世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬 アレサガテープ

アレルギー性鼻炎は、国民の約4割が罹患していると言われるほど身近な疾患であり、患者数は年々増加傾向にあります。現在では、様々な治療薬が発売されていますが、2018年1月、新たに世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬が承認されました。


写真はイメージです。photo by photo AC

アレルギー性鼻炎の症状と治療

アレルギー性鼻炎は、透明のさらっとした鼻水、鼻づまり、くしゃみをおもな症状とするアレルギー疾患です。(詳しくはこちらを参照)風邪の症状と似ていますが、風邪はウィルスが原因となるのに対し、アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因となります。

アレルギー性鼻炎の治療方法は、薬物治療や免疫療法、手術などがあり、医師との相談のうえ、自分に合った治療法を選択します。

対症療法である薬物治療では、抗ヒスタミン作用をもつ薬がよく使用されますが、そのなかでも、眠気や口渇などの副作用が比較的少ない第2世代抗ヒスタミン薬は第一選択薬としてあげられており、アレルギー性鼻炎の中心的な治療薬となっています。

そのほか、患者さんの病態に応じて、ケミカルメディエーター遊離抑制薬やロイコトリエン受容体拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬、鼻噴霧用ステロイド薬がもちいられます。また、鼻づまりの症状が重い場合には、血管収縮薬が短期間で使用されることもあります。


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新しく承認された経皮吸収型治療薬とは

現在、いくつもの第2世代抗ヒスタミン薬が臨床で使用されていますが、2018年1月、新たに製造販売が承認されたのが、エメダスチンフマル酸塩を有効成分とする「アレサガテープ4mg、8mg」です。同成分の経口薬にレミカットなどがあり、すでに臨床で使用されています。

「アレルギー性鼻炎」に適応をもち、用法・用量は「通常、成人にはエメダスチンフマル酸塩として1回4mgを胸部、上腕部、背部又は腹部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える。なお、症状に応じて1回8mgに増量できる」となっています。

アレサガテープは、アレルギー性鼻炎の治療薬としては世界初となる経皮吸収型製剤となります。血漿中薬物濃度を維持することが可能であり1日1回の貼付で24時間安定した効果が期待できることや、食前後を問わず服薬を開始することができることから、嚥下能力が低下した患者さんや誤嚥リスクのある患者さんへも投与しやすい剤型となっています。また、服薬状況が家族や介護者にも目視で確認できることや、投与が簡便であることから、服薬アドヒアランスの向上が期待されています。

季節性アレルギー患者さんを対象にした第Ⅲ相比較試験では、2週間投与時の鼻症状の合計スコアの変化量がプラセボ群で-0.29±1.86だったのに対し、アレサガテープ4mgでは-1.10±1.89、8mgでは-1.35±1.98となり、鼻症状の改善がみられました。また、通年性アレルギー性鼻炎患者さんを対象とした長期(最長52週)投与試験では、投与開始1週間目から合計スコアの低下がみられ、その後52週までスコアの低下が維持されたことが報告されています。

試験中、患者さんの19.0%に副作用がみとめられ、おもな副作用は、適用部位紅斑10.9%、適用部位瘙痒感4.5%、適用部位丘疹2.0%、眠気4.9%でした。死亡例を含む重篤な副作用はみられませんでした。


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今回、世界で初めての経皮吸収型の抗ヒスタミン薬が承認となりました。このことにより、より患者さんに合った剤型を選択することが可能となり、多くの患者さんの症状改善に貢献することが期待されています。

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