南インドに生息するカエルの粘液からインフルエンザに効果のある成分が見つかった?

毎年冬になると流行するインフルエンザですが、近年では様々なタイプのインフルエンザが出現しているため、薬剤耐性のあるウイルスも存在しています。

今回、南インドに生息するカエルからインフルエンザウイルスに直接作用する可能性のある成分が発見されました。

成分の名前はウルミン

 

photo by Wikipedia

今回見つかったインフルエンザウイルスに効果のある成分の名前は「ウルミン」です。成分の形がインド武術のカラリパヤットで使用されるウルミという武器に似ていることからウルミンと呼ばれています。

ウルミンはヒトの赤血球には無害ですが、インフルエンザウイルスのみに効果があることが分かっています。

ウイルスに直接作用できるため、ワクチンに応用した場合は従来のウイルスの増殖を抑えるワクチンよりも効果を発揮する可能性が考えられています。

ウルミンがインフルエンザウイルスに作用する仕組み

ウルミンの研究は、アメリカのエモリー大学の研究者がマウスを使って実験しました。

ウルミンは、A型インフルエンザの「赤血球凝集素(HA)」というウイルスの表面から突き出しているくぎ型のウイルスタンパク質を標的としています。

いままで、HAに対する抗ウイルス剤はHAに作用し、ウイルスが細胞内に侵入し増殖することを防ぎます。研究者たちは電子顕微鏡を用いてウルミンを観察したところ、ウルミンはウイルスの増殖を防ぐのではなく直接的にウイルスに作用することを確認しました。

なぜウルミンがウイルスに直接作用できるのか研究者たちは真相を突き止めていませんが、ウルミンがHAに結合した後、粒子の表面に静電気力を働かせて作用しているのではないかと考えています。

ウルミンの活用への期待

ウルミンは、実際に実験用のマウスをインフルエンザウイルスの感染から守ることにも成功しており、インフルエンザの抗ウイルス治療に貢献できる可能性が考えられています。

しかし、ウルミンの成分がどのように働くかまだ解明されていない点もあるため、さらに研究を続けていく必要があります。

一部の海外メディアでは「今後はインフルエンザの予防接種が必要なくなるかも知れない」とも報じていることから、ウルミンの活用に期待が高まっています。

参照:Immunity

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