障がい者と地域の中で快適に一緒に暮らすための障害者総合支援法


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世の中には様々な人が生活していますが、全員が等しく快適に過ごすことができているか、考えたことはありますか?

バリアフリーの建物やノンステップバス、ハンディキャップを持った人が、快適に生活できる取り組みが増えているものの、障害を持った人たちへの理解は未だに不十分な面があります。

今回は、全ての人が快適に一緒に暮らせる社会を目指す障害者支援法について紹介します。

障害者自立支援法から障害者総合支援法へ

平成18年10月から完全施行された障害者自立支援法は、障害を持った全ての人が、自立した生活を送ることができるように支援することをめざした法律でした。

原則的に本人の収入から、支払い能力に応じて費用を負担してもらう応益負担で、対象は身体障害者、知的障害者、発達障害者を含む精神障害者に限られていました。

現実的には、障害者と非障害者の境はそれほど明瞭なものではなく、制度による谷間のない支援を提供し、個々のニーズに基づいて地域での生活を支援するために、平成25年4月1日から障害者総合支援法が施行されました。

障害者総合支援法のポイント

・目的
障害者総合支援法では、「基本的人権を享有する個人としての尊厳」を明記し、障害の有無によって区別されない社会の実現を目指しています。

これまで障害を持つ人は保護の対象でしたが、改正以降は、個人の権利を主体とする考え方に転換されています。

・対象範囲
障害者総合支援法では、身体障害者、知的障害者、発達障害者を含む精神障害者に加え、「難治性疾患克服研究事業」の対象である130の疾患と関節リウマチの患者も対象に含まれました。

・障害支援区分の創設
これまで「障害程度区分」という考え方で障害は分類されていましたが、障害や心身状態の多様性に応じて必要とされる支援の度合いを総合的に示す「障害支援区分」という考え方に改めています。

・障害者への支援の特徴
① 重度訪問介護の対象拡大
②ケアホームからグループホームへの一元化
③ 地域移行支援の対象拡大
④ 地域生活支援事業の追加

その他に、地域生活支援事業の策定や、市町村における障害者のニーズ把握の努力義務化などもポイントになっています。

障害者総合支援法の今後

障害者総合支援法では、法の施行後3年を目途に障害福祉サービスの在り方等を見直すこととしています。

平成27年12月14日に開催された社会保障審議会障害者部会において「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」の報告書が提示されましたが、ここには見直しのための3つの柱が明記されていました。

1.新たな地域生活の展開
2.障害者のニーズに対するきめ細かな対応
3.質の高いサービスを継続的に利用できる環境整備

これらの中には、支援対象者の望む地域生活の実現や社会参加の促進のための改善案が盛り込まれ、高齢の支援対象者のサービス内容も見直されることになっています。

障害者総合支援法が施行されて4年経つ現在、支援対象者たちからは「支援があれば社会貢献できる人は多くいる。病名で支援を区切らないでほしい」といった声や

「生活のしづらさをベースにして社会福祉が受けられるように抜本的に変えてもらいたい」といった声があがっています。

障害者総合支援法は施行されているものの、支援対象者の声にもあるように障害を持っている人たちを隔離した対応が未だに行われていることも現状です。

障害者が施設や病院に隔離されることなく、地域社会での生活を送るために制定された障害者総合支援法。全ての人が共生できる社会の実現に向け、問題点の改善に向けた内容改正が必要と言えるでしょう。

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