アダリムマブ 化膿性汗腺炎で希少疾病用医薬品の指定取得

化膿性汗腺炎は、思春期に多く発症する炎症性の皮膚疾患です。症状がひどい場合には、日常生活にも影響をおよぼすこともありますが、有効な治療薬は少なく、新しい治療法の確立がもとめられていました。

化膿性汗腺炎とは

汗腺は、全身に存在するエクリン腺と、脇の下や陰部、乳房の下などに存在するアポクリン腺に分けられます。化膿性汗腺炎は、アポクリン腺の多い場所に発現しやすいのが特徴です。


写真はイメージです。 photo by illust AC

毛穴のつまりにより汗が上手く出せないことや、皮膚のバリア機能が落ちることでおこると考えられており、病変部では、細菌感染がみとめられます。

症状は、毛穴が痛みをともなって赤く腫れ、進行すると皮膚中に膿がたまる膿瘍がみられます。これらの症状はしばしば長期にわたり繰り返し、瘻孔やケロイド状の瘢痕など複雑な病変となることもあります。症状がひどい場合には、日常生活が制限され、就業が困難となるケースも報告されています。

現在、日本における化膿性汗腺炎の治療では、抗生剤を用いた治療(内服、外用)や膿瘍ができている場合には切開して排膿する処置が中心となります。治りにくい場合には、病変部を取り除く手術が行われる場合もあります。

現在開発中の治療薬とは

化膿性汗腺炎の薬物治療では、おもに抗生剤が用いられますが、効果が十分に得られない患者さんもいるのが現状であり、新しい有効な治療薬がもとめられています。

そこで、注目されているのが、アダリムマブ(商品名;ヒュミラ)です。2017年10月、化膿性汗腺炎で希少疾病用医薬品の指定を取得しました。

アダリムマブは、炎症にかかわる物質であるTNFαに対する抗体医薬品であり、TNFαに結合することで、機能を抑制し、炎症を鎮静化する作用を有しています。日本国内では、現在、若年性特発性関節炎、関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、腸管型ベーチェット病、非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎への適応が承認されています。

化膿性汗腺炎への適応は、日本ではまだ開発中ですが、今後承認されれば、化膿性汗腺炎に適応をもつ初めての治療薬となります。


写真はイメージです。 photo by photo AC

化膿性汗腺炎は、慢性的に経過し、時に生活が制限されることもあることから、効果的な治療薬が望まれていました。今回、アダリムマブが希少疾病用医薬品に指定されたことから、今後開発がすすみ、日本では初めてとなる化膿性汗腺炎の治療薬となることが期待されています。

 

 

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