腎臓リハビリ 症状の緩和と生活の質を高めるリハビリテーション


写真はイメージです。 photo by Hey Paul Studios

いままで、慢性腎臓病(chronic kidney disease ; CKD)の患者さんは、運動をすると尿にタンパク質が出やすくなるため、特に進行したCKDでは長らく安静が治療になると考えられていました。

腎臓リハビリテーションとは

しかし、運動で腎機能が改善し得ることが徐々にわかり、腎臓リハビリテーションが普及しはじめています。腎臓リハビリテーションとは、症状の緩和や生命予後の改善のために行われるリハビリテーションで、運動療法、栄養療法、精神的ケアも含めた包括的なプログラムです。

CKDの患者さんは、尿検査の異常から始まり、脂質異常症、高尿酸血症、高血圧、メタボリックシンドロームなどのいわゆる生活習慣病を引き起こし、心血管疾患の発症率を高めると考えられています。また、不適切な栄養管理や運動不足が原因で骨格筋量が減少し、サルコペニアやフレイルになると考えられています。これらの疾患を予防するために、腎臓リハビリテーションを行います。

腎臓リハビリテーションの具体的な内容

実際のリハビリテーションは、何を行うのでしょうか。大別すると、有酸素運動レジスタンス運動(抵抗運動)の2つを患者さんに合わせて行います。有酸素運動は、ウォーキングや自転車こぎ、水泳など中等度程度の負荷を20〜60分間、週3〜5回行うのが良いとされています。

レジスタンス運動は、一般的にいう筋力トレーニングで、負荷量は1回に耐えられる最大負荷量の70%前後を10回、8種目前後行います。これらは週に2〜3回程度行います。透析患者さんにも有効で、透析中に実施する医療機関もあり、専任の療法士がいる透析施設もあります。

もちろん、すべての患者さんがトレーニングをできるわけではなく、血圧や血糖値を参考にしながら行います。

リハビリテーションの効果は、日常生活動作の指標となるBarthel IndexやFIMの数値で判断します。体脂肪率の低下や透析効率の改善も報告されています。これらがCKD患者さんのQOLの改善につながっていくと考えられています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました