心房細動と肥満との関連とは

心房細動は、心房内に流れる電気信号の乱れによっておこる不整脈の一種です。歳を重ねるごとに発生率は高くなり、日本においては70万人以上の方が心房細動をもっていると推定されています。

心房細動とは?

心臓は、心臓内でつくられる電気信号によりコントロールされており、規則正しいリズムで拍動しています。しかし、心房内を流れる電気信号に異常が発生すると、心房が痙攣したように震え、脈が不規則に速くなり心房細動が発生します。

自覚症状がない場合もありますが、動悸や運動時の疲労感、胸の不快感、めまいなどの症状がみられることがあります。


写真はイメージです。 photo by photo AC

心房細動自体は命に関わる病気ではありませんが、心拍数が高い状態が長く続くと、心臓の収縮機能が低下して心不全を引きおこすことがあります。

また、心房細動が起こると、心房内からうまく血液が送り出せずとどまってしまうため、血液が心房内で固まりやすく血栓ができやすい状態となります。

形成された血栓が血流とともに脳に流れ、血管に詰まると、脳梗塞を引き起こすため注意が必要です。脳梗塞の約15%は心房細動が原因となっており、後遺症や命を落とすケースも多いといわれています。

そのため、治療では、心臓を正常なリズムに戻して維持すること、心房細動中の脈拍数をコントロールすること、脳梗塞などの血栓塞栓症を予防することを目的に、薬物療法や手術など、患者さんに合った治療法が選択されます。

肥満と心房細動

心房細動の危険因子として加齢が挙げられますが、そのほかに高血圧や弁膜症、狭心症などの心臓病、糖尿病、肥満、喫煙、飲酒などにより発症しやすくなることがしられています。

2018年2月に発表された「Relation of Obesity to New-Onset Atrial Fibrillation and Atrial Flutter in Adults」では、心房細動と肥満との関連について解析しています。

この研究では、アメリカの成人67278人(平均約44歳)を対象に、2006年から2013年にかけて追跡し、新たに心房細動を発症した数を肥満群と非肥満群とで比較しています。肥満群では、非肥満群に比べて高血圧(29.5%vs14.6%)および糖尿病(12.7%vs5.2%)の有病者が多くみられました。

追跡期間中、新たに心房細動を発症した割合は、非肥満群では1.8%であったのに対し、肥満群では2.7%となり、肥満群で発症率が高くなりました。

年齢や性、高血圧や糖尿病の有無で調整した解析でも、心房細動リスクは、非肥満群に比べて肥満群で40%高い結果となりました。

このことから、これまでの研究と同様に、肥満は心房細動の発症リスクを上昇させることが示唆されます。


写真はイメージです。 photo by photo AC

心房細動は、それ自体では命を落とす危険の少ない病気ですが、脳梗塞や心不全の原因となることから、適切な予防・治療を行うことが大切です。

今回の研究では、肥満と心房細胞の関連が再確認され、心房細動を予防する戦略のひとつとして、肥満に対処する必要性があることが強調されました。

 

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