ポリファーマシーとは 薬を多く飲むことのリスクとその解決にむけて

医療の進歩により年々寿命が延びていますが、その一方で、ポリファーマシーという問題も出てきています。最近耳にすることが増えてきた言葉ですが、ポリファーマシーとは一体何なのでしょうか。

ポリファーマシーとは

ポリファーマシーは、いまだはっきりと定義されていませんが、「併用薬が多数あり、必要以上に薬が処方されている状態」をさすのが一般的です。そのほか、重複処方や必要な薬が処方されていない状態もポリファーマシーに含まれるとする意見もあります。

処方が患者さんにとって適切ではない状態、有害事象が起きた、もしくは起こるリスクが高い状態が問題視されており、日本だけではなく、世界中で対策が求められています。

ポリファーマシーの問題点


写真はイメージです。 photo by  flickr

ポリファーマシーが問題となっているのは、おもに高齢者の方々です。歳を重ねるごとに身体の機能は衰え、いくつもの慢性疾患を治療する方が多くなります。そのため、多剤併用の状況になりやすく、薬剤関連の有害事象や服用管理上の問題が起きやすくなります。

現在、日本における併用薬数の状況をみると、70歳以上の方は平均6種類の薬を服用しているといわれています。

高齢入院患者さんを対象に薬剤数と薬剤関連の有害事象の関係を解析した論文では、4~5種類の薬を服用している群では有害事象の発生頻度が8.9%であったのに対し、6種類以上服用している群では約13%となり、有意な増加がみられたことを報告しています。

外来患者さんを対象とした研究でも、4種類以下の薬を服用している群では、転倒発生率が20%以下であったのに対し、5剤以上の服用群では約40%となり、有意な増加がみられることが報告されています。

高齢者の多剤服用が有害事象につながる原因としては、まず生理機能の低下があげられます。薬の代謝、排泄経路である肝臓、腎臓の機能が衰え、有害事象が発生するリスクが高くなります。

薬が多いと、そのぶん薬同士が影響しあう可能性が高くなり、効果の減弱や増強などから有害事象につながることもあります。

また、多剤服用による服薬コンプライアンスの低下もポリファーマシーの問題のひとつと捉えられています。多くの薬を把握し、きちんと飲み分けを行うことは、認知機能が低下する高齢者にとっては難解なことであり、しばしば飲み間違いや、服用し忘れなどの問題が生じています。

ポリファーマシーの問題点の解決にむけて

ポリファーマシーの問題を解決することは、簡単なことではありませんが、薬の数にばかり注目するのではなく、薬が患者さんに適切であるか、その都度評価していくことが大切になります。


写真はイメージです。 photo by pixabay

大前提として医師や薬剤師などの医療従事者が処方薬を適切に判断していくことが重要となりますが、薬を飲む側も、飲み忘れなどを含む日常の服用状況や、他院からの処方薬情報、体調変化などについて正確に伝えることが大切です。

正確な情報を伝えることが、漫然とした投与を防ぐことや、患者さんに合った薬を選択する大切なツールとなっていきます。

ポリファーマシーは日本だけではなく、世界各国で問題となっており、解決策が求められています。簡単な問題でありませんが、医療関係者と患者さんまたはその家族が一丸となって取り組むことが大切です。

 

 

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