がん患者さんのリハビリテーション 最期の時を如何にすごすか


写真はイメージです。photo by Pedro Ribeiro Simões

リハビリテーションにはがん患者さんに対するリハビリテーションもあります。それは、手術前後の患者さんや抗がん剤治療を行う患者さん、末期の緩和ケアにまで至ります。

治療としては機能回復、ADL(日常生活動作)全般の改善、咀嚼・嚥下・発話の改善など一般的なリハビリテーションと変わりませんが、末期がん患者さんに対するリハビリテーションは緩和ケア的なアプローチが一つの特色となっています。

がん患者さんの終末期

末期がんにより限られた余生のなかで今まで通りの生活を行う、QOL(Quality Of Life、生きがい)を高める事を念頭に置いたリハビリになります。手術前後の患者さんのリハビリは主に急性期ないしは回復期病院で行いますが、緩和ケアに関しては緩和ケア・慢性期の病棟、ホスピスないしは自宅でのリハビリとなります。

ホスピスとはキリスト教の考え方で、18世紀にアイルランドにできたことが始まりです。日本では1973年に大阪、1987年からは公的医療機関として初めてホスピスが開設されています。始まりがキリスト教によるため、日本におけるホスピスもキリスト教色が色濃く見られますが、仏教を主体としたビハーラ(仏教ホスピス)という施設も存在します。

チーム医療のスタッフも少し変わっています。医師をはじめとして、薬剤師、看護師、リハビリスタッフ、社会福祉士までは変わりませんが、さらに宗教家、ボランティアスタッフなどが加わります。

ボランティアスタッフは、医療行為を伴わない非専門職の仕事がメインとなりますが、医療側でも患者側でもない中間的存在が時に癒しになります。

病院の施設も少し変わっていて、喫煙スペースと喫茶店のような施設を有するホスピスも存在します。このような施設は、QOLを改善するという視点から成り立っていて、飲酒が可能な施設もあるようです。

がん患者さんのリハビリの特徴

最後に、リハビリに関してですが、現在のリハビリテーションにはクリティカルパスと呼ばれるあらかじめ決まった流れに沿って行われることが多いですが、緩和ケアのリハビリに関してはその枠にとらわれないリハビリとなっています。リハビリをする・しないの選択権は、患者さんに与えられ、機能を訓練するというよりも気分的なケアに重きをおいています。

生と死を考えることが多くなっている昨今ですが、より充実した余生をおくり、最後をどのように迎えるかを問う医療こそが緩和ケアの意義となっています。

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