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皆さんはADHDという病気をご存知でしょうか。
ADHDはAttention-Deficit/Hyperactivity Disorderの略で、集中力がない、じっとしていられない、考えずに行動してしまう、という3つの特徴が現れる障害です。
近年では大人になってからADHDと診断される人も多いため、早期発見を目指す研究が行われています。
ADHD患者を見つけ出すことが出来る6つの質問
これまでADHD患者の診断には、世界保健機関が中心となって作成した症状チェックリストに基づく診断が行われていました。
しかし、このチェック方法では、米国精神医学会が策定した「精神疾患の分類と診断の手引き」の最新版(DSM-5)に記載されている診断基準に合致していないという欠点があります。
そこで、マサチューセッツ工科大学のバーク・ウスタン氏ら研究者たちは、DSM-5の基準を満たした6つの質問によるチェックリストを作成しました。
このチェックリストは6つのみの質問ですが、精度は高く、大人のADHD患者を正確に発見できる可能性があります。
6つの質問の内容
マサチューセッツ工科大学の研究者たちが作成したチェックリストは、以下の6項目を5段階で評価します。
- 直接話しかけられていても内容に集中できないと感じることはあるか
- 会議等着席すべき場面で離席してしまうことはあるか
- 休みの時間にリラックスして過ごすことができないと感じることはあるか
- 誰かと会話しているとき、相手の話に割り込んで話を終わらせてしまうことはあるか
- ぎりぎりまで物事を先延ばしにすることはあるか
- 日常生活を円滑に送るために誰かに依存することはあるか
この項目を、①全くない②ほとんどない③時々ある④頻繁にある⑤かなり頻繁にある、の5段階で評価します。
そして、それぞれ指定されている点数をもとに加算し、0~24点で評価を行うチェック方法になっています。
今後の活用における期待
このチェックリストを調査対象者637人に行ったところ、ADHDの人のうち、検査で陽性と出る人の割合(感度)が91.4%、ADHDではない人のうち、検査で陰性と出る人の割合(特異度)が96.0%、検査で陽性と出た人のうち、実際にADHDである人の割合(陽性的中率)が67.3%という結果がでました。
ADHD有病率が一般住民より多いと考えられているニューヨーク市ランゴーン医療センターの専門外来受診者では、より高い陽性的中率を認めました。
この結果から、「短時間で簡単にスコアが出せて、精度も高く、ADHDかどうか判断するのにより有効な検査になる」可能性があると考えられています。今後、より多くの人がスクリーニングを受けるツールとして使用されるかもしれませんね。
参照:JAMA Network
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