リナクロチド 慢性便秘に対する適応追加を申請

便秘は身近な症状であり、多くの方が経験しています。一時的な症状でおさまることもありますが、中には、長期に渡って辛い便秘症状が続く場合もあり、下剤が必要となることもあります。しかし、下剤も、便秘の種類や患者さんによって効果が異なるため、患者さんに合う下剤を見つけるためにも、治療薬の選択肢が増えることが望まれています。


写真はイメージです。 photo by illust AC

便秘の種類

便秘は大きく、器質性便秘と機能性便秘に分けられます。

器質性便秘は、大腸がんやポリープなどの器質的な異常によって生じる便秘です。

機能性便秘は、さらに、腸の蠕動運動の低下が原因となる弛緩性便秘、大腸が攣縮して便の輸送が困難となるけいれん性便秘、排便反射の障害により直腸の動きが悪くなることで起こる直腸性便秘に分類されます。

それぞれ原因が異なるため、便秘の種類に合わせた生活の改善や治療の選択が必要となります。

下剤の種類

現在、臨床で使用されている下剤は、作用機序の違いから、塩類下剤、大腸刺激性下剤、膨張性下剤、糖類下剤、その他に分類されます。


写真はイメージです。 photo by photoAC

塩類下剤は、塩類の高い浸透圧により水分を引っ張り、腸内の水分を増やすことで便を柔らかくし、排便をうながす薬です。代表的なものに、酸化マグネシウムがあります。

大腸刺激性下剤は、腸管粘膜を刺激することで蠕動運動を活発にして、排便をうながす薬です。腸の働きが低下している弛緩性便秘に効果的とされています。代表的なものに、センナやピコスルファートNa水和物などがあります。

膨張性下剤は、水を含むと膨張し、便を柔らかくする効果と、便量の増加により腸の働きを活発にする効果があり、代表的なものとしてカルメロースNaがあげられます。

糖類下剤は、塩類下剤と同様に、浸透圧により腸内に水分を引き寄せ、排便を誘発する薬です。D-ソルビトールやラクツロースがこれに該当します。

その他、小腸のクロライドチャネルに作用することで腸液の分泌を促進させ、便の水分を増やす作用のあるルビプロストンなどが使用されています。

慢性便秘に対する新機序薬

さまざまな下剤が臨床で使用されていますが、2017年9月、新たに、リナクロチドが器質性便秘を除く慢性便秘に対する治療薬として適応追加が申請されました(ニュースリリースより)。

リナクロチドは、すでに、便秘型過敏性腸症候群の治療薬として承認されており、腸粘膜上皮のグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化することにより、腸管分泌および輸送能を促進し、排便を誘発します。また、内臓痛覚過敏を改善する作用も有しており、腹部の張りや痛みを和らげる効果も発揮します。

日本で行われた臨床研究では、慢性便秘症患者さんに対してリナクロチドを投与したところ、プラセボ群に比べて有意な改善がみられたことを報告しています。


写真はイメージです。 photo by photoAC

たくさんの方が便秘により苦しんでおり、生活の改善や薬での治療に取り組んでいます。今回、慢性便秘に対する新しい機序の薬が申請されたことにより、治療の選択肢が広がり、便秘で悩む患者さんの症状改善の助けとなることが期待されます。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました