救急現場での対応・情報をまなぶメディカルラリーとは


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メディカルラリーと出場チーム編成

メディカルラリーとは、医師や看護師、救急救命士といったコメディカルスタッフが5~8名程度でチームを編成して、用意された模擬現場でさまざまな救急状況を想定して、手技の正確性やタイムを競い合うトライアルレースです。

患者役やシナリオに関わるスタッフ

模擬現場では、実際に人がムラージュといって特殊メイクや血糊などを使って、大げさに患者役の演技をします。より現場に近い状況を想定し、臨場感あふれるものになっています。会場も実際の病院の診察室や検査室をそのまま使う事が多く、これもリアリティの演出に1役買っています。

ラリーは5~7程度のシナリオステーションから成ります。1ステーションにつき患者役1~2名、家族などの関係者役1~2名、進行役1名、審査員複数名で運営されます。大きな大会のトリアージ症例(多くの傷病者がでてくる症例)では30~50名もの患者役が用意される事もあります。それだけ大多数の患者役がメイクをして、一斉に本物の現場さながらに騒ぎ、混乱する姿は圧巻です。

出場チームは、大会当日にレギュレーションの説明を受け、運営側の用意したチューターの指示のもとシナリオに取り組みます。チューターは情報の漏洩が無いように、各チーム毎の接触を避け、各ステーション毎への道案内をします。移動する際にはチーム間の重なりを避け、分単位で厳密に設定されています。

出場者から見たラリー

大会のシナリオの緊迫感は正に現場そのものと言えます。

家族役が「早く助けて下さい」「どうなったんですか」などと矢継ぎ早に質問し、緊迫感を演出します。患者役は、分単位で急変していき、血圧や心電図の所見が進行役より提示されます。

出場者は、この状況の中でキーワードや異常な所見を見つけ出し、病気や病状を推測して、症例に合った処置をしていきます。審査員やギャラリーがいるという状況は、いつも以上に緊張感をあおります。多くのシナリオは20分程度で行われますが、出場者は何倍もの時間を感じます。

大会終了後は当日中に閉会式と表彰が行われ、その後に運営側と出場者の懇親会が行われます。運営も大きな大会になると100人以上が関わっています。内訳も医師や看護師のみならず、消防職の救急救命士や警察官など多岐に及びます。普段なかなか関わらない他職種の人と、意見を交換する機会は大変貴重です。

メディカルラリーの位置づけと今後

メディカルラリーは、最新の医療技術や医療の根拠を知る良い機会となっています。いっぽうで、メディカルラリーだけでは収益に結びつけるのは難しく、多くの方のボランティアで成り立っているのが現状です。なかなか運営するのが難しいメディカルラリーですが、今後もより多くの人に救急現場での対応・情報を共有する重要な役割を担っていきそうです。

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