ホントはなかった? 造影剤の腎機能障害リスク


写真はイメージです。 photo by IAEA Imagebank

風邪を引いたら葱をのどに巻く、そんな話を聞いたことはありませんか?医学の世界は日進月歩。日々、新しい治療方法や薬剤が研究によって誕生しています。けれど、医学界の常識が本当に真実なのかはまだ、わからないことも多くあるのかもしれません。

造影CTが、腎機能障害のリスクを高めるー。検査の際に気をつけるべき点として周知されていますが、2016年10月、Annals of emergency medicineに掲載された興味深い研究があります。

その目的はそのままズバリ「静脈造影後の急性腎障害のリスク」について。

造影CTで腎障害はおこらない?

この研究は都市部の大規模な学術救急部門で実施されました。対象となったのは、静脈造影投与の有無に関わらずCTを受けた患者、また受けていない患者17,934名でした。

造影剤は特に、腹部での検査で多く使用されています。腸管や腫瘍の精査にコントラストがついて見やすくなるためです。ただ、腎機能が悪化し、造影剤腎症を引き起こすこともあると言われており、通常、腎機能が悪化している患者には使用しないようにしています。

しかし、この急性腎障害に関わる研究は今まで観察が主となっていて、また偏りがあったとして、この研究では、造影剤投与のないCT検査を受けたグループとCT検査を受けたグループ、CT検査を受けていないグループも研究対象に加えました。

その結果、急性腎障害が発生するリスクは造影剤投与グループと造影剤を投与されていないグループとでは、同等だったことが明らかになりました。また、副次評価項目として、造影剤投与後6ヶ月以内に、新たに慢性腎疾患が発症、透析、腎移植が行われたかを調べましたが、関連していないこともわかりました。

現在、造影剤を用いるかはガイドラインもあり、今までの医学常識に合わせて判断していますが、事実が変わればまたその判断も変わってくるのかもしれませんね。

参照:Annals of Emergency Medicine

コメント

タイトルとURLをコピーしました