自分で自分をリラックス!動作法の効果とは

動作法(臨床動作法)という言葉をご存知ですか?

動作法は、日本独自の心理療法ですが、知名度はそれほど高くありません。また、動作法を実施している機関も多くはないのが現状です。しかし、動作法が合う患者さんやクライエントが極端に少ないわけではないのです。みなさんの一知識として知っておいても損はない心理療法なので紹介したいと思います。

 

動作法の概要

動作法は、成瀬悟策(なるせごさく)が開発しました。動作とは、「自分の意図通りの身体運動を実現しようとすること」です。ある部位を意図した形で動かそうとイメージし、それに近い動きがとれるように筋肉を動かすことです。そして、動かしている感じを受け取りながら調整していきます。簡単そうに聞こえますが、実際にはイメージ通りにいかない場合もあります。


逆手でキャッチボールをするダルビッシュ photo by Wikipedia

例えば、手を開いた状態で、薬指だけ動かす課題をするとしましょう。パッとできてしまう人もいますが、中には他の指も一緒に動いてしまったり、手とは関係のない場所も動いてしまう人もいます。薬指以外に余分な力が入っているからです。他の指が一緒に動いてしまったら、今度はその指は動かさないように薬指だけ……と微調整しながら、イメージした身体運動に近づけていきます。

このように、動作法では、「自分の意図する動作と身体運動を一致させていく自己コントロール」に重きを置いています。

そのため、動作法の目的は、意図した通りの身体運動ができるようになることであり、動かしている過程や力の入れ方、余分な力の抜き方の訓練に焦点を当てています。

 

それでは、専門機関では実際にどのように実施しているのか、大まかなところを紹介します。

 

実施方法

今回は、病院を舞台に、カウンセラーと患者さんのやり取りとして説明します。

1.不適切な緊張を取り除くために、肩回しなどで力を緩めます。

2.患者さんにとって意味のある動作をカウンセラーが課題として与え、患者さんが課題の動作を実施します。

3.必要に応じて、カウンセラーが患者さんの身体部位を動かしながら、課題となる部位の弛緩の感覚を患者さんが掴んでいきます。

4.このとき、患者さん自らが力を緩める方法を身につけることが大切です。

 

動作法の効果

自分の身体への関わりを通して、できる感覚や安定感を身につけることで、日常生活でもできる感覚、安定感、適応感を持って生きていけるようになるとされています。また、精神的な状態を自分でわかっていくことに繋がります。

わかりやすく説明するために、自分が緊張する場面を思い浮かべてみてください。緊張した時には、身体のどこかに余分な力が入っているものです。動作法を実施することによって、緊張したときに力が入る部位や力の入り方がわかるようになります。そして、力の緩め方を知っていることで、自分でも緊張の調整ができるようになります。

つまり、自分で自分をリラックスさせられるということです。

 


写真はイメージです。 photo by PEXELS

最後に

動作法の対象は、自閉症スペクトラム障害、知的障害、統合失調症、神経症患者と幅広く、スポーツ選手にも効果があるとされています。

ことばではなく、動作に焦点を当てているので、実施しやすく虚偽がありません。緊張しやすい人や姿勢が上手く作れない人には効果的とされていますが、ことばでのやり取りに意味がある方もいらっしゃいますので、動作法だけでなく、ことばでのカウンセリングも重要な場合があります。

また、動作法にはカウンセラーからの声かけが重視されているため、専門機関で始めることをオススメします。

 

 

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