全ての人に潜む、熱中症の罠

総務省消防庁の統計で、2017年7月17日~23日までに、全国で熱中症による救急搬送数が意識不明状態の人と、死亡した人を合わせ、6369人あったと報告されています。さらにニュースでは、車内に放置された子どもが熱中症により、死亡したというケースが多発して報道されています。しかし、実際に大人でも自身が熱中症であると気が付く頃には、重症化していたというケースも少なくありません。なぜ、このようなことが起こるのか、疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。


熱中症対策の掲示板 photo by WIKIMEDIACOMMONS

熱中症とは

私たち人間の身体が、高温多湿という環境に、適応することができずに生じてしまう、様々な症状を熱中症と言います。脱水症は、上昇する体温を下げようと汗で調節する機能が、体内の水分・塩分のバランスが崩れ、両方が失われることによって、引き起こされます。さらに、脱水症を放置することで、めまい・急激な体温上昇・倦怠感・けいれん・意識障害を引き起こす熱中症へと移行してしまうのです。そのことから、脱水症状が現れた時点で、対処しなければさらに熱射病へ重篤化し、死亡してしまうという最悪のケースに至ります。

脱水症とは

水と電解質で構成されている体液が、大量に放出する汗によって失われ、失われた体液を補給することができない場合に生じます。脱水症になると、血液量の減少・血圧低下・食欲不振・老廃物の排泄困難などの症状が出現します。その際に、足がつったり、しびれるといった症状が現れる場合もあります。このような症状を放置してしまうことで、熱中症を引き起こしてしまうのです。また近年では、脱水症状に気づかない間に、身体の水分が失われていくことを「かくれ脱水」という言葉を表現されています。実は、このかくれ脱水に気づかず、熱中症まで至ってしまい、重症化してしまっていたという人が、非常に多く存在しています。

なぜかくれ脱水になるか

人間の体液は、知らないうちに失われているから起こるのです。人間が生きていく上では、常に水分補給が必須とされ、もちろん長時間動かなかったとしても、水分補給を行わなければ体液は失われます。さらに、体を動かすことによってもっと早く体液が失われてしまうというだけで、誰にでも簡単に起こりうる状態だったのです。


写真はイメージです。 photo by MaxPixel

熱中症対策

喉が渇いていなくても、こまめな水分補給はとても大切です。スポーツドリンクなど、塩分や糖分が含まれている飲料は、体内への吸収が早く、汗で失われた塩分の補給にもつながるのです。また、水分だけでなく、身体に必須とされる塩分も適度にとること、睡眠中の脱水を防ぐために冷房や扇風機などを利用して、室温を適正温度に保つこと、そして、毎日のバランスの良い食事と、十分な睡眠でしっかりと体調管理を行い、熱中症になりにくい身体を作ることが重要です。毎年報告される、子どもが車内で死亡してしまったという痛ましい事故について、車内は外の温度と湿度と比較し、急激に上昇してしまいます。エンジンが切られた車内は、誰にでも想像がつく程、数分で地獄と化すのです。自己判断できるような年齢であろうが、「何かおかしい。」「しんどい。」と分かっていても、熱中症が身体に与える負担は想像以上のもので、「気が付いた時には動けない」状態に陥ります。また、子どもは大人と比較すると、外部から伝わる熱の影響を受けやすくなっています。子どもは自分たちよりも、常に4~5℃は暑く感じているという意識を持ち、このような事故が二度と起こらないことを願います。

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