サカナを精製したオメガ3を主成分とする高脂血症治療薬ロトリガについて

 


photo by Espen Faugstad

近年、生活習慣病という言葉をよく耳にするようになりました。生活習慣病は、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が原因となり発症する疾患の総称で、高血圧や高脂血症、糖尿病などの疾患が含まれます。

生活習慣病を治療しないまま放置しておくと、心血管疾患や脳疾患など命に関わる病気のリスクが高まります。重大な疾患につながる前に食生活の見直しや適度な運動、場合によっては薬による治療が大切です。

高脂血症(脂質異常症)とは

高脂血症は、血中のLDLコレステロールや中性脂肪が増加した状態のことをさします。善玉コレステロールであるHDLコレステロールの減少がみられることもあります。

LDLコレステロールや中性脂肪などの脂質は、通常であれば生命の維持にかかすことのできない成分ですが、増えすぎると害になります。過剰なLDLコレステロールは動脈硬化の一因になると言われていて、心筋梗塞や脳疾患などの重大な病気を引き起こします。動脈硬化を進行させないように過剰な脂質を正常に戻すことが大切です。

現在、高脂血症の治療にはスタチン系、フィブラート系と呼ばれる治療薬やDHA、EPAが配合された治療薬など多数の治療薬が使用されています。患者さんそれぞれの症状やライフスタイルに合わせて、効果的な薬が選択され治療が行われます。

今回は数種類ある治療薬の中からω3脂肪酸であるDHA・EPA製剤にスポットをあてていきます。

DHA・EPA製剤

DHA・EPA製剤として現在、武田薬品から「ロトリガ」が発売されています。

ω3脂肪酸であるDHA・EPAは魚に含まれることで有名な成分です。頭の発達に良いという印象がありますが、脳神経のほかにも脂質にも効果のある成分です。ロトリガは高脂血症への適応が承認されています。

ロトリガは脂質の中でも主に中性脂肪の減少に働きます。肝臓からの中性脂肪の分泌を抑制する作用、血中の中性脂肪の消失を促進する作用、脂肪酸合成に関わる酵素の活性を低下させる作用が報告されており、中性脂肪の減少に効果をあらわすと言われています。

通常1日1回の服用で効果が期待できるため、忙しい方でも服用しやすいお薬です。ただ、食直後(食後10分以内)に飲まないと効果が軽減してしまうため服用の際には注意が必要です。

 

高脂血症を始め生活習慣病の治療は、根気強く治療を続けていくことが必要です。疾患についての知識や薬の働きを理解することで治療のやる気へとつながります。知識を深め、自分に合った治療を継続していきましょう。

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