スマートフォンで医師に報告 看護師が遠隔で死亡診断をする!?「自宅で看取るということ」

医師法では原則として、医師が対面で死後診察をしなければ「死亡診断」を行うことはできません。診断した医師、歯科医師のみが「死亡診断書の作成」ができると定められています。

 

遠隔死亡診断の動向

今回、厚生労働省は死亡診断について医師がすぐに駆けつけることができない場合に看護師が、スマートフォンやタブレット端末を使用して患者さんの状態や心電図のデータなどを医師に伝え、そのデータを基に死亡判断を行い、看護師が死亡判断書の代筆をできるように規制の整備を行うこととなりました。

写真はイメージです。 photo by Pixabay

在宅で亡くなった後に医師がすぐに駆けつけ、死亡診断を行えない場合は、死後長時間にわたり自宅に留め置くというケースもあり、「最期は自宅で・・」と願う高齢者も「自宅で看取りたい」と願うご家族の不安要因の一つともなっていました。

多死社会を迎えるなか、その八割が病院で亡くなっているという現実があるいっぽうで、近年、内閣府調査では高齢者の半数以上が「人生の最期は自宅で家族に見守られて過ごしたい」と願っていることが統計であがっています。

急速に進んでいる少子高齢化社会においても、在宅医療のニーズは増しています。今回発表された「遠隔死亡診断」は、患者さんやご家族の思いに寄り添い、在宅での看取りを支えるものになるのではないかと期待されます。準備期間を経て、今秋ごろには新制度が始まる見通しとなりました。

 

看護師の役割

2016年4月、特別養護老人ホームで医師が不在時に一般職員が医師を装って看取りに立会い、看護師が死亡診断書の日付を記入するという事件がありました。

「救急搬送などで、患者さんを連れ回したくなかった。」と看護師は説明したそうです。

医師の常駐がない施設や訪問看護職員として勤務する看護師にとっては他人事とは思えないような事件です。

遠隔死亡診断の新制度導入にともない、患者さんのニーズに沿った「その人らしい」看取り看護をより安心して提供でき、医療者・患者さんの両者が共に満足できる「最期」を迎えることができるのではないでしょうか。


写真はイメージです。 photo by tunstall

看護師には五年以上の実務実績、三年以上の訪問看護経験が必要とされます。死亡診断に際しての判断力は、高度な専門性が必要であると予想され、人材の育成がより必要になってくるのではないかと考えます。

厚生労働省は、育成に関しても今秋にも指針案を踏まえた看護師向けの研修を開始する見通しとなっています。

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