脳脊髄液減少症 本当にツラいのはわかってもらえないこと 軽く?思われがちな「ムチウチ症」


写真はイメージです。photo by Feline DaCat

脳脊髄液減少症をご存じでしょうか?交通事故で多く起こる「ムチウチ症」。名前のポピュラーさから重篤さは感じにくい疾病と思われがちですが、治ったと自分も周囲も思っていても未だに具合が悪い。そんな話を聞くことはありませんか。

首の痛みから頭痛などを発症し、治療後、だいたい3ヶ月で治まるとされる怪我ですが、頭痛、吐き気が長く続くことがあります。

脳脊髄液減少症とは

このような症状が現れるのが脳脊髄液減少症といわれています。別名を「低髄液圧症候群」ともいい、この脳脊髄液が漏れ出すことで、難治性頭痛や吐き気などを引き起こします。

脳には覆っている3つの膜の層があり、1番目と2番目の層の間には、脳脊髄液(脳漿)が満たしており、その働きは、脳を衝撃から守り、栄養補給を行うことです。この脳脊髄液が多いことで引き起こされる病気に水頭症などがありますが、医学界ではこの脳脊髄液は滅多に漏れないものというのが定説でした。

しかし、2000年に脳神経外科医の篠永正道氏が、この脳脊髄液が漏れている患者が実際は非常に多いことを発見したことから、治療や研究を進めて徐々に知られるようになってきました。

症状に加えて治療費負担の苦しみ

この脳脊髄液減少症はいまだに認知度が低く、交通事故後の後遺障害として認定を受けるには難しい場合があります。交通事故被害者にとっては身に起こる症状に加えて、精神的にも大きな苦痛となっている場合があります。

脳脊髄液減少症の治療では、主に血液の固まる性質を利用して、硬膜から脳脊髄液が漏れている部分に血液を注入して、その部分を塞ぐというブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入)を行います。

この治療方法は長く保険適応外でしたが、2012年に厚生労働省から先進医療として認定され、2016年には保険適応となることが発表されました。

痛みはその本人ではないと理解されにくいものです。病気が広く世間に知られ、治療方法が発見されることが何よりも精神的苦痛を減らすのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました