ヒアリ-小さな侵略者たち アナフィラキシーショックにはご注意を

[ヒアリの特徴は]

テレビをつけると「ヒアリ」のニュースが目につきますよね。「ヒアリ」については「テレビ、新聞、ネット」などで、多くの方が関心を持って見られているのではないでしょうか。

もともとは、ヒアリは南米原産のアリです。木材などの輸出によって、おもに太平洋沿岸の国に広がりました。最初に広がったのはアメリカからです。


ヒアリ photo by WIKIMEDIACOMMONS

まずは、ヒアリの特徴をみてみましょう。

特 徴解 説被害の可能性
大きさ・2.5cm~6cm。

・アリの集団を観察すると、多くのアリは大体が同じ大きさですが、ヒアリの集団は大きさがバラバラです

色・形・からだ全体の色は赤褐色で、お尻の部分だけが赤黒色です。

・胸とお尻の間の部分に二つのコブを持っています。

コロニー(巣)・日当たりの良い開けた場所を好みます

・ドーム状のアリ塚を作ります。日本のアリはドーム状のアリ塚を作りません。

・コロニー内には数十万~数百万匹のヒアリがいます。

・コロニーは地中広くにひろがります。

・一つのコロニーには、女王アリが1匹だけの場合と数十匹以上いる場合があります。

・コロニーの地下が道路の下や建物に下まで広がると「道路陥没」などが起きる場合があります。
繁殖力・繁殖力は非常に旺盛です。女王アリは1日に約1000個の卵を産みます。
食性・種子、樹液、花の蜜、農作物、柑橘類といった植物や昆虫や小動物を襲って食べるなど広い雑食性を持っています。・従来あった生態系を壊します。

・農作物や柑橘類を食べるために、農産業に影響を及ぼします。

攻撃性・非常に好戦的です。集団で襲うことも珍しくありません。

・産まれたばかりの動物を襲う習性があります。大型の動物でも襲われます。

・畜産動物も襲い、動物殺したり、目をつぶしたりして畜産業に影響を及ぼします。
・お尻に毒針を持っています。この毒針に刺されるとやけどのような激しい痛みが走ることが、「ヒアリ」の名前に由来になっています。

・一度刺すと複数回刺す性質があります。

・暑い時期や女王アリが生殖力をもつ新女王やオス(ハアリ)を産む時期に毒性が強くなります。

・ヒアリの毒は「アルカロイド毒であるソレノプシン」が主成分です。

その他・変わった特性として、電気に引き付けられる性質があります。・インフラ設備に侵入し、ショートや漏電による停電や火災などの原因となります。
見分け方・アリの専門家でないと見分ける事はできません。日本だけでも約280種類ものアリが存在します。

※ヒアリの被害については、記載した被害以外にもヒアリの発生による不動産価値の下落や観光地の風評被害などで、アメリカでは年間50億~60億ドル以上の被害がでています。

ヒアリは「殺人アリ」という異名がありますが、「ヒアリにさされること」=「命の危険があるということ」ではありません。ヒアリにさされて死亡する確率は「0.1~0.001パーセント」ときわめて低いです。

[ヒアリにさされたらどうなるの]

ヒアリにさされるとどうなるでしょうか。症状には個人差がありますが、必ず非常に激しい痛みが現れます。何度も刺すことや集団で襲う性質から、複数の箇所がさされることになります。

さされた場所は痛みやかゆみを伴い、「赤く腫れて水泡」を作ることが特徴です。紅班やじんましんが現れることもあります。


photo by WIKIMEDIACOMMONS

ヒアリに刺されて危険なのは、「アナフィラキシーショック」を起こすことです。「アナフィラキシーショック」を起こすと、さされてから15分~20分以内に「声がかれる、息苦しさ、激しい動悸、めまい」などを引き起こします。

最悪の場合には、昏睡状態になって生命の危険も伴います。ヒアリにさされたことによる死亡例は、すべて「アナフィラキシーショック」によるものです。しかし、すぐに病院で適切な治療を受ければ死ぬことはまずありません。

ヒアリにさされたら、20~30分程度は様子をみます。さされた場所を冷やして安静にしましょう。体調に変化がないかを注意します。周りに人がいることも重要です。国土が広いアメリカや中国では「周りに人がいなかったこと」が死亡例の要因の一つとして指摘されています。

症状が悪化した場合には、すぐに最寄りの病院か救急病院に行きましょう。救急車を呼んででも行ってください。

症状が悪化せずにアレルギー症状がおきなければ心配はありません。虫さされの薬を塗るか病院にいって処置を受けてください。

[ヒアリが定着するリスクは何?]

ヒアリが定着してしまうと、大きく2つのリスクがあります。

◇ヒアリは繁殖力がきわめて高いため、数十万匹以上のヒア リのコロニーがそこかしこに出来きます。ヒアリとの遭遇率がきわめて高くなり、草むらなどに「ヒアリという地雷」があるようなものです。一時期、話題となったセアカゴケグモの比ではありません。

◇ヒアリは、ただ、さすだけのアリではありません。日本のアリとは違います。ヒアリの特徴として「被害」の項目をあげていますが、被害は「人間をさすこと」だけにとどまりません。


蟻塚 photo by Wikipedia

現在、日本では、水際対策を積極的に進めています。また、「日本のアリの専門家」は他国に比べ層が厚いことが知られています。たいへん、心強いことです。

ヒアリのようなアリを見かけた場合には、決して触ってはいけません。必ず、保健所や地方環境事務所もしくは警察に連絡しましょう。

まだ、ヒアリに対して過度に神経質になる必要はありませんが、万が一を考え、ヒアリには注意するようにしてくださいね。

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