今週の医師国家試験 高アンモニア血症をきたす疾患は?

今週から何問か国家試験の過去問について紹介していきたいと思います。今回は、

高アンモニア血症をきたす疾患はどれか。

a Gaucher 病
b von Gierke 病
c Hurler 症候群
d メープルシロップ尿症
e オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症

 

どれもなかなか目にしない稀な疾患がずらりと並んでいます。ほとんどの方は、目にしたことがない病気ではないでしょうか。

aからみていきましょう。

Gaucher病は、糖脂質が組織に蓄積するスフィンゴリピドーシスのひとつで、日本では150人ほど確認されています。症状は貧血、血小板減少、肝脾腫および骨症状で、神経症状を伴うことがあります。

von Gierke 病は、肝型糖原病のひとつで肝型糖原病は日本で1200人ほど確認されています。糖原とはグリコーゲンのことで、肝型糖原病では、肝臓が腫れたり、低血糖をひき起こします。

Hurler病は、ムコ多糖症のひとつです。ムコ多糖とは、長鎖の枝分かれのない多糖をさします。ムコ多糖症では全身にムコ多糖が蓄積し、骨関節病変、皮膚・結合組織病変、中枢神経障害、呼吸器・循環器・消化器など多様な臨床所見を呈します。日本では2000人ほどと推定されています。

メープルシロップ尿症は、分枝鎖アミノ酸とよばれる3つのアミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンが分解される途中で働く酵素の異常によって、体の中に異常な代謝物質が増える先天代謝異常症です。

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は、尿素サイクル異常症の一つで、オルニチントランスカルバミラーゼの遺伝子異常による酵素活性低下により、アンモニアの解毒が阻害されます。オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は約14000人に一人の有病率と考えられています。

これらの病気をあまり詳しく知らなくても、オルニチンといえば、有害なアンモニアを尿素に変換する尿素回路を構成するアミノ酸の1つで、その酵素の欠損であることから高アンモニア血症になることを推測できるといったところでしょうか。


photo by pixabay

ということで、今回の

答えは e

となります。いかがでしたでしょうか。

 

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