ゴルディロックスな医療ーちょうどよい硬さでちょうどよい温度の医療

「ゴルディロックス」という言葉を知っていますか?

ゴルディロックスはイギリスの童話「ゴルディロックスと3匹の熊」に登場する女の子の名前です。

ゴルディロックスは物語の中で熊の家に迷い込みましたが、そこでちょうど良い硬さのベッド、ちょうど良い温度のスープを見つけました。


photo by WIKIMEDIA COMMONS

このことから、金融業界ではインフレすることなくちょうど良い状態で経済成長することを「ゴルディロックス経済」と呼んでいます。

医療においても、ちょうど良い処置を行うゴルディロックスな医療は非常に理想的です。

ではどういったものがゴルディロックスな医療になるのでしょうか。

薬剤使用におけるゴルディロックス

医療分野でゴルディロックスという言葉を使う場合、身近なところでは薬剤の適切な使用が挙げられるでしょう。

よくかかる病気の一つに風邪がありますが、「風邪だから」といって何でもかんでも抗菌薬を処方することは、ゴルディロックスな医療とは言えません。

多くの場合、風邪の原因はウイルスによるものであり、抗菌薬が効果を発揮する細菌性のものではないからです(ウイルスに効く抗菌薬もありますが)。

抗菌薬を何でもかんでも処方することは、薬剤耐性菌を生み出す原因にもなります。


photo by Simple English WIKIPEDIA 

いっぽうで抗菌薬は、風邪と似た症状が出る細菌性の病気である溶連菌感染症の場合や、肺炎になっている場合などは処方が必要です。

特に、高齢者で普段から体力のない人、糖尿病など感染を引き起こしやすい持病がある人、嚥下機能が落ちてしまう脳梗塞の持病がある人の場合は命に関わります。

抗菌薬を適切に適量を処方すること。

これはゴルディロックスな医療と言えるでしょう。

ゴルディロックスな医療を実現するためにphoto by Wikipedia

抗菌薬を例に挙げると、適切な処方を行うことが重要です。

「どのような抗菌薬を選択すべきか」だけでなく、「どのようなときに抗菌薬を使用すべきか」にかんしても注意深く考える必要があります。

国立国際医療研究センター病院で、患者さんに行った抗菌薬の知識に関する調査では、5割近くが「抗菌薬はウイルスに効く」と回答し、2割近くが「風邪で受診したら必ず抗菌薬を処方してほしい」と答えています。

医師が、適切に抗菌薬を処方することと同じくらい、患者さんが抗菌薬に正しい知識をもつことが大切です。

医師が「念のために」と抗菌薬を処方しそうになった際に、患者さんが「本当に必要ですか?」と質問できるような関係が望ましいのかもしれません。

抗菌薬を使いすぎることも、使わなすぎることもよくありません。

ゴルディロックスな医療を実現するためには、医療関係者も患者さんも正しい知識を持つことが必要と言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました