高いフッ素濃度の歯みがき剤を使ってむし歯を防ごう!!

みなさん、毎食後の歯みがきはどんな歯みがき剤を使っていますか?


写真はイメージです。 photo by photo AC

歯周病予防の歯みがき剤や知覚過敏を防ぐ歯みがき剤などいろいろな歯みがき剤が発売されていますよね。いろいろある歯みがき剤の中には、フッ素を配合してむし歯予防の効果の高くしたものがあります。

歯みがき剤に配合されたフッ素は、厚生労働省によって濃度の上限が定められています。いままでは、歯みがき剤のフッ素濃度は1000ppmが上限で、フッ素濃度950ppmの歯みがき剤が多かったのはそのためです。

平成29年以降、フッ素濃度の上限が1500ppmにまで高められ、フッ素濃度1450ppmの歯みがき剤が発売されるようになりました。実は、この1500ppmというのは歯みがき剤のフッ素濃度の世界基準なのです。我が国もようやく世界基準に追いついたといえますね。

今回は、歯磨き剤のフッ素の効果についてみていきます。

■フッ素の効果って?

フッ素は、歯みがき剤の中にフッ化ナトリウムというフッ化物として配合されています。フッ素がむし歯予防に効くという話を聞きいたことはありませんか?

どうしてフッ素は、むし歯を予防してくれるのでしょうか。

○むし歯の原因って?

ストレプトコッカス・ミュータンスなどのいわゆるむし歯菌は、お口の中に残った食べカスなどの汚れなどを利用して乳酸とよばれる酸を作ります。

歯の硬さは、骨よりも硬く、身体の中でもっとも硬い物質と言われています。とても硬い反面、酸には弱く、簡単に溶かされてしまいます。

むし歯とは、歯が乳酸によって溶かされて、穴があいてしまった病態のことです。むし歯の原因は、虫歯菌の作り出す乳酸といえますね。


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○フッ素の効果

フッ素は、お口の中でむし歯を予防する効果を示します。

①むし歯菌が乳酸を作りにくくする

ストレプトコッカス・ミュータンスの働きを抑えて、乳酸を作りにくくします。

②再石灰化を促進する

再石灰化とは、乳酸によって歯から溶け出してしまったカルシウムやリンを再び歯に戻す働きのことです。フッ素は、再石灰化を促進し、溶かされた歯を修復します。

③歯を強くする

フッ素によって再石灰化された歯の表面は、本来のハイドロキシアパタイトからフッ素を取り込みフルオロアパタイトという物質に変化します。

フルオロアパタイトは、ハイドロキシアパタイトと比べて、乳酸に対して強いという性質を持っています。すなわち、フッ素を使うとむし歯になりにくい、強い歯にできるということです。


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フッ素は、主にこれら3つの働きで、歯をむし歯菌から守っているのです。

 

■1450ppmの歯みがき剤を使ってむし歯を防ごう!!

○子供に対しておススメする理由

生えたての歯は、むし歯菌の産生する乳酸に弱く、とてもむし歯になりやすい傾向があります。しかも永久歯は、一度生えると次に生えてくる歯はありません。

生え立ての脆弱な歯を強くするには、フッ化物を使うのが一番効果的です。

従来のフッ素濃度1000ppm以下の歯みがき剤では、予防効果に乏しいとする研究結果もあります。やはり世界標準の1450ppmの歯みがき剤のほうが、再石灰化や歯質を強化する働きに秀でているのではないでしょうか。

むし歯のリスクが高い子どもの場合は、毎食後の歯みがきをフッ素濃度1450ppmの歯みがき剤でするのがいいでしょう。むし歯のリスクがそれほど高くない子どもの場合は、寝る前にフッ素濃度1450ppmの歯みがきジェルで歯をコーティングすることをお勧めします。

永久歯をむし歯から守るために、子どもの頃からフッ素で歯を強くしましょう。


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○大人に対しておススメする理由

大人の場合は、永久歯が生えてから年数が経過しているので、生えた直後の子どもの永久歯のような脆弱さはありません。しかし、大人には大人のむし歯リスクがあります。

年とともに、歯茎は年々下がっていきます。これは歯周病だけに限りません。歯周病でなくても、自然に平均すると1年間に0.2mmずつ減っていくという研究結果もあります。

歯茎が減ってくると、それまでは歯茎に覆われていたところ、つまり歯根が露出するようになります。


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歯根は、象牙質からできているのですが、歯冠のようにエナメル質で保護されていません。その歯根の象牙質部分は、むし歯菌の産生する乳酸にとても弱く、そこからむし歯が発生しやすくなります。これを「根元むし歯(根面う蝕)」といい、中高年に多くみられるむし歯の一種です。

それだけでなく、一度治療して詰めものや被せものをした歯にむし歯が再発する2次カリエスというタイプのむし歯も、子どもの永久歯にはあまりみられませんが、大人に多くみられます。

このように、大人には大人のむし歯リスクがあります。そこで、従来のフッ素濃度950ppmの歯みがき剤ではなく、1450ppmの歯みがき剤を使って、歯を強くしておく必要がありそうです。

 

■むし歯を防ぐ効果的な歯みがき剤の使い方って?

○使用量を適正にしよう

1回あたりの歯みがき剤の使用量は、年齢によって異なります。

6〜14歳では歯ブラシの毛先1cmくらいの量、15歳以上であれば2cmくらいの量が適正とされています。

多過ぎると泡立ち過ぎて、爽快感ばかりが先行する上、磨けていないところが見えなくなるので歯みがきそのものが不十分になるおそれがあります。

反対に少な過ぎると、フッ素の量が足りず、むし歯の予防効果が不足していまいます。


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○うがいの水量を適正に

歯みがきをし終えた後は、うがいをしてお口にたまった歯みがき剤や汚れを吐き出します。このとき、たくさんの水でうがいをするとお口の中のフッ素の濃度が低下してしまいます。

歯みがき後のうがいは少ない水でするのが、ポイントです。うがいに使う水の量はおよそ15mlで1回あたり5秒程度がいいとされています。

15mlとは、大さじスプーンで1杯くらい、ペットボトルのキャップで2つくらいの量です。

 

○使う回数を正しい回数にしよう

フッ素濃度1450ppmの歯みがき剤の効果を高めるためには、使用する回数も適正なものにしたいところです。

歯みがきは、毎食後にきちんと行うとよいといわれ、フッ素濃度1450ppmの歯みがき剤も、食事の回数分は使ったほうがいいです。朝昼夕の日3食なら1日3回ということです。

もし、むし歯が多い、もしくはむし歯の治療中であれば、寝る前にも使ったほうがいいでしょう。なぜなら、睡眠中は唾液の量が減るからです。

唾液には、歯をむし歯から守る働きがあります。お口の汚れを洗い流したり、初期むし歯とも言われる脱灰された歯を再石灰化して治したりする働きです。

ところが、寝ている間は、唾液の量が減ってしまうため、むし歯から歯を守る働きが低下してしまうのです。寝ている間のむし歯のリスクを下げるために、むし歯が多い傾向にある人は、寝る前にも使ったほうがいいのです。

 

○毎日コツコツと使おう

さきほどもお話ししましたが、お口の中では、1日のうちに何回も歯の脱灰と再石灰化が繰り返されています。

脱灰してもフッ素濃度1450ppmの歯みがき剤を使うことで、お口の中を再石灰化しやすい環境にすることができます。

いくらフッ素を1450ppm配合していると言っても、一時的に使っているだけでは効果は限定的ですし、再石灰化の効果も乏しいです。

毎日コツコツと使って、継続的にお口の中の環境をむし歯になりにくい状態に保つことが大切です。


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■まとめ

フッ素濃度1450ppmの歯みがき剤は、950ppmと比べるとむし歯の予防効果が高くなっています。

子どもには子どもの、大人には大人のむし歯リスクがあります。どちらのむし歯を予防するにも、フッ素濃度1450ppmの歯みがき剤の方が効果が高く、お使いになることをお勧めします。

さぁ、1450ppmの歯みがき剤を使って、むし歯を予防しましょう。ただし、6歳未満のお子さんには使えませんので、注意してくださいね。

 

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