やさしいインフルエンザワクチンのはなし 予防接種は受けた方がいいの?

[寒い時期が近づくと気になるインフルエンザ]

寒い時期になると、風邪にかかってしまう方も多くなるのではないでしょうか。その中でも症状がつらいインフルエンザが気になりますよね。インフルエンザというと「予防接種」が気になりませんか。

インフルエンザの予防接種について、

「予防接種は必要ない」

「予防接種したけどインフルエンザにかかった」

「予防接種の副作用が怖い」

というような話から

「予防接種は必要です」

「予防接種したら風邪が軽く済んだ」

「予防接種しないでインフルエンザにかかると命に関わる場合がある」

などいろいろな話を聞きますね。実際はどうなのでしょうか。インフルエンザの予防接種についてみてみましょう。

写真はイメージです。photo by pixaboy

[まずはインフルエンザワクチンを知りましょう]

-インフルエンザワクチンの基礎知識-

わたしたちのからだにウィルスが感染するとからだの中で増殖していろいろな症状を引き起こします。ウィルスに対してからだの中では防御機能が働いて抗体を作ります。抗体はウィルスを弱体化、無毒化してくれます。同じウィルスが、もう一度、侵入すると抗体がからだを守ってくれます。

インフルエンザワクチンはこの働きを利用して、無毒化したウィルスを接種することで抗体を作らせて感染に備えようというものです。

インフルエンザウィルスは大きくわけて「A型、B型、C型」があります。同じ型の中でもウィルスの形が異なることで細分化されます。とくに、A型ウィルスは変異を起こしやすいことが知られています。そのために流行するウィルスは、毎年、変わってきます。

インフルエンザワクチンを作成する元となるウィルスを「ワクチン株」といいます。インフルエンザの専門家が流行分析や最新情報から流行が予測されるワクチン株を決定します。この決定をもとにその年のインフルエンザワクチンが作られます。

いままでのインフルエンザワクチンはA型2種類とB型1種類の「3価ワクチン」でしたが、B型2種類の混合流行が認められるようになったことから、A型2種類とB型2種類の「4価ワクチン」が使用されるようになっています。

インフルエンザA型photo by wikimedia

-インフルエンザワクチンの有効期間-

インフルエンザワクチンを接種してから、抗体がつくられるまで数週間~1ヶ月ほどかかります。効果はだいたい2ヶ月間持続します。その後、少しずつ抗体の力が弱まっていきます。このことからも、毎年、インフルエンザの予防接種を受ける必要があります。

-インフルエンザワクチンの抗体について-

インフルエンザワクチンによって作られるのは血中の存在する「IgG抗体」です。これに対して鼻や喉の粘膜などで働く「IgA抗体」はほとんど作られません。

インフルエンザの感染経路は鼻や喉の粘膜で増殖し、1日~3日程度の潜伏期間を経て発症します。したがってワクチンでの直接の感染は防ぐことはできません。ウィルスが体内に入り込んだときに抗体の効果は現われます。

[インフルエンザワクチンの効果と副作用は]

-インフルエンザワクチンの効果は-

ワクチンは流行を予測して作られます。流行しているウィルスとワクチン株が一致すれば効果を発揮します。しかし、必ずしも一致するわけではありません。一致しない場合でも似たような型のウィルスの場合、抗体がウィルスに反応して中和するという能力があるので軽い症状ですむ場合があります。

先に述べましたがワクチンを接種しても感染を防ぐことはできません。軽い風邪程度の症状がでてしまうことはあります。逆にいえば軽い症状ですむということがいえます。

インフルエンザは安静にしていれば約5日程度で症状は治まりますが、重症化すると脳炎や肺炎などを引き起こす場合があります。また、インフルエンザの「ハイリスク群」の方は重症化や死亡する危険性が高くなります。ワクチンの効果が100%ということではありませんが、このような症状を減少させる効果が期待できます。

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-インフルエンザワクチンの副作用は-

接種した場所に腫れ、赤み、痛みなどが現われる場合があります。また、接種後に発熱、頭痛、寒気、倦怠感などの全身症状が現われることもあります。いずれの症状も2~3日程度で自然におさまります。

インフルエンザワクチンには生産時に使用される卵白の成分がきわめて微量に含まれる場合があります。強い卵白アレルギーがあると、ごくまれにアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。心配な方はお医者さんに相談してみましょう。

重篤な副作用として「けいれん、麻痺、脳炎、脳症、知覚障害」などの報告がありますが、非常にまれなものでワクチンとの因果関係もはっきりはしていません。1000万人に数人程度とされています。ほかのウィルスのワクチンよりも低い数字です。副作用については心配するほどではないと考えられています。

[インフルエンザの予防接種はしたほうがいいの?]

-予防接種はしたほうがいいの?-

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インフルエンザワクチンを接種した方がいいのでしょうか。少なくてもインフルエンザが軽くすむ、症状が重症化しなくなるといったことが期待されます。WHOや諸外国では「インフルエンザワクチンは重症化を防ぐ」ということが広く認められています。

インフルエンザの流行の拡大を防ぐということから考えると、インフルエンザワクチンでは感染は防げないという点で難しいところがあります。しかし、多くの人がワクチンを接種して重症化しなければ、流行を小規模なものに抑えられる可能性があるといわれています。

このように考えていくとインフルエンザの予防接種はしたほうがいいかもしれませんね。

-予防接種するタイミングは-

ワクチンが有効になるまで約2週間~3週間かかります。本格的なインフルエンザシーズンに突入する1ヶ月前が目安です。しかし、インフルエンザの流行がいつになるか確実なことはいえません。

インフルエンザの流行時期は1月中旬頃から2月中旬が多かったのですが、最近は前年の11月ごろから流行が始まることも珍しくなくなっています。また、短期間に集中して大流行するというよりは、だらだらと長い期間にわたって小規模の流行をみせることが多くなりました。

理想的には10月から11月に接種することです。遅くても12月中旬まで受けておいた方がいいとされています。

[インフルエンザにかかる前に]

写真はイメージです。photo by pakutaso

寒くなるとインフルエンザにかぎらず、風邪にもかかりやすくなりますよね。日ごろから身体の抵抗力をつけておきましょう。身体の抵抗力が落ちていると風邪をはじめとしたいろいろな病気にかかりやすくなります。

抵抗力をつけるには、よく言われますが「十分な睡眠時間、偏りのない食生活、適度な運動」といった規則正しい生活をすることです。私たちが社会で生活していくうえではなかなかむずかしいことですが、できることだけでもこだわってみるのはいかがでしょうか。

 

 

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