以上母乳育児をした人のほうが、1ヶ月未満の人にくらべて、子宮内膜症になるリスクが低くなるという研究結果を示していました。では、母乳育児と子宮内膜症の関連とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 

〇子宮内膜症とは

子宮の中には子宮内膜といった膜が存在します。

通常、子宮内膜は子宮内にのみ存在するものですが、これが卵管や卵巣といった別の場所で増殖してしまうと子宮内膜症となります。

子宮内膜は、月経とともに剥がれ落ち、排卵日が近づくにつれて受精卵が着床しやすくするために厚くなってゆき、着床が成立しなければ生理としてまた剥がれおちるというサイクルを繰り返します。


子宮の構造 photo by illust AC

しかし、子宮以外の場所にある子宮内膜は、月経とともに剥がれ落ちることなくとどまります。

そのため、月経が繰り返されるたびに進行し、これが増殖したりほかの臓器と癒着したりすることで様々な影響を及ぼします。

多くは、月経過多や貧血、性交痛、腰痛などといった様々な症状を引き起こし、場合によっては不妊の原因となることもあります。

 

〇子宮内膜症の原因

子宮内膜症の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、月経血が卵管から逆流し、これが子宮外でとどまってしまうために起こってしまうという考えが有力視されています。

近年では、初経年齢が10~14歳で平均12.3才前後とされており、以前に比べて早くなっている傾向にあります。

しかし、これに対して、女性のライフスタイルの変化などから晩婚や晩産が進み、妊娠・出産によって生理が中断される時期が短くなっています。

そのため、一生で経験する生理の回数は戦前の約10倍にものぼるとも考えられており、これらが子宮内膜症の発生リスクを高めているとも考えられています。

 

〇母乳育児が子宮内膜症のリスクを軽減させるわけ

母乳育児を行っていると、母親の脳下垂体からは「プロラクチン」という女性ホルモンの分泌が妊娠していない時期に比べて増加します。

非妊娠時のプロラクチンの正常値は大体3~30ng/mlとされているのに対し、授乳期は100~200ng/mlにものぼります。このプロラクチンは排卵を抑制する作用があるため、母乳育児を行っている人は、混合育児や完全ミルクによる育児を行っている人に対して、生理の再開が遅れる傾向にあります。

このように母乳育児を行っていると、妊娠・出産から生理が、再開されるまでの期間が空きます。子宮内膜症の原因として、以前と比べると生理が中断される時期が短くなり、一生で経験する生理の回数が多くなったことがあげられました。

そのため、母乳育児によって子宮や卵巣を休ませる期間をもうけて生理の回数が減少することが、子宮内膜症のリスクを軽減させると考えられています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

〇まとめ

母乳育児は愛着形成や免疫の面でのメリットだけでなく、このように子宮内膜症の発生リスクを減少させるといったメリットがあります。

もちろん、混合育児や完全ミルクによる育児にもそれぞれメリットがあるため、これらのことも踏まえたうえで自分に合った授乳スタイルを見つけましょう。

 

 

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