慢性便秘治療薬としてポリエチレングリコール製剤が承認申請へ

便秘は、身近な疾患であり、子供から大人まで幅広い年齢層で、たくさんの方が経験する症状のひとつです。なかには、長期的な治療が必要となる場合もあり、有用性の高い治療方法がもとめられています。

便秘について

日本では、女性の約5%、男性では約2.6%の方が便秘を自覚していると推定されています。便秘は、女性に多く、歳を重ねるごとに増加していきます。また、子供でも慢性的な便秘になることもあり、重症化しやすく、日常生活に支障をきたす場合もあります。


写真はイメージです。 photo by photo AC

便秘の治療では、薬物療法・運動や排便習慣などへの生活指導・食事療法が中心となります。

治療薬は大きく分けて、塩類下剤、大腸刺激性下剤、膨張性下剤、糖類下剤、その他にわけられ、患者さんに合った治療薬が選択されます。(詳細はこちらを参照)

欧米では第一選択薬となっているポリエチレングリコール製剤とは

日本では使用されていませんが、欧米を中心に多く使われている便秘治療薬として、ポリエチレングリコール製剤があります。小児においては、英国のNICEのガイドライン、成人においては、世界消化器病学会のガイドラインなどで使用が推奨されており、欧米では第一選択薬として使用されることも多い薬です。

ポリエチレングリコール製剤は、腸管内の浸透圧を制御することで排便を促す作用有しており、副作用が少ないことがしられています。

日本でもポリエチレングリコール製剤の承認申請へ

これまで日本では、ポリエチレングリコール製剤を腸洗浄剤としては使用していたものの、慢性便秘に対する治療薬としては承認されていませんでした。

しかし、最近になり、日本でも、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、慢性便秘症に対するポリエチレングリコール製剤の医療上の必要性が高いと判断されました。

このことをうけて、厚生労働省より開発要請がだされ、2017年11月に AJG555(ポリエチレングリコール製剤)の承認が申請されました。


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便秘で悩む方は多く、長期的な治療が必要となる場合もあるため、有効性・安全性の高い治療薬がもとめられています。今回、欧米ではよく使用されているポリエチレングリコール製剤の承認が申請されたことにより、今後の便秘症の治療選択肢がひろがることが期待されています。

 

 

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