小児およびAYA世代のがん罹患率、がん種の順位が発表に

がんは1981年以降、日本人の死因第1位となっていて、約3人に1人が命を落としています。

日本では、がんの統計がとられていて、罹患率や死亡率の年次推移や部位別の死亡数、生存率などがまとめられています。

今回、国立がん研究センターから、小児およびAYA世代(Adolescent and Young Adult;15〜39歳)のがん罹患統計について発表されました。

日本における全年代でのがん統計

まずは、一般的ながんについてみていきます。

統計によると、2013年に新たにがんと診断された患者さんは86万2452人(男性49万8720人、女性36万3732人)にのぼり、2016年には37万2986人(男性21万9785人、女性15万3201人)が命を落としています。

医療の発達にともない、がんの生存率は多くの部位で上昇しているものの、おもに人口の高齢化により死亡数・罹患数ともに増加傾向がみられています。


写真はイメージです。 photo by illust-ac

2016年の死亡数の多い部位は、男性で1位;肺、2位;胃、3位;大腸であり、女性では、1位;大腸、2位;肺、3位;膵臓となっています。

罹患数をみると、男女ともに50歳代あたりから増加し、高齢になるほど罹患率が高くなります。

男性では、40歳以上で胃、大腸、肝臓などの消化器系のがん罹患が多く、70歳以上では前立腺がんと肺がんの割合が増加する傾向がみられています。

一方、女性では、40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんの罹患が多くを占めますが、高齢になると消化器系のがんと肺がんの割合が増加することが報告されています。

では、小児、AYA世代のがんの場合はどうなのでしょうか。

小児およびAYA世代のがん罹患率

いままで小児(0〜14歳)およびAYA世代の罹患率やがん種などについては集計が少なく、全国規模の人国集団ベースでみた統計はありませんでした。

今回、国立がん研究センターでは、小児およびAYA世代のがん罹患率について全国規模の人口集団ベースで集計し、報告しています。

なお、今回の集計では、2009年から2011年の間に地域がん登録に参加した都道府県のうち、精度基準を満たした27府県のデータ(人口カバー率36.8%)を用いています。

その結果、2009年から2011年の小児がんの罹患率は人口10万人あたり12.3、AYA世代のがん罹患率は、15歳〜19歳では人口10万人あたり14.2、20歳代で31.1、30歳代で91.1となりました。がんの種類別にみた順位は以下のようになります。

○小児→1位;白血病(38%) 2位;脳腫瘍(16%) 3位;リンパ腫(9%)
○15~19歳→1位;白血病(24%) 2位;胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(17%) 3位;リンパ腫(13%)
○20~29歳→1位;胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(16%) 2位;甲状腺がん(12%) 3位;白血病(11%)
○30~39歳→1位;女性乳がん(22%) 2位;子宮頸がん(13%) 3位;胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(8%)

AYA世代だけをみても年齢によってがんの種類は大きく異なり、特に女性では20歳~30歳代にかけて変化が大きく、乳がん、子宮頸がん、甲状腺がんの増加がみられました。


写真はイメージです。 photo by photo AC

今回の集計から、小児期からAYA世代にかけてのがんの罹患率や年齢ごとにがん種の内訳が大きく変わることが明らかとなりました。

現在、患者数が少ないAYA世代のがん対策の遅れが指摘されていますが、今回の統計から、支援対策が進むことが期待されますね。

 

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