お腹の大きな手術のあとの点滴はどの程度が良いのか NEJMの研究から

手術のなかでもお腹の手術はもっとも一般的に行われている手術で、緊急で手術の必要な急性腹症やがんの手術、腹部大動脈瘤の手術などおおきな手術はしばしば行われています。

そんなお腹の手術ですが、ガイドラインでは、点滴量を制限して行うのがよいとされていますが、根拠にややとぼしく、点滴が少ないことによる障害のほうが多いのではないかと懸念されていました。

今回、オーストラリアからの報告で、NEJMに”Restrictive versus Liberal Fluid Therapy for Major Abdominal Surgery”の報告があり、手術後の点滴量を比較した研究が行われています。

研究方法としては、約3000人を2つのグループに分けて、術後1日以内に制限的な点滴(平均3.7L)を投与したグループと多めの点滴(平均6.1L)を投与したグループで比較しました。

結果としては、点滴量によって生命への影響はなかったものの、制限的な点滴をうけたほうで腎機能の障害が多いのではないかというものになりました。

手術によっては、体内の水分バランスが崩れ、腎臓を含めた一部の臓器に十分な水分が届かなくなることがあるため、あらかじめ多めに点滴量を確保しておいたほうが良い場合がありそうです。


photo by pixabay

今回の研究のように大きな規模の研究が行われることで、以前まで常識と考えられていたことが覆されることがありますので、医療従事者は常に、いろいろな情報にアンテナを張っておく必要がありますね。

 

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