核酸医薬品ってなに?

核酸医薬品って聞いたことありますか?

言葉だけ見てもあまりピンと来ないかもしれませんが、
実は今後の展開がとても期待されている分野なんです。

でも、「核酸」なんて言われても、なんだか取っつきにくいし
予備知識が無いと何のことだか分からないですよね。

RNA
写真はイメージです。 photo by illust AC

今回はそんな「核酸医薬品」について、
カンタンに紹介していきましょう!

【核酸医薬品とは?】

まずは核酸医薬品とは何のことなのか見てみましょう。

核酸医薬品とは、
DNAからタンパクが作られる過程に干渉し、
目的のタンパクを過剰生産させたり
逆に生産をストップさせたりする

ことを目的とした医薬品です。

現在多く使用されている医薬品は、細胞の働きの一部を制御して
効果を得る代わりに、望まない別の制御も起こり得ます。
結果として副作用というリスクも発生します。

医薬品
写真はイメージです。 photo by photo AC

核酸医薬品に副作用がないとは言えませんが、
特定のタンパクのみをターゲットに出来る分だけ、
病巣部に的確に輸送する技術があれば
格段にその影響は少なくなると考えられますね。

【どんな病気に使えるの?】

核酸医薬品は、もともと存在している遺伝子が実際に
体へと影響を与える形に発現するのを邪魔することが
できるため、

  • 遺伝性疾患
  • がん
  • インフルエンザやウイルス感染症

といった疾患への応用が期待されています。

【実用化されているの?】

では、実際に実用化されている核酸医薬品はあるのでしょうか?

日本初の核酸医薬品としては、2008年に
滲出型加齢黄斑変性症の治療薬として
マクジェン硝子体内注射用キット0.3mg
が販売されました。

バイアル
写真はイメージです。 photo by photo AC

また、アメリカでの商品化ですが、2013年に
家族性高コレステロール血症の治療薬として
Kynamroという医薬品が出ました。

実はこれは、アメリカでは第2号の核酸医薬品の商品化で
第1号は、1998年の
サイトメガロウイルス網膜炎の治療薬として
Vitraveneという商品があります。

このVitraveneは核酸医薬品の先駆者となるものですが、
同時にまだまだ未熟な点もあったため、
AIDS(エイズ)患者のみの適応でした。
(出典:日経バイオテク

他にも、2016年にアメリカで
Exondys 51というデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬と、
Spinrazaという脊髄性筋萎縮症の治療薬が
それぞれ商品化されました。
(日本語の詳細はこちら

【まとめ】

今回は核酸医薬品について、簡単に紹介しました。

商品化されたペースを見ると、
1998年、2008年、2013年、2016年とゆっくりしたペースで
開発が進んでいるように見えますが、
裏では各国の研究者が多くの研究や検証を行っています。

というのも、核酸医薬品には

  • 核酸分子の生体内での不安定性
  • 副作用の懸念
  • 薬物送達技術(DDS)の困難性

といった点もよくよく検討しなければ重篤な結果を招きかねず、
その効果を慎重に検討する必要があるのです。

しかし、一度生産ラインまで乗せることが出来れば

  • 容易に生産が可能
  • 他の医薬品よりも高い有効性と安全性の可能性がある
  • 従来は治療困難だった遺伝性疾患等への治療につながる

といった大きなメリットも望めます。

残念ながら特許の都合で、
日本はこの分野はアメリカに遅れを取ってしまっているのが
現状ですが、国内でも今後の発展・商品化を期待したいですよね。

 

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