危機状態の察知や回避につながるクライシスプラン

皆さんは「クライシス」という言葉を聞いたことがありますか?

クライシスとは「危機」という意味です。

日常生活をいつものように送っていても、突然体調不良になるなど何か大きな混乱が生じる可能性は大いにあります。

もし突然危機的状況に置かれた時、自分一人で冷静に判断して乗り越えることができるでしょうか?

そのような状況に遭遇した時でも、自分の思いを周囲に理解してもらいながら乗り越える方法があります。

危機状態の察知や回避につながるクライシスプラン

 


写真はイメージです。 photo by 3dman_eu


クライシスプランとは、突発的な危機的状況に遭遇した際、予めどのようにしてほしいか周囲に対して表明することで自分の意思に基づき危機状態の察知や回避を行おうというプランです。

クライシスプランを作ることは健康な人だけでなく、心身に不安を抱えている人や認知症が進行した高齢者にも有効です。

ADHDやうつ病など、精神的に不安を抱えている人は危機に遭遇した際に自分一人では抱えきれず、時に自分や他人を傷つけてしまいたくなるかもしれません。

辛い状況に遭遇しても精神的に良い状態を維持するためのツールがクライシスプランと言えます。

クライシスプランの作り方


クライシスプランは基本的に以下の3点の実現を目的に作成されます。

  • 安定した良い状態の維持
  • 症状のサインを早く捉え対処を行い立て直す
  • 危機または要注意まで進行した症状への適切な対応


「自分では対処できない、どうして良いか分からない」という状況になった時に望んだ対処を適切に受けるためには、本人や家族、医師や看護師などの関係者に、症状やサインの基準や対応に関して、共通の認識が必要です。

そのため、クライシスプランを作る際には自分一人だけでなく、家族やケースワーカー、医療スタッフなどと協力して作成します。

また、普段の自分の姿を基本に作成する必要があるため、安定した良好な状態の時に作成作業を進めることがポイントです。

クライシスプランには、自分がどのようにしたいかという意思表示や許容できる医療、受けたいサポート内容だけでなく、万が一の事態に備え主治医やケースワーカーなど緊急時の連絡先の明記するようにしましょう。

クライシスプランのメリット

 


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倦怠感や悪寒など体の具合の悪さをあらわすサインは人さまざまですが、迅速な対処を行うことで、治りも早く症状の悪化も防ぎます。

これは精神面の症状においても同様です。サインに早く気付くことで自己対処ができ、また早期にサポーター(支援者)の協力を得ることで安定した良好な状態に早く戻ることができます。

加えてプランが予め決まっていると、自分一人では対処しきれない状況の場合でも適切な対応をしてもらえます。

実際にクライシスプランは精神医療の現場で多く取り入れられており、特に退院時にクライシスプランを作成して退院後の生活の不安軽減につなげようという取り組みが行われています。

クライシスプランを作成し手元に置いておくことは緊急時の不安軽減だけでなく、自分の病気と向き合い自分をよく知ることにもつながります。

実際にクライシスプランを作成した精神疾患を抱える人は、「いざとなったらクライシスプランもあると思って、あまり落ちこまず、とり乱さず、活動できるようにがんばろう」という前向きな言葉を述べており、精神的にクライシスプランが生活の支えになっていることがうかがえます。

最近では、クライシスプランを作成するワークショップやクライシスプランについての研修会が行われることもあります。

緊急時はどのようにしたいか、一度考えてみることもいいかもしれません。

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