皆さんはどのように色が見えていますか?ー学校で色覚検査が再開しました


写真はイメージです。 photo by ellen reitman
看板や標識、夜のネオンなど、私たちの日常には様々な色が存在しています。

しかし、それらの色を全員が同じように識別できているわけではありません。

「色の見え方が違う」という人は実は珍しいことではないのです。

皆さんは色覚異常という言葉を聞いたことがありますか?

色覚異常とは何か

色覚異常とは、「色覚正常に人に比べると色の感じ方が違う」ということです。

どのように見えているかは一概には言えず、自分の持つ色覚の程度により見え方が変わってきます。

色覚異常には先天性色覚異常と後天性色覚異常があり、先天性色覚異常の原因は遺伝によるものと考えられています。

先天性色覚異常は、日本人男性の20人に1人、日本人女性の500人に1人に存在すると考えられていますが、色覚異常ではないものの色覚異常の遺伝子を保有している人は10人に1人存在すると言われています。

後天性色覚異常の原因は、白内障、緑内障、網膜病変、視神経病変、大脳性病変等の目の病気が引き金に発症することが多いと考えられています。

このように、色覚に異常を持つ人は珍しいことではないのです。

色覚検査の廃止と再開

日常に存在している色は、赤、青、緑の三色から形成され、私たちの色覚もこの三色を判別できるようになっています。

しかし、色覚異常の場合は、この三色のうちどれか一つしか判別できない、どれか一つを判別する機能が低下している、どれか一つを判別する機能が欠けている、という状況が見られます。

色覚異常の多くの場合は、赤と緑に対する異常と考えられています。

これまで、先天性色覚異常の早期発見のため学校の定期健康診断の際に色覚検査が行われていました。

色覚検査は2003年まで行われていましたが、学校保健法改正に伴い廃止されました。

学校保健法改正には先天性色覚異常を持つ生徒への差別をなくすため色覚検査を廃止したとの考え方もありますが、検査廃止により色覚異常という存在の認知は薄れ、教職員たちも色覚異常に対する関心が薄れていきました。

このため、色覚異常を知らずに成人し、就職活動の際に不利益を被る人が続出したのです。

パイロットになりたくて適性検査を受けたものの色覚異常で不採用になってしまった人。電車の運転士になりたくて試験を受けそこで初めて色覚異常が分かった人。

このように、色覚異常を知らなかったために夢を叶えられなかった人が多くいました。

こういった事態を防いでほしいという声が多くあがったこともあり、2016年より学校での色覚検査が再開されました。

色覚異常の治療

後天性色覚異常の場合、引き金となった目の病気を治療することで改善する可能性が考えられています。

しかし、先天性色覚異常の場合は、有用な治療方法が確立されていません。

根本的な色覚異常の治療は現代の医療ではまだ存在していませんが、色覚を補正してくれる眼鏡があります。

実際の使用者からは、「色付きレンズのためかけた時の見た目が気になる」や「今まで自分が見ていた色と違いがあるためギャップに混乱する」という声がある一方、「お母さんの唇はこんなに赤かったんだ」や「生まれて初めて紫色を見た」、「船舶の試験に合格できた」などの喜びの声もあがっています。

今後、色覚異常の人が、自分自身も周囲からも違和感なく色覚補正ができる治療が確立されることが必要でしょう。

色覚異常は決して珍しくないため、早急な色覚異常治療の進展が求められています。

 

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