乳び胸てどんな病気?原因や症状、治療ついて

乳び胸という病気を聞いたことはありますか?一般的に乳び胸が起こる頻度は稀だといわれていますが、いったいどのような病気なのでしょうか。

乳び胸とは


まず乳びというのはリンパ液の一部です。食事で脂肪を摂取した際に通常脂肪は酵素で分解されて脂肪酸などに変換されますが、その際に一緒に生産されるリンパ液のことを指します。乳びは脂肪成分を豊富に含んでいるため乳白色をしています。

この乳びは、通常胸管というリンパ管の本管を流れていますが、なんらかの原因で胸管が傷ついたり閉塞したりすると、乳びが漏れ出して胸腔内にたまってしまいます。これが乳び胸です。

ヒトのリンパ系 photo by wikipedia


 乳び胸の原因            


乳び胸の原因としては、開胸手術などで傷ついてしまったものが4割、原因不明のものが3割、悪性腫瘍などの胸管へ浸潤や閉塞によるものが2割、そして胸部外傷などによる胸管の損傷が1割とされています。

乳び胸の症状


乳び胸の貯留が少量である場合は無症状のことが多いとされますが、場合によっては息切れや胸痛などが出現することもあります。また乳び胸の貯留が多量になると、肺や心臓、食道などが圧迫されて、呼吸困難や循環障害、栄養障害などを生じることもあります。

写真はイメージです。 photo by photo AC


検査や診断


検査としては、胸部X線検査と浸出液の検査を行います。

まず胸部X線検査で胸水の貯留を確認したら、それを採取して確定診断を行います。この貯留した胸水を胸水穿刺にて採取し、コレステロール値やトリグリセリド値が高いと、乳び胸の確定診断となります。なお、胸管の損傷がみられず高脂肪の胸水が貯留している場合は偽乳び胸と診断され、検査にてコレステロール値が高く、トリグリセリド値は低くなります。

治療


乳び胸と診断されたら、まずは保存療法が基本となります。保存療法では絶食とし、高カロリー輸液による完全静脈栄養による栄養管理を行います。また胸腔に貯留した乳びを排出するために、胸腔ドレナージを同時に施行します。

この保存療法で効果がみられない場合には外科的治療(手術)を行います。一般的に2週間以上乳びが漏出し続ける場合や、ドレナージによる排出液が1500ml/日以上5日間続いた場合などが外科的治療を行う目安となります。なお、乳びの喪失により低栄養状態になってしまうこともあるため、全身状態が悪化する前に外科的治療を検討することが多く見られます。

写真はイメージです。 photo by photo AC


この外科的治療では貯留した乳びを排出し、胸管の損傷部分を修復する胸管結紮術や、胸水が貯留する空間を閉鎖する胸膜癒着術が行われます。今までは開胸して行われていましたが、近年では医療技術の発達に伴い、胸腔鏡手術で行われることが一般的となりつつあります。

まとめ


乳び胸は稀な病気ではありますが、一般的に予後は良好であることが多いとされています。そのため、少しでも症状がある場合は、この乳び胸に限らず早めに受診することが大切ですよ。もし乳び胸かも?と思ったら呼吸器外科が専門なので、一度診てもらうことをお勧めします。

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