スクリーニングと介入は2型糖尿病の発症予防に有効か

2型糖尿病の治療をうけている人は年々増加しており、2014年では316万人以上にのぼります。糖尿病が強く疑われるひとも合わせると950万人ものひとが糖尿病有病者にあてはまるといわれています。糖尿病の増加は日本だけでなく、世界中でも問題となっていて、今では4億人以上の人が糖尿病に罹患していると報告されています。

糖尿病有病者だけではなく、糖尿病になる一歩手前である糖尿病前症の方も多くいると言われており、患者数の増加を食い止めるためにも、糖尿病になる前段階での対応も重要となってきています。


写真はイメージです。 photo by pixabay

糖尿病前症とは?

糖尿病前症は、糖尿病とは診断されないものの、いずれ糖尿病になる可能性が高い状態のことをさします。

糖尿病患者数を減らす対策のひとつとして、スクリーニングにより糖尿病前症の方々を抽出し、生活改善やメトホルミン療法などにより2型糖尿病に進行しないよう介入を行うことがあげられています。

統一された基準(カットオフ値)はないものの、米国糖尿病学会では、空腹時血糖が100~125 mg/dL、HbA1cが5.7~6.4%を糖尿病前症の基準として推奨しています。WHOやInternational Expert Committeeでは空腹時血糖108~124 mg/dL、HbA1c 6.0~6.4%を基準として推奨しています。

スクリーニングと介入は問題解決に有効か?

スクリーニングと介入についてさまざまな研究がされていますが、空腹時血糖やHbA1cなどの血液検査を用いたスクリーニングが糖尿病前症の特定に有効となるか、また、ハイリスク者への介入は2型糖尿病予防に効果的なのか、明確な評価はされていませんでした。

2017年1月BMJの論文「Efficacy and effectiveness of screen and treat policies in prevention of type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis of screening tests and interventions」では、スクリーニングの精度と、介入による予防効果について報告しています。

スクリーニングに関する研究49件、および介入に関する研究50件を解析の対象とし、メタアナリシスを行っています。

 


自己血糖測定。 photo by pixabay

結果・考察

糖尿病前症のスクリーニングに関しては、それぞれの研究で異なるカットオフ値を用いていたものの、HbA1cの感度(糖尿病前症者中の検査陽性の割合)は0.49、特異度(非糖尿病前症者中の検査陰性の割合)は0.79となり、実際に糖尿病前症だった患者さんの同定における精度(AUROC)は0.59となりました。また、空腹時血糖の感度は0.25、特異度0.94となり、AUROCは0.42という結果となりました。

スクリーニング法により特定される集団は異なり、たとえばHbA1c値で糖尿病前症と診断されたひとの47%は、他の血糖異常はみられませんでした。

介入研究に対してのメタアナリシスでは、6カ月~6年の生活習慣への介入により、2型糖尿病発症の相対リスクが36%低下していました。また、メトホルミン療法をもちいた介入では、26%の相対リスク低下がみられました。

 

これらの結果から、HbA1cは感度、特異度ともに高くはなく、空腹時血糖に関しては特異度が高いものの、感度が低いため、スクリーニングは正確とは言えないことがしめされました。

このことにより、現在のスクリーニングの精度では、不必要な介入を受ける患者さんや、必要であるにも関わらず介入を受けない患者さんが多く出る可能性が懸念されています。著者らは、スクリーニングと介入のみの対策では2型糖尿病の増加防止には効果的ではないと呼びかけています。


写真はイメージです。 Photo by pixabay

 

糖尿病有病者の増加は世界的な問題となっており、発症を予防する対策が求められています。しかし、今回の研究によりスクリーニングと介入による予防戦略のみでは、問題の解決にはいたらないことが示唆されました。今後も研究が重ねられ、有効な対策がでてくることが望まれます。

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