帯状疱疹の予防法とは?!

日本では、年間60万人以上の方が帯状疱疹を発症するといわれています。60歳以降は特に発症数が急増し、帯状疱疹後神経痛のリスクも高まることから、発症後の治療だけではなく、予防に努めようとする動きがでてきています。


写真はイメージです。 photo by illust AC

帯状疱疹と合併症

現在、成人の9割以上は子供のころに水痘に感染したことがあり、帯状疱疹の発症リスクを有していると言われています。また、近年、少子高齢化や核家族の増加などから、水痘にかかっている子供に接し、ウィルスに対する免疫を追加獲得する機会が少なくなってことが一因となり、帯状疱疹の発症数が増えてきています。

加齢やストレスなどで免疫が低下すると、神経節に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)が再活性化し、帯状疱疹を発症します。症状としては、神経に沿ったピリピリ感や痒みの後に、帯状の発疹がみられますが、これらの症状はだいたい20日程度で治まります。

しかし、中には、皮膚症状が改善しても疼痛が残る帯状疱疹後神経痛や、角膜炎、視神経炎などの眼疾患、耳鳴りや顔面麻痺などが生じるラムゼイ・ハント症候群、脳炎、髄膜炎などの合併症が発現することもあります。

とくに、帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹患者さんの1~2割程度にみられ、強い痛みにより、その後の生活に支障をきたすこともあります。

高齢者への水痘ワクチン接種

そこで、免疫が低下する高齢者に水痘ワクチンを接種し、帯状疱疹の発症リスクを軽減しようとする動きが出始めました。

海外で行われた研究「A Vaccine to Prevent Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Older Adults」では、60歳以上の水痘ワクチン接種により、帯状疱疹の発症が約半数まで減少したことと、帯状疱疹後神経痛の発症数も約1/3まで抑えられたことを報告しています。その他、いくつかの研究から高齢者への水痘ワクチンの有効性が報告され、欧米など30か国以上で帯状疱疹の予防目的として、水痘ワクチン接種が推奨されています。

日本でも、2016年に、水痘ワクチンを“50歳以上の帯状疱疹予防”目的として使用することが承認されました。費用は全額自己負担となりますが、とくに免疫が低下してくる60歳以降では、帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも、ワクチンを接種することが勧められています。


写真はイメージです。 photo by photoAC

まとめ

現在の成人のほとんどは水痘既感染者であり、且つ水痘にかかっている子供に触れる機会も少ないことから、しばらくは帯状疱疹の患者数は増加の一途を辿るとみられています。

帯状疱疹後神経痛の発現により、その後のQOLが低下する可能性もあることから、50歳をすぎたら一度、水痘ワクチンの接種を検討してみましょう。

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