日本における健康状態の地域格差が拡大

 

日本では急速に高齢化が進み、現在では4人に1人は高齢者という、超高齢社会となりました。医療が発展し寿命がのびていることや、少子化などから、今後も高齢者の割合が増えることが見込まれています。

写真はイメージです。 photo by  pixabay

 

日本の現状と地域間での健康状態の比較

 

日本では、2007年から65歳以上の高齢者が総人口の21%以上をしめる、超高齢社会となりました。現在でも高齢化は進んでおり、2040年には人口の35%、2060年には40%に増加すると予測されています。

高齢者が増えたことに伴い、健康保険費の増大や、介護の負担増大など、深刻なダメージをおよぼす様々な問題に直面しています。対策が必要とされていますが、人口の変動や健康状態は地域ごとに違う場合があり、地域にあった策を講じることが求められています。

2017年7月Lancetに発表された「Population health and regional variations of disease burden in Japan, 1990–2015: a systematic subnational analysis for the Global Burden of Disease Study 2015」では、平均寿命や健康寿命、疾患などさまざまな項目について地域ごとに比較し、報告しています。

この研究では、データベース(GBD2015)をもちいて、日本全体および47都道府県ごとの平均寿命や健康寿命(健康上の問題がなく生活できる期間)、年齢調節死亡率(年齢構成の違いを取り除いた死亡率)、各疾患発生率、危険因子などを算出し、比較しています。

 

結果

 

 

2015年の日本の平均寿命は1990年に比べて4.2歳のび、83.2歳となりました。都道府県別にみると、佐賀県で4.8年ともっとも平均寿命がのび、一方で沖縄県では3.2年にとどまりました。寿命がもっとも短い県と長い県との差は1990年では2.5年であったのに対し、2015年では最も短い青森県と、最も長い滋賀県との差は3.1年に広がっていました。健康寿命についても同様に、1990年は地域間での差が2.3年であったのに対し、2015年では2.7年と格差が拡大していました。年齢調整死亡率は1990年から2015年にかけて、日本全体で29.0%減少しましたが、滋賀県で32.4%、沖縄県で22.0%と、地域により減少幅に差がみられました。

2005年から2015年までの10年間で、地域により延び率は異なるものの、全地域で1年以上の平均寿命の延びがみられました。平均寿命が延びた主な要因は、脳血管疾患や虚血性心疾患、がんの死亡率が減少したことでした。しかしながら、その減少するペースは、2005年以降緩やかなものとなっています。その他多くの疾患で死亡率の減少がみられる一方で、アルツハイマー病といった認知症の年齢調整死亡率は2005年以降、3.7%の増加がみられました。

各都道府県のさまざまな疾患に対する年齢調整死亡率を解析したところ、地域ごとに差がみられる結果となりました。たとえば、脳血管疾患で比べると、一番低い滋賀県(37.9/10万人)と高い岩手県(62.0/10万人)で1.6倍の差がみられました。虚血性心疾患では熊本県で35.9/10万人であったのに対し、埼玉県で55.0/10万人となりました。その他、さまざまな疾患で地域差がみられました。

危険因子について解析すると、2015年の死亡のうち、33.7%は行動リスク(食生活や喫煙など)に起因し、24.5%は代謝リスク(高血圧や糖尿病など)、6.7%は環境や職業上のリスクに関連していました。男女ともに食塩の多い食生活が主要なリスクとして挙げられ、その他、男性では喫煙が主な危険因子となりました。これらの主要リスク要因の死亡率への寄与は、都道府県間で大きな変化はみられませんでした。

各都道府県の1人あたりの医療費、医師数、看護師数、衛生看護師数と年齢調整死亡率との関係を解析したところ、有意な関係性はみられませんでした。障害調整生存年数についても同様の結果となりました。

 

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まとめ

 

これらのことから、日本では心血管疾患やがんなどによる死亡率の減少から平均寿命、健康寿命が延びていますが、死亡率低下のペースは2005年以降、減速していることが明らかになりました。多くの疾患の死亡率が低下している一方で、アルツハイマー病などの認知症による死亡率は増加の一途を辿っていることがしめされました。

また、都道府県間の比較から、健康状態の地域格差が拡がっていることが明らかになりました。1人当たりの医療費や医師数などの保険システムと年齢調整死亡率との相関を解析しましたが、有意な関係はみられず、医療体制や食生活などのリスク要因は地域格差を広げる原因とはならないことが示唆されました。

各県で健康状態が異なることから、地域の実情に合った対策を考える必要があることを呼びかけています。

 

平均寿命がのびている一方で、地域格差がひろがり、各地域に合った対策が求められています。今回の研究では、地域格差の要因が明らかにされていないことから、今後研究が重ねられ、解明されることが望まれます。

 

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