夏季に流行する感染症 手足口病が増加しています

毎年7月頃になると大流行する「手足口病」。しかし、今年は6月頃より全国各地で流行しており、注意を必要としてます。東京都福祉健康局では、2017年7月13日に手足口病の患者数が、都の警報基準を超えて大流行していることから、注意喚起を出しました

2017年7月9日までの一週間で、全国3000の医療機関に報告された患者数は、すでに約1万8100人に上っており、前週比で、約7000人増加、過去10年で大流行した2011年に次いで多くなっています。

手足口病とは

夏季に流行し、通常7月にピークを迎えるウイルス性の感染症です。原因となるウイルスは、「エントロウイルス」と「コクサッキーウイルス」と呼ばれるもので、複数の種類があるため、何度も感染する可能性があります。

罹患する患者さんのほとんどは、5歳未満の小児が多く、80%ほどを占めます。稀にではありますが、大人にも感染する可能性はあります。感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏などに2~3㎜程の水泡性発心が現れます。発熱は、感染者の約3分の1に見られますが、あまり高くならないことがほとんどで、数日間のうちに治る病気です。

 


手足口病 photo by Wikipedia

しかし、口の中にできた水泡がつぶれて、その後にできる口内炎が酷くなることが多く、食事や飲み物を受け付けることができなくなることから、脱水症を引き起こすこともあります。

稀にではありますが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などを引き起こす危険性もあるとされています。98年の台湾では、手足口病で急性脳炎を併発した小児が、78人死亡したというデータもあり、決してあなどることができない病気です。

手足口病は、くしゃみの際に飛沫して感染する「飛沫感染」と、唾液や鼻水のついたおもちゃに手が触れることで感染する「接触感染」が主な感染経路とされています。また、便から2~4週間にわたって、ウイルスが排泄されるため、汚染された手指を介して感染が広まる可能性もあります。

予防

実は、手足口病には有効なワクチンや発症を予防できる薬はありません。

さらに、長期間にわたり、便からウイルスが排泄されることから、発症したひとだけを長期間隔離しても有効な感染対策にはなりません。衛生観念がまだ発達していない、乳幼児の集団生活を送る施設では、感染を広げないために、まずは職員が手洗いを意識し、子ども達に手洗いをする大切さを伝える必要があります。

写真はイメージです。 photo bypixabay

特に、おむつ交換をする際には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。かかってしまった際は、受診すると、口内炎に対しての鎮痛薬や、粘膜保護剤の軟膏が処方されることがあります。

喉や口の中に当然痛みが生じるので、オレンジジュースのような刺激のあるものは避けて、麦茶や牛乳などの冷たい飲み物がおすすめです。食べ物も、刺激が少なく、飲み込めるものにしましょう。例えばゼリーや冷めたおじや、豆腐などです。

保育園などへの登園目安は、熱が下がってから一日以上経過すること、口の中の水泡・潰瘍の影響がなく、普段の食事が問題なく摂れることです。手足口病は、それほど重篤な症状が現れる病気ではありません。しかし、子ども達には苦痛を伴う病気です。しっかり手洗いで予防して、感染を防いであげて下さい。

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