実は奥が深い!?虫歯の種類いろいろ

◆虫歯とは何か

人の口の中には、おびただしい数の細菌が住んでいます。歯磨きを怠ってそこに栄養がたっぷり詰まった食べかすが溜まってしまうと、その細菌が増えすぎてしまって歯に悪影響を及ぼします。それが虫歯です。


写真はイメージです。 photo by photoAC

具体的には、増殖した細菌が膜を産生してプラーク(歯垢)を形成し歯面にくっつき、それらが作り出す酸によって歯が溶けてしまうのが虫歯の機序です。

◆進行範囲による虫歯の種類

虫歯の種類はいろいろな観点から分類されていますが、もっとも治療法を分けるのが進行度による分類です。

歯は外側から「エナメル質」、「象牙質」、「歯髄」の三層からなっており、虫歯の到達具合によって「エナメル質齲蝕」、「象牙質齲蝕」、「歯髄炎」と呼びます。それぞれの特徴を以下に述べていきます。

エナメル質は人体の中でもかなり硬い組織です。エナメル質に限局した虫歯すなわち「エナメル質齲蝕」では、普通は透明感を帯びている歯が白く濁ります。この段階ではほぼ痛みはなく、初期段階では削らずに薬を塗って直すことができる場合もあります。

象牙質はエナメル質に比べるとやわらかい組織で、エナメル質と歯髄を繋ぐように細い管が無数に存在します。その管には神経が通っているので、象牙質に虫歯が到達すると冷たいものがしみたりものを噛んだ時に痛みを感じたりするようになります。これが「象牙質齲蝕」です。

歯髄は歯の一番内側にあり、神経や血管が多数入った空間です。ここまで虫歯が達してしまうと歯髄の炎症である「歯髄炎」と呼ばれる段階になり、何もしなくても歯がズキズキします。基本的に歯髄は一度侵されると元には戻らないため、こうなると神経をとるしかなくなってしまいます。


歯の構造 photo by illust AC

◆感染の有無による虫歯の種類

虫歯の分類でもう1つ大切な観点が感染の有無です。ここでいう感染とは、菌が歯の内部、特に歯髄の中に入り込んで歯髄に炎症を引き起こすことを指しています。

歯髄まで届いた虫歯のうち、感染があるものを「化膿性歯髄炎」、ないものを「単純性歯髄炎」または「漿液性歯髄炎」と呼びます。

化膿性歯髄炎は、虫歯により歯が溶けてしまって歯髄が外に出てしまうことで起こります。ズキンズキンとした痛みや温めると痛みが悪化することが特徴です。この場合は、歯の神経を全部取ってしまう「抜髄法」という治療が適用されます。感染がある歯髄炎でも、さらに細菌により歯の神経が腐ってしまう「壊疽性歯髄炎」や生体防御反応により歯髄が露出した部分にポリープのようなものができる「増殖性歯髄炎」などもあります。

単純性歯髄炎は、歯髄は露出していないけれどエナメル質、象牙質の虫歯への免疫反応で歯髄に炎症が起こったものを指します。こちらは、特に冷たいものがしみるという特徴があります。この場合は歯の神経を残せる可能性があるので、虫歯の範囲が小さいうちはまず薬物療法を試します。


写真はイメージです。 photo by illust AC

◆まとめ

一口に虫歯と言っても、種類によって治療法が少しずつ変わってきます。虫歯がきになるなと思ったときは、早めに歯科医院を受診して、相談してみてください。

 

 

 

 

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