どちらを使う?認可治療薬とオフラベル治療薬

いい薬が出たなら早く使えるようにして欲しい!…と願うのは自分が病気になっても、大切な人がなっても願うことではないでしょうか。

しかし、実際には新しい薬が出ても、それが販売されるまでには多くの試験があります。

また、販売されてもこの病気には認められていない…、そんなことが多いですよね。しかし、医療の現場で医師の判断で「適応外」の説明の後、使用されることがあります。

アメリカで、臨床の場でそんな「適応外」でも有効とされている薬(オフラベル)と米国食品医薬品局(以下、FDA)から認可された薬の比較試験が実施されました。

認可治療薬とオフラベル治療薬の比較試験が実施

The JMA Networkに掲載された黄斑浮腫の症状を持つ網膜中心静脈閉塞症の患者を対象とした治療薬の有効性と安全性を比較する試験によると、362名の患者を対象に実施し、2種類の薬をそれぞれ投与し、6ヶ月後に視力回復を評価しました。

使用された薬は、ベバシズマブとアフリベルセプトです。その結果、視力を測るスコアのVALSがベバシズマブでは18.6、アフリベルセプトでは18.9とほぼ変わらないことが判明しました。

網膜中心静脈閉塞症は、目の網膜内の血管がつまる病気で、血管の衰えやすい高齢者や高血圧の人がかかりやすい疾患の1つです。

症状としては視野欠損、視力低下が起こり、視力に関わる大切な黄斑部分がむくむ黄斑浮腫を引き起こすことがあります。このむくみが続くと網膜の機能が戻らなくなってしまいます。

網膜中心静脈閉塞症の治療

この治療で多く使用されているのがベバシズマブ(商品名;アバスチン)。大腸癌の治療薬として2004年にFDAから承認されている薬ですが、黄斑浮腫に対してはまだ承認されていないオフラベル治療薬です。

しかし、ベバシズマブは分子標的治療薬で血管新生を抑える働きもあるため、臨床の場で使用されているのが現状です。

一方、アフリベルセプト(商品名;アイリーア)は2012年に承認された認可治療薬です。

値段?安全?アメリカでは自分で判断を迫られる

ほぼ、効果の変わらない2つの治療薬の大きな違いはその値段。ベバシズマブが、約$60/投与量に対して、アフリベルセプトは約$1,850/投与量と約30倍となっています。

効果は変わらない2つの薬。しかし、適応外の薬を使用する時は、自分で判断することになります。あなたならどちらを選びますか?

参照:JMA network

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