健康の再定義 「マーガレット・ニューマン理論」に基づく実践的な看護


写真はイメージです。 photo by xersti

アメリカの看護アカデミーが、長きに渡る看護への貢献を認め、一人の看護理論家を「生きた伝説」と称賛しました。理論家の名はマーガレット・ニューマン、若き日の介護を通じて得た理論を後に「拡張する意識としての健康」として提唱しました。

マーガレット・ニューマンと理論背景 

看護にたずさわる者に、大きな指針となっているニューマン理論は、母の介護の中で気づき導きだされました。1933年10月10日、テネシー州メンフィスにマーガレット・ニューマンは、生を受けます。

社会活動に従事していた、母が筋萎縮性側索硬化症を発症。5年に渡る介護生活が始まります。この20代に経験した介護中の気づきが、ニューマン理論の根幹にあります。

介護を通してニューマンが気づいたことは、「病気だから健康ではない」とはならない。大きな病気を患ったから終わりではなく、たとえその渦中でも、ほかの人と同じ全体的存在であると。

ニューマンは健康を「拡張する意識」とあらわしています。これは病いにより、望みがない状態に見えたとしても、新しい可能性を追求し、生きる意味を見つけだす。この過程そのものが、健康であると説いています。

マーガレット・ニューマン理論に基づく看護

ニューマン理論に基づく看護をおこなうためには、看護師が持つそれまでの世界観やケアパターンを変えることが必要です。看護師は病気だけではなく、患者や家族を含めた背景全体を注目すべきだとニューマンは言います。疾患に対する治療だけに注力しているのであれば、医学モデルに準じた看護をしているに過ぎないと指摘します。

ニューマンは、研究対象と呼んだり、処置を加えたりするような、他人(患者)をコントロールすることを嫌いました。相互交流や相互依存などコミュニケーションを積極的におこない、相手との理解を深めます。

ニューマン理論を実践することは、難しさをともなうでしょう。それまでの、漠然と良いと思っていた、見方やケアパターンを全体の意味を捉え行動する看護へと切り替える意識をするからです。

理論に基づき、患者やその家族が苦しんでいるとき、看護師は生きる意味を見いだせるよう寄り添います。それは同時に、看護師がケア・看護の本質と向き合うことを意味しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました