実は生活習慣病?顎関節症の病態

◆顎関節症とは

顎関節症とは、顎が痛い、顎関節から音がするなど顎とその動きに関連する症状を持つ病気の総称であり、その原因が感染症や自己免疫疾患など明確に規定できないものを指します。若者からお年寄りまで、日本人の3人に1人が顎関節症を患っていると言われるほど、身近に起こりうる病気です。中でも若い女性に多く見られます。


写真はイメージです。 photo by photo AC

◆顎関節症の分類

顎関節症には多くの病態が存在します。一口に顎に傷害があるといっても、顎についている筋肉や靭帯、顎関節を構成する骨など原因部位は様々です。それぞれの原因にあった治療をするために、顎関節症は以下のように分類されています。

1、咀嚼筋障害

物を食べる、つまり咀嚼するには顎をしっかりと開閉させる必要があります。その動きを司る筋肉を「咀嚼筋」と呼びます。具体的に、咀嚼筋には頬の後ろ側に位置する「咬筋」、こめかみに位置する「側頭筋」、首を斜めに走る「胸鎖乳突筋」などがあり、これらの筋が緊張することで痛みが出たり顎の動きが悪くなったりする病態を咀嚼筋障害といいます。

2、顎関節痛障害

顎関節は耳の前あたりにあるので、開閉口時に耳の前が痛んだり、耳の前を押してみて痛かったりする場合はこの病型に当てはまります。頭の骨と下顎の骨を繋ぐ靭帯など、顎関節に存在する骨以外の組織への傷害が原因となる顎関節症を顎関節痛障害といいます。

3、顎関節円板障害

顎関節円板障害では、下顎の骨が移動してしまった関節円板を乗り越えるパターンとそうでないパターンが存在します。関節円板を下顎が乗り越えるパターンでは、関節円板という段差を下顎が乗り越える際に「カクッ」という雑音がします。これが顎で音がする原因です。

逆に乗り越えられないパターンでは、関節円板が顎の運動を邪魔するので、口が大きく開けなくなってしまいます。この型の多くは、関節円板を乗り越える型から発展して起こるため、顎の雑音がしなくなってから口が開かなくなった人は要注意です。

顎関節を構成する骨である頭の骨と下顎の骨の間には、軟骨でできたクッションのようなものがあります。それが、「関節円板」です。通常関節円板は下顎の動きとともに前方へ移動するのですが、関節円板が下顎の骨の前に移動したままになってしまうことがあります。これが顎関節円板障害です。


顎関節の構造 photo by wikipedia

 

◆顎関節症の治療法

原因がはっきりしない顎関節症には、定まった治療法がありません。その病態によって、痛み止めを飲んで顎の炎症を鎮めることで痛みをとったり、咀嚼筋のマッサージをしたり、スプリントを装着したりします。関節を洗ったり、骨を削ったりする外科的な方法もあります。

いろいろな治療法がありますが、まずは顎関節症の原因となる生活習慣をやめることが一番大切です。顎が痛くて困っている人は、顎に負担をかける習慣がないか今一度見直してみましょう。

顎関節症の原因は、いろいろな要因が絡み合っています。骨の形態や咀嚼筋の付着部位などの先天的要因と、片噛みや頬杖、硬いものばかり食べるといった生活習慣的要因が重なって、ある一定値を超えるとそれが症状として現れてきます。


写真はイメージです。 photo by photo AC

顎関節症の中には、骨の変形が原因になっているものもあります。それが、変形性顎関節症です。顎関節を構成する頭の骨や下顎の骨に正常な骨と異なる部分があると、顎の動きを邪魔して痛みが出たり動きが悪くなったりします。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました