骨折の危険因子とは 短い睡眠と過去の骨折歴は危険因子

骨折は痛みとともにQOLの低下をも引きおこします。とくに高齢者では骨折により寝たきりの状態になることは少なくなりません。骨折のリスクを理解し、日ごろから気を配ることが大切です。

骨折の分類

骨は若干の弾力性と柔軟性を持っており、骨折しにくい構造になっています。しかし、一時的にたえきれない強い力が加わった場合や持続的に力が加わった場合などいくつかの原因により骨折がおきることがあります。


写真はイメージです。 photo by moritz320

骨折は状態により治療法がことなることから性状や部位、外力のかかり方などにより様々な分類がなされます。

性状による分類では外傷性骨折、疲労骨折、病的骨折にわけられます。外傷性骨折は、健康な骨に外力が加わることによりおきた骨折をさします。

これに対し、疲労骨折はわずかな外力が繰り返し加わりおこる骨折のことをさし、骨肉腫などの疾患により骨がもろくなり、そこに外力が加わることでおこる骨折を病的骨折とよびます。

骨折では一般的に痛みや腫れ、内出血がみられます。骨折の基本的な治療は折れた骨を正常の位置にもどし、固定することです。状態によっては手術が行われる場合もあります。

また、治療後のリハビリも筋力量の減少をおさえ、機能を回復するために重要となります。

骨折の危険因子の調査

近年、高齢化にともなう医療費の増加が問題となっていますが、骨折も医療制度に負担をかける一因となっているといわれています。そのため、予防のよびかけが必要となりますが、発生率や危険因子などの詳しい情報についてあまりデータがありませんでした。

そこで中国では大規模な調査を行い、「National incidence of traumatic fractures in China: a retrospective survey of 512,187 individuals」を報告しています。

2014年に頭蓋骨、胸骨、肋骨を除く胴体または腕、脚を外傷性骨折した512,187人を対象に年齢や民族、喫煙、飲酒、睡眠時間などさまざまな項目について調査を行い解析しています。

その結果、外傷性骨折の発生率は1,000人あたり3.21人となり、すべての年齢層で7時間未満の睡眠と過去の骨折歴は骨折の危険因子となることが示唆されました。

また、飲酒は15歳以上の成人の骨折リスクを上昇させ、喫煙は若年層、中年層の危険因子となることがしめされました。その他にも高BMI、低BMIともに危険因子となる可能性や、失業者では仕事をしている人にくらべて骨折リスクが高いことを報告しています。


写真はイメージです。 photo byskeeze

このことから、筆者は予防的取りくみとして飲酒運転の禁止や禁煙の促進、十分な睡眠時間の確保、適切な体重維持を促す策を実施するよう呼びかけています。

誰にでもおこる可能性のある骨折ですが、今回大規模な調査により詳細な危険因子が報告されました。生活の見直しによりリスクを軽減できる場合もあるため、日ごろから生活に気を配り、健康的な生活を維持していきましょう。

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