今週の医師国家試験 免疫性血小板減少性紫斑病について知っていますか

今週は、免疫性血小板減少性紫斑病についての問題を医師国家試験から紹介します。

免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)について正しいのはどれか。

a 先天性疾患である。
b 骨髄の巨核球が減少する。
c 皮下出血を起こしやすい。
d 関節内出血を起こしやすい。
e 筋肉内出血を起こしやすい。

 

免疫性血小板減少性紫斑病はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、以前は特発性血小板減少性紫斑病とよばれていた病気です。

特発性という言葉の意味は、「ちょっとよくわからない」病気という意味になりますが、研究がじょじょに進み、免疫が関与していることがわかってきてから、欧米を中心に免疫性血小板減少性紫斑病と呼ばれつつあります。

さて、そんな免疫性血小板減少性紫斑病ですが、原因はまだはっきりとわかっていませんが、小児では一般的には、予防接種や風邪などの症状をきっかけとして生じるとされています。

予防接種や風邪がきっかけでできた抗体が、身体のなかの血小板をなぜか異物と認識してしまうことで、体内の血小板が脾臓に破壊されてしまい、体内の血小板が減少します。赤血球や白血球には影響を与えません。血小板のもととなる巨核球にも影響を与えず、血小板のみが減少します。

症状としては、皮下出血(点状出血又は紫斑)を認めます。歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こり得ます。これらの症状は何ら誘因がなく起こります。こういった場合には。副腎皮質ステロイドやガンマクロブリン大量療法に加え、血小板輸血も考慮します。

原因としては、ヘリコバクターピロリ菌の感染が関係している場合があるため、感染が認められる場合には、ヘリコバクターピロリ菌の除菌を行います。

 

といったところで、選択肢をみていくと

先天性疾患ではなく、風邪や予防接種がかかわる病気なのでaは間違い。
骨髄の巨核球は関係なく、血小板のみがかかわる病気なのでbも間違い。
症状としては、軽微な外力による出血が多いため、深部出血である関節内出血、筋肉内出血はあまりみとめず、皮下出血を起こしやすいため

答えはcになります。

 

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