血圧と心血管疾患の関連性 適切な血圧は疾患によって異なる

 

現在、日本における血圧の基準は日本高血圧学会によるガイドラインが基準となっています。

ガイドラインでは、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、家庭での測定血圧が135/85mmHg以上の場合を高血圧の基準としています。

適正血圧については常に議論されており、日々研究がなされています。今回発表された論文「Achieved blood pressure and cardiovascular outcomes in high-risk patients: results from ONTARGET and TRANSCEND trials」では、血圧と心血管疾患との関連性について報告しています。

血圧と心血管疾患の関連性

この論文では、ラミプリル(ACE阻害薬)またはテルミサルタン(ARB)単独、ラミプリルとテルミサルタンの併用時における血圧を解析に用いています。

解析は56か月間(中央値)にわたって行われ、上記の薬物治療後の平均血圧と心血管イベント(心血管、心筋梗塞、脳卒中)、死亡リスクとの関連について調査が実施されました。

薬剤治療の結果、収縮期血圧が120以上140mmHg未満になった群に比べ、140mmHg以上だった群では心血管イベントの発生率と死亡率が高い結果となりました。

拡張期血圧では70mmHg未満の群が、70mmHg以上の群に比べてリスクが増加する結果が得られました。

収縮期血圧が120mmHg未満で治療を受けた患者は、治療中の血圧が120~140mmHgの患者群に比べ、複合心血管イベントのリスク、心血管死、全死因死亡の増加が認められました。

血圧が影響をあたえない疾患もある

一方で、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院に対しては影響を与えませんでした。収縮期血圧が平均約130mmHg、および拡張期血圧75mmHgのときが最もリスクが低くなり、

収縮期血圧110~120mmHgにおいては脳卒中を除いた心血管イベントの発生率と死亡率、いずれも高い結果となりました。また、拡張期血圧も同様に平均70mmHg未満の場合、70~80mmHgに比べてリスクの増加がみられました。

これらの結果から、薬剤治療により血圧が下がりすぎても心血管イベントの増加を招きうることが示唆されました。高リスク患者の血圧目標は、低すぎることも危険であるということが今回の研究から示唆されました。

参照:The Lancet

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