インスリンポンプ療法 夢の機械よりも自分が変わることが治療の近道?


photo by Erin Stevenson O’Connor

あんなこといいな、できたらいいな…はいつでも私たちの夢と希望がつまっていますよね。けれど、その新しい夢はその技術と技術を扱う自分があってこそかもしれません。

果たして、夢の機械は全てを解決することができるのでしょうか。そんな疑問をイギリスのシェフィールド大学の研究チームが糖尿病治療の画期的な治療法「インスリンポンプ」の利用による治療の効果を研究した結果を発表しました。

夢の機械はやっぱりお高い?

糖尿病は大きく1型と2型に分かれ、1型は全くインスリンが分泌されないタイプで、2型はインスリンがあまり出ない、また出ても充分ではなく効きが悪いタイプです。1型の治療として欠かせないのが、定期的に投与する従来型の注射治療や画期的といわれるインスリンポンプによる治療です。

インスリンポンプの最大の魅力は、カニューレを通して連続的にインスリンを投与することで、より自然に近い形のインスリン分泌を維持できる点と人目を気にせずインスリン注入ができる点でしょう。

しかし、インスリンポンプは決して安価ではなく、年間約1,500ポンド(日本円で22万、1ポンド145円で計算)もの維持費がかかります。米国では1型糖尿病患者の約40%がこのインスリンポンプを利用していますが、英国ではまだ少ないため、多くの患者に利用を促しています。

本当に大切なのは「機械」か「自分」か

この「欠かせない」インスリン投与は、注射よりもインスリンポンプの方が本当に優れているかを確かめる試験が、英国シェフィールド大学で317名を対象として実施されました。

シェフィールド大学は、インスリンポンプ利用者がインスリン注射利用者より血糖値コントロールや糖化ヘモグロビン値の評価が良いのは、その方法ではなく、インスリンポンプを利用するために受けるトレーニングにあるかもしれないとの仮説から、40名のインスリンポンプ治療患者とインスリン注射患者に糖尿病患者プログラム(DAFNE)を1週間実施、6週間後に訪問し、評価しました。

さらにその後2年間にわたってトライアル治療を実施した結果、試験開始時にHbA1Cが7.5以上の患者がインスリンポンプ患者でー0.85%、インスリン注射患者でー0.42%とどちらの患者についても改善が見られ、重度の低血糖症の頻度が低下したことがわかりました。また、治療の満足度についてはインスリンポンプ利用者の方がより大きな改善を示したといいます。

しかし、国際ガイドラインで推奨されているグルコースレベルではほとんどなかったことから、血糖値コントロールがきちんとできない患者にはインスリンポンプを利用しても劇的な改善は認められないだろうということでした。

このことから、研究チームは高価なインスリンポンプ治療としっかりとDAFNEの教育プログラムを受けることの費用対効果について考える必要があるとしています。

まずは自分からできることを続ける、それが1番大切なことかもしれませんね。

参照:BMJ

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