便秘がひどくて心配だから大腸カメラをしたけど、なにもなかった。そんな経験をしたことがある慢性便秘症の患者さんもいると思います。
原因のわからない便秘には、機能性便秘と便秘型の過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome : IBS)があります。
機能性便秘と便秘型IBSの違い
機能性便秘には、腸の動きがよわくなる弛緩性便秘と直腸の反応が悪くなり便意を感じにくくなる直腸性便秘、腸が活発に動きすぎて便が通りにくい痙攣性便秘があります。
IBSは症状を説明できる原因がはっきりわからないにも関わらず、腹痛、腹部不快感、便通異常を繰り返している病気です。IBSには便形状に応じて、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型があります。
リンゼス®は便秘型IBSのみを適応とする国内初の薬剤
2017年3月にリナクロチド(リンゼス®)が、便秘型IBSのみを適応とする国内初の薬剤として承認・発売されました。
リナクロチドは体内では、ほとんど吸収されず、腸管の管腔表面にあるグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体を活性化し、腸管内への水分の分泌を活発化させます。
国内第3相試験で、便秘型IBS症状をもつ患者さんに、プラセボとリナクロチドを12週間投与したところ、リナクロチド群では33.7%、プラセボ群では17.5%の効果がありました。
排便への効果は、比較的早期からあらわれ、腹痛や腹部不快感の改善効果は、やや遅れて認めます。
リナクロチド投与時の注意点と今後
リナクロチドは、食前投与と食後投与をくらべた際に食後投与で下痢の出現をおおく認めたため、食前投与となっています。
また、リナクロチドは湿気によわく、内服する前に包装から取り出す必要があり、1包化や分割には適していません。
便秘薬はすでに多くのくすりがありますが、それでも便秘に悩んでいる人は多いです。リナクロチドがそういった患者さんの解決の一助になるといいですね。
参照:添付文書
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